番鳥森(ばんどりもり) 太平山地の秘峰

秋田県  番鳥森(三角点峰1,030m、北峰1,033m)  2014年7月5日

旧秋田県の山・脚注

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3年前に登り損ね、2年前にも諦めた番鳥森(*)に3度目のトライ。ブログには、2005年と2008年に上院瀬沢を登り、三角点まで達した記録が記されている。それならば私もなんとか登れるだろう。

沢スタイルだが、沢靴をザックに入れ、登山靴で出発。前々回に沢に下りた箇所でヤブの林道を進み、数百メートル先で沢に下り、沢靴に履き替えて沢を登る。

水枯れになった後のツメと稜線登りが急で、長く感じた。稜線はササとブナの鬱蒼とした森で、昔は稜線にも踏跡があったと思われる痕跡あり(いや、獣道だろう)。

出発から頂上まで4時間半で頂上地点に到達したが、頂上で三角点が見つからず、なんと2時間半近く探した。この間に最高地点の北峰(1,033m)にも行った。

当時は高性能GPSを持っていなかったためだが、見つけられてよかった。駐車場への帰着は18時半、出発から11時間半のロング・ツアーになったが、満足。

(*)バンドリとはニッコウムササビのことらしい。(越後三面山人記)

 太平山頂上から見る番鳥森。平らな頂上の最高地点(北峰1,033m)のやや右が三角点峰(1,030m)と思われる。コースは右下から左上に向かう沢筋(2014年10月12日)
白子森から見る番鳥森(2010年9月25日)
やっと見つけた三等三角点
番鳥森自然環境保全地域の案内(2011年8月13日)
番鳥森と秋田駒ヶ岳
大仏岳、番鳥森、岩手山と秋田駒ヶ岳
  7:05 林道駐車地点発  9:17 入渓10:44 水涸、尾根取付11:30 番鳥森・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り4時間25分12:50 番鳥森・北峰13:46 三角点発見13:54 番鳥森発14:27 沢下降16:21 入渓点⒙:32 林道駐車地点・・・・・・・・往復(含休憩等)11時間27分

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秋田中央インターで降り、太平山方面に向かうと、行く手左に太平山のシルエット。ところが、岩見ダムまで来ると、法面土砂崩落のため当面通行止めになっている。通行止め表示はあるものの、ゲートは開けてあるので、侵入してみる。すぐ後から軽自動車がやってきて、やはりゲートをこえて進んでくる。途中に崩落部分を補修した部分があったが、十分に通れる。そのまま公園まで進み、林道分岐を右に入る。林道は刈払いされていて比較的走りやすく、前回の駐車地点に難なく入る。

ラチェット・スティックと沢靴、スパッツを沢ザックに詰め、ハーネスにロープとペットボトルを下げて出発。院瀬沢林道入口には番鳥森への案内図がある。3年前にも見たが、簡単に登れそうに見える。下見のときこの林道に途中まで入り、引き返した時に引っかけたセメント袋もある。今回は、院瀬沢林道は中院瀬沢の途中まで補修されていて、歩きやすかった。車で入ってもよかったかもしれない。砂防ダムの先に最初の分岐があり、左折して橋1を渡る。まっすぐ行くと下院瀬沢。昨日の雨で草が濡れており、レインウェアの下で服は大丈夫だが、軽登山靴はすぐにびっしょりになり、やがて水がしみ込んでくる。土砂崩れの跡を補修した先から荒れたままの林道となる。倒木多数。3年前に一度間違えた上院瀬沢出合の分岐で、左折して上院瀬沢林道に入る。枝沢沿いに崩壊している箇所を渡り、水の流れているところを歩き、橋3を渡って右岸へ。カーブミラーに映った自分の姿を写すが、最初のカーブミラーは汚れていた。だいぶ歩いた先に斜面の崩壊地が現われる。3年前は崩れたばかりで歩きにくかったが、今回は土も固まり、踏跡もできている。靴の足跡はいつごろのものだろう。その先で前回、沢に下降した地点に至り、ヤブに突入する前にカメラをタフに持ち替える。カメラ・ポーチが濡れてしまうので、タフのハード・ポーチを持ってくるべきだったか。

林道はここで沢筋を離れており、前回は沢に下降してしまったが、ヤブに入ってみると踏跡はある。いや・・・見失ってしまった。左の斜面沿いに進むと、また踏跡を発見。左手の斜面から細い沢が流れているところを通過。踏跡の下に土管が通されていたようだ。その先で赤リボンを発見。それほど古くはない。プログ(2005年と2008年の人たちのものだろうか)。最初の赤リボンの先で踏跡が消滅し、林道の崩壊跡と思われる土手を登ると、二つ目の赤リボンを発見。しかし、踏跡はない。沢筋の高い土手にぶつかったところでマップを見る。ここは前回間違えて右俣に入ってしまった二俣の左俣と思われる。そこで沢の上流・右手に進むと、次の赤リボンを発見。踏跡と赤リボンがしばらく続き、沢への下降点と思われる土手の上に着く。土手の先に踏跡はないので、沢に下降。そこでザックを下ろし、沢靴に履き替え、登山靴はコンビニ袋に入れて岸にデポしておく。それが帰路において沢から土手に上がる時の、よい目印になった。1年ぶりの沢靴に沢グローブをつけ、ラチェット・スティックを出して沢に入る。プログでは登山靴でもなんとか、と書いてあったが、雨上がりで水量が多く、沢靴でないととても進めない状況。まだ水は冷たい。沢の上の枝にやや古い赤リボン。ここで間違いないということだろう。往路では写真がないが、沢に入ってすぐに二俣があったが、本沢と思われる左俣に進んでいる。

小滝のある林の中の沢をしばらく登り、水量がほぼ同じ二俣に着く。ここがガイドの二俣だろう。右俣に入る。ようやく水量が減ってきて、折れた枝で埋まった急な沢を登る。チョロチョロになった水も涸れ、行き詰りになる前に右手の斜面に取付く。行く手の斜面は大きく崩れていて正面は登れそうもないため、右にトラバースしていって樹林蒂に上がる。斜面に上がってからのツメの登りは思ったよりも長くて急で、手袋をレイングローブに替え、スティックを収納し、枝や笹を掴んでの腕力登り。黄色テープを出して枝に残して行くが、結局、帰路は全く利用しなかった。やがて主尾根と思われる地点に到達するが、左上の頂上はまだ遠く、高い。高度が上がり、背後に山が見えてきたが、白子森かもしれない。またコンパスがないことに気付く。スキー用のウェストバッグに入れたままで、高森のときに反省したはずなのに。タフのコンパスで方角を確認し、背後の山は西か南だったと思う。ようやく傾斜が緩み、ブッシュの中に人の踏跡らしきものを発見。そして頂上部に着くが、頂上は広い樹林になっている。三角点はどこだ。北にも高い地点が見えたので、北に向かう。北峰周囲を散々探したが三角点はない。半ば諦め、ザックを下ろして休憩。二つもってきたバナナの1本を食べる。GPSを起動して位置を確認すると、ほぼここで間違いないようだ。前回登った850m峰のマークから数百メートル北の位置。

三角点を探しまわり、結局、番鳥森の頂上に2時間半近くいた。南峰に戻り、諦めきれずに三角点を探す。ガイドには「東側」とあるのでそっちを何度も探し、倒木の下を探るがない。ブッシュの中を南に向かうと、樹木の向こうに三角点があった!大声で叫ぶ。ついに見つけた。周囲の草を抜くと、それは三等三角点だった。ザックを下ろし、2回目の休憩。もう1本のバナナを食べる。その後も何度も三角点を写し、名残を惜しんで頂上を出発。三角点の周囲には、古い白テープと比較的新しい赤テープがあるのみ。赤テープはヤブの林道の赤テープと同じ主のものだろうか。少し離れると、もう全く見えなくなる。主稜線を下り、頃合いで右斜面を下る。残しておいた黄色テープは全く見つからず。違うかもしれないと思ったが、水の枯れた沢筋に下る。ずっと急斜面を下ってきて疲れたので、枯沢の上で休憩。枝沢を下っていくと、下れそうもない箇所に出くわす。右に見える沢との間の尾根を下れそうだったが、行き詰ると危ないので、登り返して尾根を越え、右手の沢に懸垂下降する。枝沢2を下っていくとやがて水が流れ出し、そしてもっと水の多い沢が左から合流する。それが往路で登った本流のようだ。本沢を下り、沢にあった二つ目の赤リボンを過ぎ、二俣に至る。だいぶ疲れていて、何度か転ぶ。

沢の一つ目の赤リボン、伐採用と思われるワイヤーの残骸をいくつか見て、ようやく入渓地点に着く。ザックを下ろし、デポしておいた登山靴に履き替える。靴下は濡れているが、それほど違和感はない。土手に登り返し、踏跡を辿る。沢筋の二つ目に見つけた赤リボンまでは順調だが、その先でロスト。小さいが流量のある沢に出会うが、往路では渡った覚えがない。引き返してやや北の位置に最初の赤テープを発見。そこから踏跡があり、土管が通してあるらしく、踏跡は沢の上を渡っている。林道が通っていたのだろう。踏跡がまたなくなり、探しているときに窪地にはまって尻もちをつく。斜面から下らない地点で踏跡を再発見。休みたかったが、林道は濡れていて腰を下ろしにくく、歩き続ける。林道を補修してある地点に到達。ようやく駐車地点に到着。もう薄暗くなっている。

車を出したのはもう19時だった。まだ明るいが、走っているうちに薄暗くなってきて、ヘッドランプを点ける。井出舞沢園地の水はまた飲まずに通過。ダムの湖面の向こうの山はもう黒いシルエット。岩見ダムのゲートは閉じられていたので、車を止め、ゲートを開けて通過し、ゲートを戻しておく。ユフォーレの看板を右折したときはもう真っ暗。ここに寄るのは何年ぶりだろう。玄関の犬の彫り物。

番鳥森の案内標識・・・・・林道途中の院瀬沢林道入口にある

番鳥森への案内図・・・・・上記と同じ場所。昔は道があったのだろう

院瀬沢林道標識

院瀬沢林道の様子・・・・・荒れていて、崩壊が進んでいる

林道消滅地点・・・・・2011年はここから入渓し、違う沢に入ってしまう。2014年は消滅した林道跡を更に進む。そして赤リボンと林道跡を見つけ、それを辿る

沢に行きあたり、沢靴に履きかえて沢に入る

沢の様子・・・・・倒木や岩の多い小沢

源頭付近・・・・・右斜面を登る

番鳥森頂上付近・・・・・ササとブナの鬱蒼とした森

番鳥森・最高地点(1,033m)付近

三等三角点(1,030m)

マツヨイグサ?・・・・・最初の院瀬沢林道にて(2011年8月13日映像)

バンドリ沢・・・・・番鳥森の南にある。2012年にこれを辿ろうとしたが、距離があり、滝もあり、諦める(2012年7月21日映像)

番鳥森(手前)と秋田駒ヶ岳(背後)・・・・・太平山頂上より(2014年10月12日)

大仏岳(左中央の双耳峰)、番鳥森(右中央)、岩手山(左後方)と秋田駒ヶ岳(右後方)・・・・・太平山頂上より(2014年10月12日)

太平山・・・・・南側、大又川(バンドリ沢)への途上より(2012年7月21日映像)