一 朝廷よりの御書面並びに御意書備後山口において拝見仕り候、写し左の通
り
今度大樹政権を帰し奉り朝廷一新の折柄、弥々以て天下の人心居合相附かずに、天たるにおいて追々復古の典毛(網)も行われ難く、深く震襟を悩まされ候、且つ来春御元服並びに立大后追々御大礼行わされ、且つ亦先帝御一周相なり候に付き、猶更人心一和宜要(宣揚)思し召され候間、先年来防長の事件彼是混雑之有り候得共、寛大の御処置あらせられ大膳父子末家等入洛免され官位元の如く許され候旨仰せ出され候事
今般朝廷よりの御沙汰拝戴奉り誠に以て有難き御儀感激に堪えず奉り候、積年の微忠素より天地神明に愧じず事に候得共、近来の国難御先霊様へ対し奉り候ても深く恐れ入り奉り候処、今日に至り殿上にも畢竟国内士民一律父子の素志を躰し往持(時)さし免によりと祝着の至り、然る処方今京師の形勢容易ならず此の往き如何様の事変出来も測り難く候に付き、弥々励精藩屏の任相勤めず候ては相済まず事候条、厚く相心得奉公は遂ぐにおいては本懐たるべきもの也