前のページでは、「多読クラス」の流れとともに、
『最初にこちらが見るべきところ』というお話をしました。
開いているページと音声が合っていれば、まずはOKとします。
子どもたちには「どこを読んでいるのか分かる能力」
というのがあるからです。
その能力とともにテープを聴くことに慣れてくれば、
私が「見るべきところ」、「気にするところ」
というのは違う「段階」に移っていくことができます。
それは、『本が適切かどうか』ということです。
『100万語多読』には「多読3原則」というものがあります。
①『辞書はひかない・和訳しない』
②『辞書を引かなくても十分わかる本を読み、
わからないところは飛ばす』
③『つまらなくなった本は読むのをやめて、後まわしにする』
というものです。
3つ目の『つまらない本はやめる』という点に関して、
素晴らしい例がありました。
ひとりの女の子がある本を読み始めました・・・。
しかし、何かこちらを気にしています。
何を読んでいるのかなぁと覗いてみると、
虫などの写真がいっぱい出てくる本でした。
知らずに開いてしまったその子は、半分泣きそうな顔をしています。
「○○ちゃん、虫とか好きなの~?」と聞くと、
首を横に振りましたので、私は迷わず本を“取り上げ”ました(笑)。
その瞬間、彼女の表情が晴れるのを確認し、
隣にあった別の本を薦めました。
学校の教科書やテストだったらキライな文章、
つまらない文章でも読むことを強制されてしまいますが、
それでは英語から「離れよう」という気持ちが育つばかりです。
『苦痛の1冊より、楽しいと思える2冊を!』というのは
SSS多読においてよく言われることです。
英語習得に限らず、
言語を身につけようとしている時に大切なことは、
『続ける』ということだと感じています。
そのためにはやはり、「楽しく」なければなりません。
しかし、この「楽しい」というのがクセ者で、
「楽しい」かどうかというのは『自分にしか』分からないものです。
どんなに“楽しい”教授法というものがあったとしても、
どんなに“楽しそうに”していても、
学ぶ側の人の「その時の気分」というものにはかないません。
多読では、『自分から』本を選んで読んでいきます。
先の3つの原則があるので、
分からないところは飛ばしたり、読むのをやめたりしながら、
英語に触れる「量」を増やしていきます。
その過程でよく出てくる言葉や表現に慣れていき、
『“20歳前後になった頃に使える英語”を身につける』
というのが、子どもの場合の多読の「基本コンセプト」
ではないかと考えています。
つまり、目標としては
「話す」という方向に向いているということです。
「話す能力」というのは
「知識」ではなく、「感覚」なので
『いつまでに○○を完成させる!』と目標を立てたりしても、
大抵そのレベルには達しません。
『気が付いたらできている』というのが
より適切な表現ではないでしょうか。
それについては、また次回お話します!