後山、日名倉山     岡山最高峰の縦走と鐘の鳴る山

岡山県  後山1,345m、船木山1,334m、駒ノ尾山1,281m

兵庫県  日名倉山1,047m

2016年11月4日

(後山)中国百名山

(日名倉山)関西百名山

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岡山県最高峰の後山へは南側のキャンプ場から。少し出遅れて駐車場に着くと先客の車1台。

中腹からだが、なかなか厳しい登りで、植林からすぐ沢沿い、九十九折り、そして急な階段の長い道。

ようやく稜線の縦走路に着いて展望が開け、南に日名倉山が低く、黒いシルエットになって見えている。ここからは稜線漫歩。すぐ先が船木山。宍粟50名山(*1)という標示がある。そして行く手に後山が見える。林に覆われた黒い姿は日本昔話に出てきそう。

たどり着いた頂上には欠けた三角点と三つの頂上標識。東に見えているのは兵庫の三室山だろうか。

駒ノ尾山は縦走路の先に、船木山の左に美しい草紅葉の姿で見えている。

駒ノ尾山の頂上は広く、ストーンヘンジのような石が並べてあった。西に見えるシルエットは那岐山だろうか。すぐ北にはスキー場のある低い山が見えており、それがダルガ峰らしい。

帰りにもう一度、後山に行き、青いものの正体を確かめる。それは冬支度で祠を覆ったブルーシートだった。

二度目の後山頂上で会った人は、1345mと1344mの二つの頂上標識のことを尋ねてきた。岡山県と兵庫県で標高がわずかに違うのかもしれないが、三角点は県境にあるはずだから、測量しなおしたのが1344mなのかもしれない。

日名倉山は兵庫の山と思っていたが、岡山県美作の山でもあり、美作富士とも呼ばれているらしい。ベルピール自然公園(*4)には、オルゴールを鳴らしている二階建てのベルピール・ホールと、大きな鐘のある建物(リュパンベールの鐘)があり、なにやら西洋風、キリスト教風の雰囲気。駐車場からは正面に雄大かつ穏やかな後山の稜線。駒ノ尾山から後山のパノラマがすばらしい。

それから九十九折の遊歩道をゆっくり登る。日名倉山頂上には純和風の祠、三角点に頂上標識にたくさんのベンチ。なんとなく落ち着き、ベンチで休憩。ここからも後山、那岐山、三室山などが見えた。日名倉山から下った後、リュパンベールの鐘に行ってみると、右の塔の中はまさしく西洋の世界。階段を登り、いつもと違う感覚で鐘を鳴らしてみる。

後山の麓にある温泉(愛の村パーク)から、美作富士の姿の日名倉山を見る。縦走路を歩き、いろんな山を眺め、いつもの里山の頂上はもちろん、いつもと違う西洋風の建物に出会う。今日もいい一日だった。

 雄大かつ穏やかな後山の稜線・・・・・日名倉山ベルビール自然公園より。左から駒ノ尾山、船木山、後山
 美作富士の日名倉山・・・・・後山の麓にある愛の村パークより。中腹にベルビール自然公園の建物が見えている
 リュパンベールの鐘
 鳴らしてみた鐘
 宮本武蔵・石牢の石碑
  6:59 キャンプ場駐車場発  8:39 船木山  9:04 後山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・後山まで2時間5分  9:32 船木山10:31 駒ノ尾山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間32分10:45 駒ノ尾山発11:40 船木山12:03 後山12:34 船木山13:42 キャンプ場駐車場・・・・・・・・・・・・往復(後山2回)6時間43分(後山1回の場合、往復5時間49分)14:14ベルビールP発14:49日名倉山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り35分15:00日名倉山発15:22ベルビールP・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復1時間8分

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快適な舗装路を後山キャンプ場の広い駐車場に入る。休日だが曇り空。先客のプリウス一台。前日同様、スティックはザックに入れたままで行く。舗装路を100mほど戻ったところに船木山遊歩道の入口。植林に入り、すぐに沢沿いの急な道となる。案内に「晴れた日には遠く瀬戸内海まで望める」というフレーズを何度が見たが、今回は見れず。岩場の沢沿いを登っていてロストし、おかしいと感じて引き返し、渡渉点のマークを発見。左岸にわたり、そこから長いつづら折り。ようやくつづら折りが終わるが、そこからも林の中の根っこの階段の登りとなる。延々と登り、稜線に到達。船木山頂上はそこから右(東)に少しのところだが、頂上手前に展望所があり、シルエットの日名倉山が見えた。ここにも「瀬戸内海が見える」とあるが、見えず。林に覆われた後山が見えている。

船木山は頂上標識のみの頂上。「宍粟50名山」(*1)とある。岡山最高峰の後山もやや地味だが、黒々とした姿は静かな迫力。林に覆われた黒い姿は日本昔話にでてきそう。いったん下り、登り返して手前のピークに着くとようやく後山の頂上が見えたが、青い小屋のようなものと人が見えた。頂上には兵庫県と岡山県の頂上標識が三角点を挟んで立っていた。兵庫県のは1345m、岡山県のは1344mとなっているのには2度目のときに指摘されて気づいた。板馬見山1345m(*2)という頂上標識もある。東に見える高いシルエットは三室山1358mだろう(南稜線に1300mピーク)。向こうのほうが高いのか。私はバナナを食べたが、男性はラーメンを食べ始めたので、先に頂上を下る。ブルーシートが何なのか見忘れていたのに後で気づき、気になってしまい、帰りにもう一度後山に寄る。船木山の右奥に駒ノ尾山が見えている。近く見えるが3㎞の彼方。草紅葉が美しい山頂。

船木山を過ぎたあたりで日が差してきた。縦走路を西に進むと行く手に鍋ヶ谷山と駒ノ尾山、その右奥にダルガ峰。その更に奥に見えるのは沖ノ山だろうか。縦走路の途中に四等三角点。ダルガ峰にはスキー場があり、なだらかなのでもしやと調べてみると、スキーで登っている記録があった。沢で考えていたので今回、行ってみなかったが、スキーがいいかもしれない。笹の切り分けの縦走路の途中に、唐突に鍋ヶ谷山の頂上標識。だいぶ疲れてきた。鍋ヶ谷山から下り、マイナーピークを二つほど登り返し、駒の尾への最後の登り。ダルガ峰への分岐があり、大きくて頑丈な避難小屋があり、その先に広い駒ノ尾山の頂上。巨大なストーンヘンジの岩が並べてある。北に見える沖ノ山がダルガ峰だろうと思っていたが、どうやらその手前にある低い平らなのがダルガ峰らしい。避難小屋も見えているので間違いないだろう。駒ノ尾山を下るとすぐ、さっきの男性に会う。やはり後山だけではもったいないのだろう。朝はレイングローブをはめていたが、その後、外したりはめたりを繰り返す。日が照ると汗をかくが、風は冷たい。

船木から後山に向かう途中に二人目の男性に会う。頂上にはもう一人。後山のブルーシートはどうやら祠のようで、冬の積雪に備えているのだろう。男性が話しかけてきて、兵庫と岡山の頂上標識の標高が違う理由を論じる。両県の標高が違うのではなく、三角点の標高が計測しなおして少し違ったのでは、というのが私の意見。岡山県と兵庫県で標高がわずかに違うのかもしれないが、三角点は県境にあるはずだから、測量しなおしたのが1344mなのかもしれない(GPSには1,344.56mとなっていて、そのときは四捨五入で1,345mだろうと思ったが、地理院地図を見ると1.344.4mになっている。)。もう下りだけなのだが、疲れてしまって沢沿いの途中で休憩。ここからスティックを出して下る。ずいぶん足への負担が違う。

駐車場には車が4台ほど。最初のプリウスはまだあったのであの男性はダルガ峰まで足を延ばしているのだろうか。日名倉山に向かう途中に石碑「宮本武蔵・石牢跡」(*3)というのがあったが、そのものは見なかった。九十九折の車道を登っていくと、北に駒ノ尾山・船木山・後山の稜線が見え、西に那岐山が見えた。ベルビール自然公園(*4)は入園無料で、駐車場から正面に駒ノ尾、船木、後山の稜線のパノラマがすばらしい。このためだけでもここまでくる価値はある。ベルビールホールは二階建てで、ガラス張りの二階レストランには客がいるのが見えたが、オルゴールが鳴っており、登山靴ではちょっと入りにくい感じ。リュパンベールの鐘への石段に向かうが、GPSを見ると登山道はこの上ではないので引き返し、ベルビールホールの右奥の登山口に進む。そこから歩きやすい広い遊歩道が階段のつづら折りで頂上まで続いていた。途中に日本海側の方位図もあったが、木々が伸び、視界なし。頂上は広く、ベンチ多数。祠と一等三角点と頂上標識。なんとなく落ち着き、ベンチで休憩。ここからも後山、那岐山、三室山などが見えた。

頂上標識には「日名倉山・三ノ丸」というのもあり、ここは三つある日名倉山のピークの一つらしい。地理院地図によると、頂上から南東にピークが並んでいる(1047m、1020m、990m)。日名倉山から下った後、リュパンベールの鐘に行ってみると、右の塔の中はまさしく西洋の世界。階段を登り、いつもと違う感覚で鐘を鳴らしてみる。駐車場の南に那岐山の展望所があったが、このときは青空が見える一方、那岐山には雲がかかっていた。

後山の山麓にある愛の村ゆらりという温泉。600円のところをJAF割引で500円。前日もだが、ここも湯がぬるい。温泉を出るときに道を間違え、ぐるぐると愛の村パーク敷地内を回ったが、夕日の美作富士の姿の日名倉山を見ることができた。

縦走路を歩き、いろんな山を眺め、いつもの里山の頂上はもちろん、いつもと違う西洋風の建物に出会う。今日もいい一日だった。

(*1)宍粟(しそう)50名山: 兵庫県宍粟市の選定した山。(宍粟市)・・・・・船木山、後山、日名倉山が該当。頂上にその標示があった

(*2)板馬見山: 「兵庫県側からは板馬見渓谷からのコースがメイン」(kitaharimanosato.sakura.net)、兵庫県では氷ノ山、三室山に次いで第三位。「後山は別名、板馬見山、行者山で、西の大峰山と言われる修験の聖地(syunmei.fc2.web)・・・・・後山の頂上の三つ目の頂上標識に「板馬見山」とあり、兵庫県側の呼び名らしい

(*3)宮本武蔵・石牢: 岡山県美作市は宮本武蔵の出身地。関ケ原で敗れた武蔵をおびきだすため、姉のお吟を日名倉山中腹に幽閉していたという(ブログ情報多数)・・・・・日名倉山登山口のベルビール自然公園への途中に石碑がある。石牢跡も残っているらしい

(*4)ベルビール自然公園: 美作市(みまさか)が日名倉山中腹に作ったもので、鐘楼リュバンベールの鐘とベルビールホール(結婚式場とレストラン)がある。「愛の村づくり」のためのシンボルとして作られた(美作市ホームページ)・・・・・どちらも西洋風の白い建物。キリスト教風で日本の郷のイメージとは違う。ずっとオルゴールが鳴り、時々リュバンベールの鐘が鳴る。帰りにこの鐘を鳴らしてみたが、鐘は二つあり、美ヶ原の美ノ塔とは違い四角い形で、規模は一回り大きいと思う。

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日名倉山・・・・・後山縦走路に上がってすぐの展望地より

黒いシルエット

黒々と木々に覆われた後山・・・・・日本昔話に出てきそうな姿

船木山頂上・・・・・宍粟50名山の標示がある

船木山頂上標識の上にある宍粟(しそう)50名山の表示

船木山・・・・・後山付近より。縦走路の先、船木山の右奥に見えているのが駒ノ尾山

後山頂上・・・・・二つの頂上標識と欠けた三角点

左の頂上標識は岡山県のもので、1,344mとあり、中央の頂上標識には「板馬見山、1,345m」とある

この写真に写っていないが、右側にもう一つ、兵庫県の頂上標識があり、1,345mとなっている

三角点の標高は、GPSは1,344.56mとなっていたが、最新の地理院地図には1,344.4mとあるので、標高を計測しなおしたのだろう

三室山

草黄葉の駒ノ尾山

鍋ヶ谷山頂上

ダルガ峰(手前)と沖ノ山?(奥)・・・・・駒ノ尾山の右奥に縦走路が続いていた

駒ノ尾山の頑丈な避難小屋・・・・・外見は避難小屋とは思えなかったが、分厚いドアを開けると非難小屋だった

後山への縦走路・・・・・駒ノ尾山から東を見る。奥から後山、船木山、鍋ヶ谷山

駒ノ尾山頂上のストーンヘンジ・・・・・石に東西南北と彫られている

ダルガ峰の避難小屋

後山の冬支度の祠・・・・・青いものの正体はブルーシートで覆った祠だった

宮本武蔵・石牢跡の石碑・・・・・日名倉山登山口のベルビール自然公園への途中。石牢跡も残っているらしい。

岡山県美作市は宮本武蔵の出身地。関ケ原で敗れた武蔵をおびきだすため、姉のお吟を日名倉山中腹に幽閉していたという(ブログ情報多数)

雄大かつ穏やかな後山稜線・・・・・ベルビール自然公園より。左から駒ノ木山、船木山、後山

那岐山・・・・・ベルビール自然公園より。西に見える

リュパンベールの鐘・・・・・ベルビール自然公園にある大きな白い建物。「リュパンベール」とは「緑の鐘」の意。

右側の塔に登り、いつもと違う感覚で鐘を鳴らしてみる

ベルピール・ホール・・・・・結婚式場とレストランがあるが、入らず

ずっとオルゴールが鳴っていた

日名倉山頂上・・・・・ここには純和風の祠。なんとなく落ち着き、ベンチに座って休憩

再び三室山

麓から見上げる後山

日名倉山・・・・・後山の麓にある愛の村パーク(温泉がある)より、美作富士の日名倉山を見る

中腹にベルピール自然公園の建物が見えている