モ. 詩 「由美ちゃんへ捧ぐ」
由美ちゃん
由美ちゃん
あなたは何故四歳半の幼さでこの世を去ったの
あなたは何故四歳半の幼さでこの世を去ったの
毎日楽しく通っていた幼稚園で
毎日楽しく通っていた幼稚園で
父の日のプレゼントにと紙で作ったネクタイを
父の日のプレゼントにと紙で作ったネクタイを
大好きなお父さんへ贈った
大好きなお父さんへ贈った
その日に車にはねられたという
その日に車にはねられたという
あなたのお父さんを小学生の頃から
あなたのお父さんを小学生の頃から
良く知っているおばちゃんが
良く知っているおばちゃんが
お父さんそっくりの顔写真と共に
お父さんそっくりの顔写真と共に
訃報を知らせる新聞の記事に
訃報を知らせる新聞の記事に
只 呆然としていました
只 呆然としていました
でもあなたとは一度も逢った事はなかったわね
でもあなたとは一度も逢った事はなかったわね
一寸離れた町に住み
一寸離れた町に住み
ここ何年かはお父さんと会う事もなかったので
ここ何年かはお父さんと会う事もなかったので
あなたの生まれたのも知らなかったの
あなたの生まれたのも知らなかったの
告別式のその日 幼稚園のお友達の代表が並び
告別式のその日 幼稚園のお友達の代表が並び
可愛がって下さった先生が 涙ながらに
可愛がって下さった先生が 涙ながらに
日頃のあなたのエピソードをつたえる弔詞と
日頃のあなたのエピソードをつたえる弔詞と
お友達が揃って
お友達が揃って
「由美ちゃん さようなら」
「由美ちゃん さようなら」
といった時 皆泣きました
といった時 皆泣きました
いよいよ出棺になり
いよいよ出棺になり
そっと外へと思ったおばちゃんに
そっと外へと思ったおばちゃんに
誰かがお花を一輪渡してくれました
誰かがお花を一輪渡してくれました
次々にあなたのお棺にお花をかざり
次々にあなたのお棺にお花をかざり
最後のお別れをする大勢の人にまじり
最後のお別れをする大勢の人にまじり
物言わぬ あなたと初対面したのです
物言わぬ あなたと初対面したのです
小さなお棺の蓋が明けられた途端
小さなお棺の蓋が明けられた途端
「由美!」と叫ぶお母さんの悲痛な声と
「由美!」と叫ぶお母さんの悲痛な声と
「由美 由美」と泣きながら
「由美 由美」と泣きながら
顔をなぜているらしいお父さんの声を聞いて
顔をなぜているらしいお父さんの声を聞いて
おばちゃんも泣きました
おばちゃんも泣きました
でも花に囲まれた色白の可愛いい眠るようなあなたと
でも花に囲まれた色白の可愛いい眠るようなあなたと
はじめてそして最後の対面をした時
はじめてそして最後の対面をした時
もっと自分でも驚くほどはげしく泣きました
もっと自分でも驚くほどはげしく泣きました
やさしいお父さんには何も言葉をかけられず
やさしいお父さんには何も言葉をかけられず
そっと 肩に手をおいて顔を見合すだけでした
そっと 肩に手をおいて顔を見合すだけでした
そのそばで悲しみに沈むお母さんは
そのそばで悲しみに沈むお母さんは
自分を追って道路に出たあなたが
自分を追って道路に出たあなたが
こんな事になったのですから
こんな事になったのですから
いつ迄も自分を責める事でしょう
いつ迄も自分を責める事でしょう
でも許してあげて下さいね
でも許してあげて下さいね
随分おばちゃんは肉親や親しい人を亡くしたけど
随分おばちゃんは肉親や親しい人を亡くしたけど
あなたのように小さな人のお葬式は
あなたのように小さな人のお葬式は
はじめてでしたし
はじめてでしたし
よその人が亡くなって
よその人が亡くなって
あんなに泣いたのもはじめてです
あんなに泣いたのもはじめてです
でもお坊さんのお話しに
でもお坊さんのお話しに
「由美ちゃんの冥土への足どりはおぼつかなくても
「由美ちゃんの冥土への足どりはおぼつかなくても
こんなに大勢の人が見守っている」とあったでしょう
こんなに大勢の人が見守っている」とあったでしょう
由美ちゃん
由美ちゃん
あなたは お父さん お母さんのこんな悲しみを
あなたは お父さん お母さんのこんな悲しみを
よその御両親には
よその御両親には
二度と体験させないようにどうぞ
二度と体験させないようにどうぞ
見守ってて下さいね
見守ってて下さいね
追記
追記
あまりに悲しい体験をし、なんとか文章にと思って書いて見ても説明が多くなり、まわりくどい文になりそうで、生まれてはじめての詩とはいえない詩にまとめてみました。
あまりに悲しい体験をし、なんとか文章にと思って書いて見ても説明が多くなり、まわりくどい文になりそうで、生まれてはじめての詩とはいえない詩にまとめてみました。