ツ. 朝がゆ

今はグルメの時代といわれる半面、素朴なおかゆが見直されている。

中国の人々は、家族で朝がゆを食べに食堂へ行くと聞いている。

日本でも結構な値段でおかゆが、メニューに加えられ、おかゆ駅弁まで売られている。

我が家でも2、3日毎に朝がゆを食べている。

おかゆといっても米から炊き上げる本格的なおかゆではない。

冷御飯でつくる。

有合せの野菜をコンソメスープで煮上げる。水洗いしてざるに上げた御飯をざっと入れて、2、3分煮立てる。味見をして長ねぎ、卵で仕上げる。

寒い朝に「フウーフウー」と食べると体の芯から温まる。

朝食におかゆを食べる事が出来るのも、夫が退職したおかげといえる。

エゾミソハギ

34年程下手ながら弁当を作ってきた私に、夫から特に労いの言葉などなかったと思うが、私自身がホッとしている。

つまり朝食に炊きたての御飯がなくても、「チーン」と電子レンジで冷御飯を温めて食べる事も出来る。でもおかゆのもう一つの利点は卵についてもいうことが出来る。

夫は卵が大好物で毎朝のように味噌汁の中におとして食べている。

それが結構むずかしく

「今日は少し固すぎた。」

「これは一寸早いな。」

と何か一言ある。

二人だけの食卓の話題作りとして言うのだと夫は威張っているが、私には文句に聞こえる。

おかゆは卵をちらしてしまうので、開放された気分になるのが良い。

(1989年5月)