研究ノート(修士論文草稿)
[ 07.3.29 作成:長洲寂石 ]
「弁証法的唯物史観」の検証
唯物史観はその時間軸の一定の瞬間において時間軸をさかのぼって、人間社会の発展の過程を段階的に究明し、その究明(分析)の結果から現瞬間から出発する社会の未来に関してすすむべき方向の予測を行い、その過去と現在の分析を通して未来に人類が歩むであろう道筋なるものを理論化したものである。
その道筋のなるものの土台は「対立物の統一」であり、対立関係が新たな発展へと進む契機となるとする。その対立関係の基本概念として生産関係とそれを決定づける生産力の発展をおき、土台と上部構造という対立関係による社会論の構築と革命必然論を確立した。
そこでは、土台としての生産関係の変化が上部構造としてのその社会のあり様を決めるとされ、それを根拠として社会主義社会、共産主義社会が展望された。
明治維新の教訓とすべきものは「争わない」ということである。歴史研究は歴史の実相に肉迫していく過程であり、これまでの研究成果をその肉迫化に生かしていくことである。
歴史とは人間の思考と行動の堆積物である。歴史の流れ(経過)はこの人間思考と行動の堆積の過程である。歴史の実相に肉迫するという作業は、その堆積物を輪切りにし、輪切りにされた歴史のその切り口としての現瞬間に現れる世界の諸事象の連関、複雑に絡み合い、複雑に浸透しあった連関を立体的に認識しようとする行為である。