浦靱負日記 元治元年
元治元甲子日記
文久四甲子元治元
正月小癸卯
元旦 天気
一 胴着小袴着用にて五ッ時分政事堂へ相揃い候事
一 御帳へ付け候事
一 判初式月番罷り出で下の座敷にて相調え候事
一 御屋形へ執れも罷り出で殿様御目通り申し上げ候、若殿様にも御屋形御出でに付き、御目通り仕り候、新御殿の方は御手狭に付き、出伺い相成り難く候間、孰れも出仕相成り候様、番頭取り計い候段申し候事
一 御窺い初め、猶差向い御用相窺い、御両殿様聞し召し上げられ候事
一 薩州御家老へ各より旧臘廿四日夷船打払いの後追々風聞承り候へば、尊藩御手船など相聞き候、いよいよその儀に候哉の段乞合わせ手紙遺わし候、道理に決定いたし候、京師の方は、木梨平差し越され、宍戸左馬介へ相対にて馬関の趣委細に相話、左馬介薩州人応対程多く探索、猶周旋いたし候様申し伸べ候様仰せ付けられ、明日より仕舞次第出立、猶上の御用向き相済み因州・備州へ参る都合にて御座候事