前のページでは、
『訳すことの2番目の弊害』
についてお話させて頂きました。
今回は多読3原則の2つ目、
『わからないところは飛ばす』
について考えていきたいと思います。
『わからないところは飛ばす』というのは、
実に「いい加減」な言い方です(笑)
初めて読むと、
「そんなんでホントにいいのー?」
と思われる方も多いのではないかと思います。
それは、飛ばしていると、
① いつまでたっても単語の意味がわからないのではないか
② 話が追えなくなるのではないか
などの心配があるからです。
①については、
『知らない単語があっても、ストーリー自体を楽しめているならば、
その単語がわからなくても問題はない』
②については、
『飛ばしても話が追えるものを選んで読む』、
或いは『わからない単語がほとんどない、
やさしいと感じるレベルの本を選ぶ』ということが大切になってきます。
つまりそれは、『楽しく読む』に尽きる! ということです。
母語であれば普段の生活から、
体の動作やリアルな映像として、
すなわち『経験』として、
言葉の使われるべき状況というのを理解できますが、
外国語ではそういった「裏付け(バックグランド)」がありません。
だからこそ『絵本から入る』のです。
言葉がわかるためには、
「訳語の理解」よりも
「状況の理解」の方が、はるかに大切になるのではないかと思います。
でも、その「状況の理解」のためには、
言葉以外の『視覚的なモノ』が大いに助けとなります。
そのひとつが絵本の「絵」です。
実は「音」もそのひとつだと思うのですが、
それについてはまた違う機会に、
改めて考えることにしましょう。
私たち人間は、大人も子どもも、
それこそ赤ちゃんからお年寄りの方々まで、
みんな同じ『ことばの世界』を共有しています。
同じことばの世界ではありますが、
当然ながら理解できる「範囲」というのは
個人や年代によって異なります。
それは「大人は全部わかっていて、子どもは全然わかってない」
というような単純なものではありません。
どうして「大人」は
“わからない” ということに対して
「ネガティブ」になるのでしょうか?
そして、どうして英語を読む時に限って、
何かに取り憑かれたように(笑)
「わからない単語」の方にばかり注目してしまうのでしょうか?
「楽しい」「つまらない」という判断が出来るということは、
ストーリーの流れを「追えている」ということです。
その『自分の感覚』を信じて、
「楽しい」と思える本を探すかのように、ドンドン読んでいく。
その過程で、単語の “意味” も含めて色々なことに気が付くことができる
のではないかと感じています。