石神山     南秋田の花の稜線

秋田県  石神山1,142m、小安岳1,301m  2016年6月12日

旧秋田県の山・脚注

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高松岳に泥湯から登ったのは2012年3月だからもう4年前。あのときは除雪終点に駐車してシールで出発だったが、今回、その除雪終点の先には大きな駐車場があり、その大きな駐車場から歩き始める。

前回は尾根を登って稜線に出たが、夏道は稜線の西側をひたすらトラバースしてゆき、小安岳の南で稜線に出る。その手前で黄色い花(ヘビイチゴ?)。

小安分岐から小安岳(頂上標識、最高点)まで往復。そこから見る石神山は稜線からかなり離れて見え、日帰りで往復できるか心配になったが、その山は石神ではなく、吹突岳1,221mだった。

稜線は花盛りで、イワカガミの群落がたくさん。小さい白いのはミツバオウレンだろうか。石神分岐で最初の休憩をとり、石神に向かう。

ブログ情報(2014年6月と10月)の通り、だいぶ荒れてはいるが刈払いされたルートがあり、そのまますんなり行けそうな雰囲気。だが、コル手前の雪渓跡を北に下るあたりでGPS破線をだいぶ外れたため、稜線のヤブに入る。

ヤブをかき分けていくと、白く開けたコル(ダンブラというらしい)に出た。古い標識もある。行く手の登りには刈払いされた道があり、その先の岩場を登っていくと石神山の頂上に着いた。

それは大岩の上で、頂上標識はないが、GPSで石神山頂上であることを確認。一人分のスペースがあり、虫ネットをかぶって休憩。足元に小さなツガザクラがびっしり咲いている。

行く手には谷をはさんで吹突岳が大きく、周囲に高松岳、虎毛山、神室連峰が並ぶ。南秋田の名峰の景観。そのど真ん中にいることを実感する。

泥湯に戻って湯につかり、足の指の曲げ伸ばしをすると、足の筋肉が盛んにつる。湯からあがると雨が降り出し、秋田道で土砂降りの雨が降った。早めに下って正解だった。

写真に撮った花の数22はおそらく過去最多。一応同定できたのは20、不明の白い花が2種類。高松岳に花が多いのか、それとも私が花に目覚めたのか。

 石神分岐からの下りで見る石神山(画面中央の低いピーク)。 頂上が岩場になっている。 奥の高いピークは吹突岳
高松岳・・・・・長い頂上稜線の左が肩で右が頂上。1212年には北斜面を滑走して、このあたり(小安岳の南の稜線)に登り返した
タニウツギ
 ヘビイチゴ?
 イワカガミ
シラネアオイ
ウラジロヨウラク
 ツガザクラ?
ツマトリソウ
ショウジョウバカマ
  6:06 泥湯駐車場発  8:10 小安岳  8:38 石神分岐  9:46 石神山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・登り3時間40分10:02 石神山発11:49 石神分岐13:49 泥湯駐車場・・・・・・・・・・・・・・往復(含休憩)7時間43分

コルへの正しいルート(想定)

-往路は雪渓跡に下らず、稜線に上がってヤブを下ってコルに出た

-帰りはコルから北に下る踏み跡を辿るが、それは北に下る一方だった

-どうやら雪渓跡を辿るのが正しいルートのようだ

-左図の赤線が正しいと思われるルート

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泥湯に来るのは2012年3月以来、4年ぶり。そのときは雪山で、除雪終点に停めて雪原をシールで歩き、川沿いから砂防ダムの尾根を登ったが、雪原だった場所には大きな駐車場があり、川沿いを舗装車道が進み、砂防ダムのあたりで右に曲がり、山伏岳方面に伸びている。その車道の先、大駐車場の隣に高松岳への登山口がある。登山口を確認し、大駐車場に駐車。

暑くなると思ったが、寒かったのでレインウェアを着込み、軍手をはめ、ヘルメットをザックに付けて出発。今回忘れたのはリストバンド、それにデジカメのバッテリーの充電(使える予備が2個しかなかった)。持ってきて使ったのは虫ネット。登山口に入山カード入れがあったので、行く先を石神山にして投函。タニウツギのピンクの花。道は斜面をトラバースしながら少しづつ登っていき、砂防ダムの脇を通過。この沢の左岸尾根が2012年の登路だった。その左岸尾根も回り込み、更に南に斜面をトラバースしていく。もう暑くなってきて、平坦になったところでレインウェアを脱ぎ、ウォークマンを起動。フロイドのエコーズ年代。

登山道には湯を送るパイプが敷かれていたが、やがてその源泉に到達。沢の上流に白い湯気が立っている。その手前で右折し、更に南に向かう。高度が上がるに従い、右手に高松岳の稜線が見えてくる。登山道にはコゴミがたくさん立ちあがっている。2012年に北面滑走したときの高松岳の肩(P5・1310m)が見え、次いで頂上小屋が見えた。トラバースのロープ場のところで黄色い花(ヘビイチゴらしい)、九十九折りに稜線に登るところでも黄色い花(これはキスミレらしい)。高松岳の全景と山伏岳も見えてくる。青空の絶景に花盛りの道。そして小安岳分岐に着く。小安岳まで0.5kmとあったが、実際は200mくらい。イワカガミを最初に見る。小安岳頂上には頂上標識のみ。更に北に踏み跡が続いていたが、それは三角点まで続いていたようだ。この時はそうとは知らず、行きそこなう。2012年には、そうとは知らず、雪庇で歩きにくいこの稜線を北側から歩いてきて、三角点峰も通過している。休みたかったが、日が射して暑いので先に進む。

イワカガミの群落にミツバオウレン。そして石神分岐に着き、最初の休憩。ペットボトルを飲み、ヘルメットをかぶる。リストバンドを忘れていたことに気づき、愕然。結果的にそれほど問題ではなかった。石神分岐には「石神山1.3km」の案内がついており、ブログ情報のときから更に刈り払いが進んでいるのかも、と少し期待。このときは石神の奥に連なる吹突岳が石神山だと思っていて、そこまではだいぶあると感じていた。が、1.3kmならそれほどでもない。

長い下り。刈り払い道は明確だが、だいぶ荒れている。行く手の吹突の手前に石神山がくっきり見えている。道沿いにタケノコ多数。往路では採らず。樹間に入り、ヤブデマリと白い花(サンカヨウ)を見る。ヤブデマリの先で分岐があり、右に入るが引き返し、左に進む。残雪のかけらのあたりで雪渓跡と思われる溝が北に下っており、残雪が見える。それはGPSの破線からだいぶ外れているため、稜線上のヤブを進むことにする。ヤブ尾根は細く、南に下りそうになるところを稜線に登り返し、苦労の挙句、ひょっこり開けたコルに出る。北側の土や岩が白く変色している。コルの先の林斜面には踏み跡。そして古い案内標識「左・石神山0.4km、右・高松岳2.7km」まであった。わずか15分だが、長く感じた。コルから西の稜線はヤブだが稜線の北側はザレ場になっていて、ルート踏み跡は確認できない。帰りに確認することにし、西の踏み跡に進む。

古い刈り払いの跡がある踏み跡を進むと岩場になり、大きな岩の間を進み、最後の大岩が二つ並んでいるところに出る。四周が開け、行く手にはまだ遠く吹突岳が見えていたが、GPSによるとここが石神山頂上だ。左側の大岩がGPSの示す頂上で、その狭い頂上に上がり、腰を下ろす。標識も何もないが、ここが石神山の頂上だ。ハエがたくさん飛んでいるので、虫ネットをかぶり、ポカリを飲む。頂上の大岩を下り、隣の大岩にも登ってみる。

コルから稜線には道はないようなので、ザレ場を下ってみる。すると、ザレ場から草地に入るところに踏み跡があり、それを辿る。池塘まである湿地になり、ミズバショウの葉のような大きな植物がたくさんはえていたが、花はなし。踏み跡は崩れた沢筋に消えていて、きわどく沢を渡り、対岸の斜面を登っていくと、スダヤクシュが咲いていたので、写す。急斜面のそこにしか咲いてなかった。その先は踏み跡はなく、尾根を登ろうと思ったが、GPSによるとだいぶ北に外れており、尾根は北西に向かっている。仕方ないのでさっきの沢の川上側に下り、なんとか水にはまらずに対岸に渡り、南に向かってヤブ尾根を登る。GPS往路まで200mくらい。コンビニ袋を出し、タケノコを取りながら登る。タムシバがあり、花の附け根を見たが葉は1枚以上ついているように見える。コブシとどう違うんだろう。

残雪のところに復帰し、一安心。ショウジョウバカマが 一輪咲いていたが、櫛ヶ峰ほどではなかった。ツバメオモトとマイズルソウを確かに近い場所で発見。残雪から石神分岐までの登り返しはきつかった。ヤブだとマイペースだが、踏み跡があるとオーバーペースになるのだろうか。今(6/14・2日後)も腰が痛い。この間、コンビニ袋が二つ満杯になり、三つ目をザックの胸バンドにひっかけてタケノコを取る。コゴミも少々。ザックが満杯なのでスティックを出して使う。ようやく石神分岐に着き、ザックを下ろして休憩。ヘルメットをザックに付け、スパッツを入れていた四つ目のコンビニ袋を用意していると、大きな袋を担いだ老夫婦がやってきて、少し先で休憩。先に出発すると、「泊まったのか」と聞かれ「日帰り」と答える。老夫婦も歩きだしていたので、のんびり歩けなくなる。小安分岐からの下りで黄色いキスミレとヘビイチゴ。やや暗くなって花の写りが悪い。同定不可の白い花が更に二つ(ユキザサとコバノガマズミ)。新湯・源泉のところで最後の休憩。足を伸ばして休む。雨が降ってきそうな様子。黄色いスミレみたいな花(キスミレ?)。

駐車場に戻り、着替えてすぐに温泉に行く。入湯料500円。駐車場のトイレに行ったが、温泉の中にもあった。奥山旅館の天狗の湯。湯につかり、足の指の曲げ伸ばしをすると、足の筋肉が盛んにつる。湯からあがると雨が降り出し、秋田道で土砂降りの雨が降った。早めに下って正解だった。

写真に撮った花の数22はおそらく過去最多。一応同定できたのは20、不明の白い花が2種類。高松岳に花が多いのか、それとも私が花に目覚めたのか。

(追記)

・花(写真3から47に22枚):当時分からなかった白い花はサンカヨウとツマトリソウ

・小安岳(写真12、13):小安岳の三角点峰1,292mは小安岳頂上1,301mの北にあり、踏み跡が続いていたが、このときはそうとは知らず、行かなかった。三角点峰には2012年に歩いており、三角点峰から小安岳と高松岳の肩を見ている(2012年3月映像)

・虎毛山①(写真14、15):2009年8月に虎毛頂上から高松岳の東にある山を見て、登りたいと思い始めたのだが、それは石神山ではなく、吹突岳だったようだ。虎毛山から、高松岳、小安岳、石神山、吹突岳と並ぶ高松連峰を見る(2009年8月映像)

・高松岳(写真19、20):長い頂上稜線の左が肩で右が頂上。1212年には北斜面を滑走して、このあたり(小安岳の南の稜線)に登り返した。高松岳の肩からの北斜面は魅惑の雪斜面。気迫の滑走(2012年3月映像)

・石神分岐(写真22~24):標識には「←石神山1.3㎞、→高松岳2.0㎞」とあり、石神山まで簡単に行けそうな雰囲気。石神分岐付近からは、石神山、吹突岳、栗駒山が並んでいるのが見える。高松岳から見る、石神山、吹突山、栗駒山も素晴らしい(2012年3月映像)

・虎毛山②(写真33)ここにも頂上に小屋がある。虎毛山の頂上は池塘が広がる別天地。2009年に沢から登り、ルートを間違えてビバークするはめになり、翌日、頂上に到達したときはまさに地獄から天国だった。そのとき虎毛頂上から見た石神山に今回、到達し、虎毛を眺めると当時が思い出される。

・神室連峰(写真34)小又山、天狗森、神室山本峰、前神室山が並ぶ

・高松岳の頂上標識峰(写真36)高松岳の最高地点1,348mは避難小屋のある地点だが、なぜか頂上標識はそこから15mほど低い南側の小ピーク上にある。三角点があるわけでもない。

・石神山頂上(写真37)一人分のスペース。左奥は吹突岳。低い山だが南秋田の名峰のど真ん中にあり、眺望抜群。

・ショウジョウバカマ(写真41):雪渓跡に一輪だけぽつんと咲いていた。櫛ヶ峰で見たほどではないが、この花には不思議な輝きがある

1.泥湯温泉

2.高松岳登山口

3.花1・・・・・タニウツギ。登山口や新湯の先

4.新湯・・・・・登山口から40分。源泉をここからパイプで登山道沿いにひいている。

5.高松岳の頂上小屋が見えてくる

6.花2・・・・・ヘビイチゴ?稜線手前

7.花3・・・・・タネツケバナ?稜線手前

8.花4・・・・・オオバキスミレ?稜線手前。新湯手前でも見た

9.花5・・・・・ナナカマド?小安岳手前

10.花6・・・・・ゴゼンタチバナ?小安岳手前

11.小安岳頂上・・・・・最高地点1,301mの頂上標識。ここも眺望抜群

12.小安岳・三角点峰1,292m・・・・・小安岳頂上1,301mの北にあり、踏み跡が続いていたが、このときはそうとは知らず、行かなかった。

13.三角点峰から見る小安岳(2012年3月映像)・・・・・奥は高松岳の肩

14.虎毛山①・・・・・2009年8月に虎毛頂上から高松岳の東にある山を見て、登りたいと思い始めたのだが、それは石神山ではなく、吹突岳だったようだ

15.虎毛山から見る高松連峰(2009年8月映像)

・高松岳:左端

・小安岳:中央やや左のピーク

・石神山:中央やや右の低いピーク)

・吹突岳:右端

16.花7・・・・・イワカガミ。稜線上に群落が散在

17.花8・・・・・ミツバオウレン?稜線上。「イワカガミとよく群生する」らしい

18.山伏岳・・・・・高松岳の西

19.高松岳・・・・・長い頂上稜線の左が肩で右が頂上。1212年には北斜面を滑走して、このあたり(小安岳の南の稜線)に登り返した

20.高松岳の肩からの北斜面(2012年3月映像)・・・・・魅惑の雪斜面。気迫の滑走

21.花9・・・・・シラネアオイ。稜線上

22.石神分岐・・・・・「←石神山1.3㎞、→高松岳2.0㎞」とある。石神山まで簡単に行けそうな雰囲気

23.石神分岐付近から見る石神山、吹突岳、栗駒山

石神山:中央右手前の低いピーク

吹突岳:中央の黒い山

栗駒山:背景

24.高松岳から見る石神山、吹突山、栗駒山(2012年3月映像)

・石神分岐JP:中央手前

・石神山:右端手前の低いピーク

・吹突岳:中央の尾根が白い稜線

・栗駒山:最奥の白い大きな山

25.花10・・・・・ヤブデマリ。石神山への下り

26.花11・・・・・サンカヨウ。石神山への下り

27.雪渓跡の残雪・・・・・往路ではこれを辿らず、稜線のヤブを行く。

復路では北の廃道から南にヤブ斜面を登り、ここに出る。よって、この雪渓跡を辿るのが正解のようだ。

28.コルの開けた地形と白いザレ・・・・・旧「秋田県の山」ではダンブラとある

29.コルの古い案内・・・・・「石神山0.4㎞、高松岳2.7㎞」とある

30.花12・・・・・ミヤマシキミ?(その1) 石神山手前

31.花12´・・・・・ミヤマシキミ?(その2) 石神山手前

32.花13・・・・・ウラジロヨウラク?石神山手前

33.虎毛山②・・・・・ここにも頂上に小屋がある。虎毛山の頂上は池塘が広がる別天地。2009年に沢から登り、ルートを間違えてビバークするはめになり、翌日、頂上に到達したときはまさに地獄から天国だった。

そのとき虎毛頂上から見た石神山に今回、到達し、虎毛を眺めると当時が思い出される。

34.神室連峰・・・・・左から小又山(左端)、天狗森、神室山本峰(中央右の小ピーク)、前神室山(右端)

35.小安岳

36.高松岳の頂上標識峰・・・・・高松岳の最高地点1,348mは避難小屋のある地点だが、なぜか頂上標識はそこから15mほど低い南側の小ピーク上にある。三角点があるわけでもない。

37.石神山頂上・・・・・一人分のスペース。左奥は吹突岳。低い山だが南秋田の名峰のど真ん中にあり、眺望抜群。

38.花14・・・・・ツガザクラ?石神山頂上に密生していた

39.コルから稜線北側を北西に下る・・・・・微かな踏み跡があったが、途中の沢筋で途絶えていた(廃道)

40.花15・・・・・スダヤクシュ。廃道にて。復路の新湯手前でも見た

41.花16・・・・・ショウジョウバカマ。雪渓跡に一輪だけぽつんと咲いていた。櫛ヶ峰で見たほどではないが、この花には不思議な輝きがある

42.花17・・・・・ツバメオモト。雪渓跡付近。マイヅルソウと同じようなところに咲くらしい

43.花18・・・・・マイヅルソウ?雪渓跡付近

44.花19・・・・・タムシバ。石神分岐への登り返し

45.花20・・・・・ツマトリソウ?石神分岐への登り返し

46.花21・・・・・ユキザサ。新湯に下る手前

曇ってきて暗く、写りが悪い

47.花22・・・・・コバノガマズミ。新湯に下る手前。

48.泥湯・・・・・温泉に入っている間に雨が降り出した