美ヶ原     高原の原風景vs近代的モニュメント

長野県  美ヶ原(王ヶ頭2,034m、王ヶ鼻2,008m)、牛伏山1,990m  2005年5月5日 

日本百名山

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代赭色の高原台地の原風景の中にあたりまえのように建つ美ノ塔。

王ヶ塔に林立する電波塔と大きなホテルも今や美ヶ原のシンボル。高原の頂上にすっかり根付いている。

俗化?いや、これらもまた高原の原風景なのでは?

王ヶ鼻まで行くと、石仏や石碑が年代を経て風化し、岩は瓦のように割れている。人が作ったものも、自然にできたものも、ここでは共に塵に還っていく。

写真を撮ってくれと言う夫婦。もうだいぶ暗い。帰途につく。

 王ヶ鼻への途上から見る最高地点の王ヶ頭。代赭色の高原に電波塔とホテルが立ち並ぶ。頂上ホテルの右側に三角点がある。
 美ノ塔
 王ヶ頭の鳥居
 王ヶ鼻
15:45 美術館駐車場発16:15 牛伏山16:37 美ノ塔17:14 王ヶ頭17:35 王ヶ鼻・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行き1時間50分18:34 美ノ塔19:03 美術館駐車場・・・・・・・・・・・・往復(含休憩)3時間18分

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松本の北から東に回りこみ、案内標識に従って美術館駐車場に入る。大きな駐車場で、ここには2度訪れたが、美術館にはまだ入ったことがない。最初はすぐ近くにある牛伏山。方位盤がある。

広い土の車道を歩く。代赭色の高原の原風景だが、やや埃っぽい。

広大な高原の真ん中にある美ノ塔は近代的モニュメント。単調な高原風景にインパクトを与えているが、美ヶ原の原風景に溶け込んでいるように見える。裏に回って鐘を鳴らしている人たちがいて、私も一回、鳴らしてみる。

美ノ塔は山本小屋を建てた故山本翁を記念して深田久弥の頃に造られ、裏に尾崎喜八の詩*が刻んである(日本百名山)

*「登りついて不意にひらけた眼前の風景にしばらくは世界の天井が抜けたかと思う・・・・・尋常の尺度にはまるで桁が外れている」

大きな掲示板に美ヶ原の起源の解説があった。これは古い火山であり、山頂は侵食で平になったが、平地との間はなお断崖があるという。南には確かに急な崖がのぞいており、その向こうに茶臼山が見えている。北東方向にはなだらかな牛伏山。

車道を更に西に進むと、やや登りとなり、林立する放送用アンテナと大きなホテルのある王ヶ頭に着く。これら林立する放送用アンテナと大きなホテルは王ヶ頭のシンボルになっているが、ホテルの裏にある古い鳥居、崖の手前にある頂上標識と三角点の周囲だけは時間が止まっているかのようだ。

崖向こうの南にぼんやり見えているのは鉢伏山らしい。この山も、美ヶ原ほどではないが、高原の頂上を持っている。ガスが濃くなっていて、北アルプスは残念ながら見えない。

西に続くガレ場から爺さん連中が登ってきた。そっちに王ヶ鼻があるはずなのでガレ場を下り、車道に入って更に歩く。時々車道をバスが通っていくが、ホテルのバスのようである。

林の中を少し下って王ヶ鼻に着く。年代を経て風化した石仏や石碑がいくつも立っていて、瓦のように岩が割れている。西と南は崖。人が作ったものも、自然にできたものも、ここでは共に塵に還っていく。写真を撮ってくれと言う夫婦。カメラを撮り終わると、もうだいぶ暗い。帰途につく。

途中の分岐を北に行くと、武石山や焼山というのもあるらしい。再び牛伏山に登っていくと、ひと家族が後から登ってくる。美術館の大きな駐車場には車が一台きり。南のビーナス・ラインを下っていくと、頭上に王ヶ頭のホテルの明かりが見える。

松本に着き、ゲンコツ・ラーメンというのを食べる。BS特集で統合理論というのをやっていた。アインシュタインの一般相対性理論と量子力学を統合しようというリボンの理論というものらしい。

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日本百名山・美ヶ原の最後の部分で深田久弥は高原の俗化、近代化に批判的で、「しかしその詩人も、今日の原の滔々たる俗化を嘆き、雄大な展望だけは昔に変わらぬ朝夕を、私の詩が吹き渡る風の中でその挽歌を歌っている・・・・・」と語っている。だが私の目には、美ノ塔も電波塔もこの広大な高原の風景の一部にすぎないように見える。美ヶ原は。高原の原風景の中に近代的モニュメントをも融け込ませ、風景の一部にしてしまっているように思える。

美ヶ原美術館

松本の北から東に回りこみ、案内標識に従って美術館駐車場に入る。大きな駐車場で、ここには2度訪れたが、美術館にはまだ入ったことがない最初はすぐ近くにある牛伏山。方位盤がある。

美駐車場からすぐ近くの牛伏山に登る

牛伏山頂上の方位盤

高原散策路

広い土の車道を歩く。代赭色の高原の原風景だが、やや埃っぽい

西に見えるアンテナの林とホテル、最高点の王ヶ頭

広大な高原の真ん中にある美ノ塔は近代的モニュメント。単調な高原風景にインパクトを与えているが、美ヶ原の原風景に溶け込んでいるように見える。裏に回って鐘を鳴らしている人たちがいて、私も一回、鳴らしてみる。

高原の原風景の中にある美ノ塔

美ノ塔は山本小屋を建てた故山本翁を記念して深田久弥の頃に造られ、裏に尾崎喜八の詩*が刻んである(日本百名山)

*「登りついて不意にひらけた眼前の風景にしばらくは世界の天井が抜けたかと思う・・・・・尋常の尺度にはまるで桁が外れている」

南側の急な崖と茶臼山(美ヶ原の原風景)

茶臼山頂上(2015年5月4日映像)・・・・・この日も天気は悪く、北アルプスは見えず。

大きな掲示板に美ヶ原の起源の解説があった。これは古い火山であり、山頂は侵食で平になったが、平地との間はなお断崖があるという。南には確かに急な崖がのぞいており、その向こうに茶臼山が見えている。北東方向にはなだらかな牛伏山。

平らな牛伏山・・・・・これも美ヶ原の原風景

王ヶ頭の鳥居と祠(2015年5月4日映像)

車道を更に西に進むと、やや登りとなり、林立する放送用アンテナと大きなホテルのある王ヶ頭に着く。これら林立する放送用アンテナと大きなホテルは王ヶ頭のシンボルになっているが、ホテルの裏にある古い鳥居、崖の手前にある頂上標識と三角点の周囲だけは時間が止まっているかのようだ。

鉢伏山

崖向こうの南にぼんやり見えているのは鉢伏山らしい。この山も、美ヶ原ほどではないが、高原の頂上を持っている。ガスが濃くなっていて、北アルプスは残念ながら見えない。

王ヶ頭の頂上・・・・・石標と三角点

西に続くガレ場から爺さん連中が登ってきた。そっちに王ヶ鼻があるはずなのでガレ場を下り、車道に入って更に歩く。時々車道をバスが通っていくが、ホテルのバスのようである。

王ヶ鼻

林の中を少し下って王ヶ鼻に着く。年代を経て風化した石仏や石碑がいくつも立っていて、瓦のように岩が割れている。西と南は崖。人が作ったものも、自然にできたものも、ここでは共に塵に還っていく。写真を撮ってくれと言う夫婦。カメラを撮り終わると、もうだいぶ暗い。帰途につく。

途中の分岐を北に行くと、武石山や焼山というのもあるらしい。再び牛伏山に登っていくと、ひと家族が後から登ってくる。美術館の大きな駐車場には車が一台きり。南のビーナス・ラインを下っていくと、頭上に王ヶ頭のホテルの明かりが見える。

松本に着き、ゲンコツ・ラーメンというのを食べる。BS特集で統合理論というのをやっていた。アインシュタインの一般相対性理論と量子力学を統合しようというリボンの理論というものらしい。

夕日の王ヶ頭