先般墨夷仮条約余儀無く次第にて神奈川に於いて調印、使節へ渡され候儀、猶亦委細間部下総守上京言上の趣候得共、先達て勅答諸大名衆議聞召され度仰せ出され候詮も之無く、誠に皇国重大の儀、調印の後言上、大樹公叡慮御伺の御趣意も相立たず、尤も勅答の御次第に相背き軽率の取計い、大樹賢明の処、有司心得如何と御不審思召され候、右様の次第にては蛮夷の儀は暫く差置き、方今御国内の治乱如何と更に深く叡虜悩まされ候、何卒公武御実情を尽くされ、御合体永久安全の様にと偏に思召され候、三家或は大老上京仰せ出され候処、水戸・尾張両家慎中の趣聞食され、且つ又其の余宗室の向きにも同様御沙汰の趣も聞召し及ばされ候、右は何等の罪状に候哉、