米国人で曹洞宗僧侶であるブライアン・ビクトリア氏が著した『ZEN AT WAR』(by Brian A .Victoria.)には、明治期から第二次世界大戦終結までの期間において、日本在来仏教の指導層等が著した「戦争肯定」論と「戦死の意義」に関する多数の論説が紹介されている。そこでは、天皇を主権者とする「国体」を「護持」するために、政府の進める戦争政策を受け容れること、そして、その戦争のために、兵士として「戦死」することの意味と必然性が語られ、戦場で「戦死」することは国民の「義務」である、と説いている。本論では、このような戦前に発出された「戦争肯定」と「戦死」の論理を「戦死の哲学」と定義している。