⑩「菜摘会」

41号 平成22年3月発行

紫式部が書いた「源氏物語」が世に登場してから昨年は千年。種々の催しで賑わった年であった。

私が入会している札幌南区の読書グループ「菜摘会」は、昭和四十年に発足して今年で四十五周年を迎える会である。その上源氏物語は二回目という事であるが、主人公の光源氏が世を去った所で、この会の幕をとじる事になっている。私は十勝から移り住み会員になって、十二年の歳月が過ぎた。

大樹町図書館主催で、源氏物語を自分達で読み進めていた事もあって、知人の紹介で入会させて貰った。

三十名以上の会員が居た頃もあったらしいが、亡くなった方、九十歳過ぎて退会した方、病気になった方、等々で、今は半数になっている。

菜摘会が発足した頃、夫の転勤で十勝と札幌を二往復(?)した事になるが、南区の団地で二度目の札幌暮しをしていた。当時は、姑と二人の子育てで日々忙しかった。団地のすぐ近くの集会所で、この会の存在を知り、何時の日にかと思い暮していたものである。

三十年後にやっと念願がかなったのである。

今、思い出に残る懐かしい事は、大樹町の「源氏を読む会」の二十周年記念行事に、菜摘会として二十名近い会員と家族が参加させて貰った事であろう。

宇野先生*御夫妻・今は亡き夫も同行した。

晩成温泉での祝賀会・宴会・その夜は温泉宿泊もした。翌日、町のバスで町内の観光名所と施設を案内して頂き、また、帯広への送迎とすっかりお世話になり、一同はとても感激していた。私も誇らしい気持で帰途についた事を今も忘れない。

宇野先生、会員の方達から、時々大樹の話が出て、「また行きたいわねー」と話し合っている。

菜摘会は、宇野先生の御指導の下、楽しい会である。先生は八十歳を過ぎられたが、登山で鍛えられた元気な方である。二回目の源氏物語に接して、初回とは感じ方が全然異なると、話しておられる。

光源氏が妻の紫の上を亡くして、春夏秋冬の折々に、一年以上も涙にくれた生活をする場面がある。今迄読み進めてきて、私には今一番味わい深い内容と思っている。

八月の最終講義の後、各自が感想を話してほしいと前から先生にいわれていたが、それは九月の会をしめくくる昼食会の時にと延ばされた。

八月二十四日、二頁程残っている「幻」の文章の講義を終えた後、道新の取材を受けた。四十五年もの長い年月を続けてこられた宇野先生の偉業を称える為にである。私が知り合いの記者に連絡した所、快く来てくれた。

先生のお話・会員の心からの感謝の言葉、そして何枚も写真を写してもらった。

その後、花 束贈呈と会員全員十三名(その日の出席者)のお礼の言葉を申し上げて閉会となった。

エゾノキュウキンカ