一 八ッ過ぎ御所より御物産之有り、間も無く御参内拙者も御跡より参り候、勧修寺家より壱人案内いたし候事
御所略図
一 勧修寺家雑掌申し候は御案内仕らせ候間、御白州通り御拝見御出でなられ候と申すに付き参り候、紫宸殿御白州屏重門より覗き見候、御輿所へ参り御輿拝見仕り候、内侍所前の白州迄参り候て元の所へ帰り候事
一 御盃下がり候間、拙者請け取り乃美伊織へ相渡し伊織長持へ納め候、暫くいたし候て御拝領の御太刀下がり候間、是又請取り伊織へ相渡し伊織御長持へ納め守護いたし取締り候事
一 御殿御拝見に御出でなられ暫くいたし御帰りの事
一 五ツ半過ぎ御退出勧修寺へ御帰り、拙者も御跡より参り候処、勧修寺にて拙者召し出され、左の通り仰せ聞かされ候間、関東の方相伺わずては御請も仕り難き段申し候処、此度の義は全くそれに及ばず、一橋へ相達し候にて宜しき段御役に申され候段をも仰せ聞かされ候、誠に以て御首尾多義に御座候事、右に付き拙者御先へ罷り帰り、若殿様弾正殿へも申し舟合わせ候様仰せ付けられ候、前田孫右衛門へは番頭より御書面写し差越し罷り出候様申し遣わし候由、拙者お先へ帰り御門前にて孫右衛門へ逢い候処、孫右衛門申し分は何分御断り然るべく存じ奉り候段申すに付き、勧修寺家は最早御立ち、近衛殿まで参り御待ちいたし御目通り致し候方然るべき段噂いたし候事