御衣森(みそもり)     ヤブの中の可憐な花

秋田県  御衣森1,000m、太平山1,170m  2016年5月22日

(御衣森)旧秋田県の山・脚注

(太平山)日本三百名山

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太平山の東2.5㎞にある御衣森は旧「秋田県の山」太平山・脚注の山で、前年秋にトライしたが断念していて、2度目の挑戦。道のないヤブ尾根をたどる。ヤブの中の可憐な花

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土曜夜に旭又駐車場に入ると、先客の泊まりの車が一台。夕食を食べてすぐに寝る。翌朝は3時アラームで起きられず、出発は4時半過ぎ。もう明るくなっていてヘッドランプは不要

速足で太平山まで登ると快晴のよい天気。すぐに御衣森に向かう。P1までの微かな踏み跡にはカタクリがたくさん咲いていた。

P1からは残雪を辿ってP2を迂回、このときヤブ越しに御衣森を見る。P3は両側が切り立った細長いピークで、潅木やブッシュをかき分けてのヤブこぎは時間がかかった。ようやくP3頂上稜線を過ぎ、樹間にP4を見る。

コルのヤブはいずれも薄く、獣道らしき踏み跡もあり、比較的楽。P4への細尾根では右手(南側)の岩場に降りて灌木を迂回。P4を過ぎたあたりで御衣森を垣間見るが、もうだいぶへばっていた。微かな踏跡は御衣森の左斜面の途中で消えてしまい、そこから斜面をまっすぐ登り、御衣森頂上に到達。

潅木とブッシュのヤブ。何もなし。視界もなし。もう11時半になっていたのですぐに帰路につく。

花粉症の症状がひどく、何度もティッシュで洟をかむ。立ち止まると虫がたかり、ヤブでレイングローブは破れ、手首は傷だらけ。虫ネットとリストバンドを持ってくるんだった。

三角点もないヤブ山の頂上は余り感動もなかったが、ヤブの中のカタクリやタムシバは登山道で見るより格段に美しく見え、感動的だった。

GPSが無ければ登りも戻りも難しかっただろうが、たいへんなヤブでも少し尾根を外せば楽なトラバース路が見つかることが分かった。これまでで最も辛く、難しいヤブ山だった。

 P2付近でヤブ越しに見る御衣森(みそもり)
 ヤブのタムシバ1
 ヤブのタムシバ2
 ヤブのタムシバ3
 ヤブのキクザキイチゲ
 ヤブのカタクリ
御衣森頂上のヤブの中のコケむした岩
 4:19 旭又駐車場発(標高290m)  7:06 太平山11:12 御衣森1,000m・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往路6時間53分11:15 御衣森発16:24 太平山18:48 旭又駐車場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰路7時間33分        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・往復(含休憩)14時間29分
往路8.0㎞、標高差1,130m、速度1.2㎞/h、164m/h帰路8.1㎞、標高差463m、速度1.1㎞/h
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太平山の東2.5㎞にある御衣森は旧「秋田県の山」太平山・脚注の山で、前年秋にトライしたが断念していて、2度目の挑戦。道のないヤブ尾根をたどる。ヤブの中の可憐な花。

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土曜夜に旭又駐車場に入ると、先客の泊まりの車が一台。夕食を食べてすぐに寝る。2年前に時間切れで登れなかった反省を踏まえ、今回は3時にアラームを鳴らす。が、すぐには起きられず、起きたのは3時半過ぎ。そこからどんどん明るくなり、出発するときはもうヘッドランプは不要になっていた。先客の男性も起きていて、挨拶して出発。ヘルメットを忘れていたことに気づき、引き返す。赤倉岳への分岐を過ぎ、最初の橋を渡って旭又沢の左岸へ。のんびりペースでなく、速足に近い。木道を歩き、宝蔵岳分岐を過ぎ、着こんでいたレインウェアを脱ぐ。まっすぐな道の先で二つ目の橋を弟子還沢の右岸に渡る。御滝神社の先であやめ坂となり、九十九折りをどんどん登る。御手洗神社に着き、最初の休憩。というか、用を足す。七曲という九十九折りを元気に登る。花がたくさん咲いていて、馬場目岳も見えてくる。ポカリ1本目を飲む。尾根に達すると頂上小屋が見える。尾根分岐のところにある鐘を一つ撞く。少し下りとなり、大きな鳥居をくぐるが、左肩が曲がっている。雪のためだろうか。「あま池」という浅い池が二つあり、ガマガエルがたくさん交尾していた。ゲロゲロと騒がしい。踏みつけないように歩く。その先にカタクリとキクザキイチゲの群落。ヤマザクラも咲いていた。

太平山頂に登ると快晴の良い天気。一等三角点と社と大鳥居を写し、方位盤と山々を写す。番鳥森と秋田駒、大仏岳に白子森。そして背後には残雪の鳥海山(写真ではほとんど見えない)。方位盤にはないが、御衣森は白子森の手前に見えている。宿泊小屋の裏に回り、ヘルメットをかぶり、レイングローブをはめて御衣森に向かう。しばらくは背後に頂上小屋が見えていたが、やがて見えなくなる。微かな踏み跡はブッシュの中に続いており、しばらくはそれを辿る。最初はタムシバ、次にカタクリ、そして紫色のキクザキイチゲ。カタクリは踏まずに歩けないほどたくさん咲いていた。いったん緩く登り返してP1認定。そのすぐ先に残雪のある溝があり、溝を渡った先に上がる。ここは前回、溝を辿って引き返した覚えがあるが、今回はGPSがあるので方角は分かる。

また残雪の溝があり、今度は左(北)側の残雪に下り、P1からは残雪を辿ってP2をトラバースする。このときヤブ越しに御衣森を見る。前回、P2に登ってひどく苦労した記憶があり、踏み跡は北側をトラバースしているのではないかと思ったのだが、今回は残雪で踏み跡の確認は難しいものの、トラバースは正解だったと思う。残雪を歩くのはブッシュのヤブこぎと比べて数倍早くて楽だろう。花粉と埃でクシャミと鼻水が止まらない。下山後の日曜夜と月曜が一番ひどかった。ピンクフロイドをリマージェンスのあたりから鳴らす。

残雪をつないでコルに達し、緩い登り返し。細尾根の上は強烈なヤブだが、コル付近のヤブは薄く、比較的歩きやすい。長いP3稜線に上がると潅木ヤブが強烈。枝に古くなってバラバラになった梱包用テープの残骸がいくつも残っていた。いつ頃のものなのだろう。GPSに1,054mとあるP3に到達。視界なし。目印なし。そこからのP3稜線歩きが長く苦しい灌木ヤブで、往復とも、一番辛いものだった。P3は両側が切り立った細長いピークで、潅木やブッシュをかき分けてのヤブこぎは時間がかかった。9時15分になってようやく、行く手にP4が見えてくる。それは鋭角三角形をしていて、最初は御衣森だと思った。遠目にはP4は御衣森と重なり、見分けにくくなっているようだ。

P3稜線末端からコル4への下りの最初は崖になっていて、ブッシュを掴んで後ろ向きに降りる。マイナーピーク手前でザックを下ろして最初の休憩。ただし、虫が多く、虫ネットやリストバンドを持ってこなかったので、腰を下ろさずに二つ目のペットボトルを8分ほど空けたと思う。横になれないのは辛い。このときはP4を御衣森だと思っていたので、その姿を丹念に写す。P4への細尾根では南西側が崖になっていて、右手(南側)の岩場に降りて灌木を迂回、ヤブ尾根を少しでもトラバースする。ヤブから出ると日差しが暑い。そして林の中のP4に到達。GPSはここはP4であり、御衣森ではないと告げているので、先に進む。

樹間に御衣森を垣間見て、コル5に下降。もうだいぶへばっていた。コルのヤブはいずれも薄く、獣道らしき踏み跡もあり、比較的楽。ここもコルからしばらくはヤブは薄く、獣道らしき踏み跡がある。

微かな踏跡は御衣森の左(北)斜面をトラバースしてゆき、やがて消えてしまったので、そこから斜面をまっすぐ登る。ブッシュを掴んでの強烈な登り。踏み跡を登っている途中で、背後の樹間に太平山頂上と頂上小屋を見る。そしてブッシュの中の最高地点、御衣森頂上に到達。灌木とブッシュのヤブ。視界なし、標識も何もなし。わずかに苔のついた岩の一角。行く手の北東側には残雪の森吉山。右側にヒバクラ岳。その手前は1,067m峰と1,035m峰のようだ。白子森は1,035m峰の背後。もう11時半になっていたので、すぐに帰路につく。

トラバースせずに尾根をまっすぐ下るが、南に下りすぎてしまい、北に戻って往路の踏み跡に戻る。P4から岩場トラバースも交えて下り、マイナーピークの下で休憩。4本あったポカリの3本目を空けたと思う。腰を下ろしたと言うより、へたり込んだ感じ。P3尾根にタムシバの群落。P3を抜けるとブナの大木に「悟朗」と彫られている。いつのものだろう。尾根から雪渓の上に下ったところで休憩。もう難場は終わった。ポカリ4本目飲む。雪渓をたどるが、往路よりも大きく下側を回る。尾根に戻る位置は分かりにくかった。溝から尾根に上がり、P1認定。

花粉症の症状がひどく、何度もティッシュで洟をかむ。立ち止まると虫がたかり、ヤブでレイングローブは破れ、手首は傷だらけ。虫ネットとリストバンドを持ってくるんだった。レイングローブには穴があき、人差し指と中指が飛び出してしまった。ヤブは軍手にすべきか。2000円使い捨てか。

踏み跡のカタクリの群落は、登り返しの時の方が歩きにくい。踏まないで歩くのは難しいほどに咲いている。帰りはキクザキイチゲは見ず。ヤブの上に眺望が開け、頂上小屋や背後の御衣森が見える。一歩一歩登り、ついに小屋の裏に到達。壁際まで登り、座り込む。疲れた。涼しい風が吹いており、虫もほとんどいない。五つ目のペットボトル、カフェオレを半分飲む。

夕日の太平山頂上に寄り、下山。トイレに寄ってみると使えるようなので、使わせてもらう。これは助かった。水洗でない自然濾過トイレ。破れたレイングローブをしまい、ウォーキングスティックを出して下りに使う。足が疲れ切っていたので、これは大正解。ウォークマンは二つ目になっていたが、アトム・ハート・マザーが素晴らしい。1971年初頭のハンブルグとロッテルダムだったようだ。帰りの車でも聞く。なるほど。短いと思った御手洗神社までは長かった。ようやく着き、ベンチに横になる。カフェオレを飲み干したが、御手洗の水をひしゃくですくって飲むとうまかった。御滝神社で最後の休憩。横になって頭上の木々と空を写す。トチノキの大きな葉。二つ目の橋の先にあった水場で、コップの水を2杯のむ。うまい。暗くなる前に駐車場到着。秋ならもう真っ暗だ。

着替えてとりあえずさっぱりし、出発。もう暗い。慎重に運転する。前回寄ったオーバスに行くが、19時半で終了だという。距離はあるが、ユフォーレに行く。途中でタヌキを2匹(二匹目はクマ?)を轢きそうになり、急ブレーキ。

三角点もないヤブ山の頂上は余り感動もなかったが、ヤブの中のカタクリやタムシバは登山道で見るより格段に美しく見え、感動的だった。

GPSが無ければ登りも戻りも難しかっただろうが、たいへんなヤブでも少し尾根を外せば楽なトラバース路が見つかることが分かった。これまでで最も辛く、難しいヤブ山だった。

  1.旭又駐車場・・・・・前夜に入り、早朝に出発

  2.御滝神社

  3.花1・・・・・イワカガミ

  4.御手洗の池・・・・・復路でひしゃくについで飲むとうまかった

  5.花2・・・・・スミレ

  6.花3・・・・・ヤマデブリ?

  7.花4.・・・・・シラネアオイ

  8.花5・・・・・タムシバ

  9.馬場目岳・・・・・北西方面

  10.稜線の鐘

  11.稜線の鐘から見る太平山頂上

  12.太平山頂上の頂上小屋と社・・・・・右手前にトイレ

  13.花6・・・・・カタクリ

  14.花7・・・・・ヤマザクラ

  15.花8・・・・・キクザキイチゲという花らしい

  16.番鳥森(手前)と秋田駒ヶ岳(背景)・・・・・西方向

  17.大仏岳・・・・・西方向

  18.白子森・・・・・北東方向

  19.太平山頂上の鳥居

  20.太平山頂上の社

  21.一等三角点

  22.太平山の北尾根・・・・・奥から馬場目岳(左奥)、赤倉岳、笹森と並ぶ

23.太平山の東尾根・・・・・御衣森への稜線。左奥のやや低ピークが御衣森。その右後が白子森(合成)

24.(2年前の秋) 

太平山の東尾根・・・・・御衣森への稜線。左奥のやや低ピークが御衣森。その右後が白子森(2014年10月12日映像)

25.御衣森

26.東尾根から見る太平山頂上の頂上小屋・・・・・ヤブから見上げるこの光景は帰り道を示していた

27.花5・・・・・ヤブの中のタムシバ2

28.花8・・・・・ヤブの中のキクザキイチゲ

29.花6・・・・・ヤブのカタクリ。ヤブの中の踏跡にカタクリの群落が一面に花を咲かせていて、踏まずに歩けないほどだった

30.残雪

31.P4・・・・手前の細尾根で岩場に降りて灌木を迂回したときの情景

32.御衣森・・・・・P4の先のヤブ間

33.御衣森頂上のヤブの中のコケむした岩

34.森吉山・・・・・御衣森のヤブ間より

35.花5・・・・・ヤブのタムシバ1

36.花5・・・・・ヤブのタムシバ3

36.花5・・・・・ヤブのタムシバ4。ひっそりと咲こうとしている可憐なタムシバ

37.花5・・・・・ヤブのタムシバ5。少々咲きくたびれているタムシバ

38.ブナの幹に刻まれた文字「悟朗」?・・・・・P3とP2の間のこコル付近