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投稿日: Sep 29, 2014 8:15:16 AM

Matsumoto, D. Olide, A., & Willingham, B (2009).

Is There an Ingroup Advantage in Recognizing Spontaneously Expressed Emotions?

Journal of Nonverbal Behavior, 33, 181–191. DOI 10.1007/s10919-009-0068-z

ヘッドライン:自発的な表情刺激を用いた場合,情動認知における内集団優位性がでませんでした。

【要約】情動認知における内集団優位性仮説の証拠は,特定の種類のやらせ表情(指示された感情を表出したもの)を使っている研究によってもたらされてきた。この優位性の提唱したソースは,社会方言 ( cultural dialect ) *とよばれる ( Elfenbein et al. Emotion 7(1) : 131-146, 2007 ) 情動表出の文化特有の方法であった。しかし,今日までこの仮説を検証する刺激として,自発的に生じた表情を用いた研究はなかった。本研究では,2004年のアテネ・オリンピックからメダルをとった直後のアメリカ人と日本人のアスリートの表情をアメリカ人と日本人の参加者は判断を行った。内集団優位性仮説は支持されなかったが,実生活の中で自発的に生じた表情でなく,ポーズをとる人が表現をまねる時に,内集団の情動認知における優位性が生じている可能性を示唆した。

*ここでの社会方言とは,Elfenbein(2007)によるもので,一般的な社会方言の意味とは異なる。すなわち,内集団優位性はその文化で良く使われる表情とそうでない表情があるために生じると考えられている。