43作での新発見!

2018/8/4

「43作での新発見!」  男はつらいよ

今回もまたロケ地について

衝撃の真実が判明した。



どのロケ地本にも載っていないし

恐らくどなたも発見されていない。



ただ、今回発見した新事実は

ストーリーとは関係ない事実のため

本編の展開を純粋に楽しんでいる方にとっては

あまり知りたくない新事実かもしれない。


もしご覧になるようであれば

自己責任でお願いしたい。




しかしこれは紛れもない事実であり

「飛耳長目録」としてはしっかりと

経緯と結果を記録したいと思う。


とは言え、正直言って寅の訪れた土地が

また一つ新たに発見できたという事は

非常に嬉しい!




寅を愛し、本編を愛し、ロケ地も愛し

そして山田組の仕事をこよなく愛し

その全てを受け入れて頂けるような

そんな寅ファンの皆様にお届けしたい!





それでは衝撃の真実をどうぞ!





***





今回お伝えするのは

第43作 はつらいよ

寅次郎の休日

1990年12月22日公開



映画序盤、ある店先の赤電話から

柴又に電話をする寅のシーン。 

「何処から電話しているの?お兄ちゃん」

と、妹さくらに聞かれ

「日本のどっかからよ」と応える寅。


電話を終えた後、そのお店で少しやり取りがあり

寅が歩いて行くシーンとなる。 

今作での主たるロケ地は大分県日田市。

そしてこの寅が歩いて行くシーンも大分県。 

映画(上段)とストリートビュー(下段)で比較してみた。

奥に見える山がとても特徴的。



ここは大分県日田市小野。

このロケ地は以前寅友の方々が発見された場所である。



もう一度電話のシーン。

寅の後ろに同じような山が見えている。 

そして店先のシーン。 

最後寅が歩いているシーン。 

この一連のシーンは約3分間あるのだが

特に何も違和感を感じないので全て同じ場所で

撮影されたシーンと誰もが思うはずである。





当然ココを発見された寅友の方々も

そのシーンのすべてがここにあるものと考え

何の疑いもなく近辺の散策をしたのであった。




で撮影で使われたお店の候補として出できたのがここ。

右側に見えるこのお店では?となった。 

奥にはあの特徴的な山も見える。






映画と比較してみた。 

雰囲気は何となく似ている。

木枠の引戸も同じように見える。





もう少し細かく比較してみる。





寅が電話しているシーン。 

奥に見えるあの山が同じであると仮定して比較してみる。


?@カーブミラーは同じような角度ではあるが

位置が全く違う。(奥の赤印)



?A向こうにある家が違う。

(映画に映る青い屋根水色印の家が無い。)



?B本編で少し見える屋根が無い。(黄色印)

もしかすると建物が取り壊されたのかもしれない。

そして新しくカーブミラーが設置された?(手前赤印)





次に店先でのシーンを比較。 

?C本編では道路に黄色で囲まれた四角い蓋のようなものがある(赤枠)

しかし現在の現場にはそれらしきものが無い。(赤点線囲み)


?D建物と道路の境界部分が違う。(緑枠)




寅仲間で色々と意見交換をした結果

?@~?Dのような相違点の話ばかり。



う~ん…

共通点がない!


結論!

この店は…

恐らく違う! 

て、いうかそもそも背景の山が違う!



いくつものロケ地を探してきた寅友の方々も

この場所は違う!と直感的に感じていた。



では一体店はどこに?




結局この店はどこにあるのか全くわからず

迷宮入りに近い状態で

あっという間に数年の月日が

流れてしまったのであった。




場所の特定はそのお店の方か、もしくは

撮影を目撃した方からの情報でもないと

永久的に発見はされないと思っていた。



ところが・・・


最近、寅友であるロケ地巡りの達人

ちびとらさんがこの地を訪れ

現地での聞き込みやその空気感から

ある仮説を導き出した。


それは…


もしかするとこの店のシーンだけ

神奈川で

撮影されたのでは?





この言葉にはとても共感できるものがあった!

実際ここ最近発見されたロケ地は

実は関東近郊で撮影されていた、という事実が

多かったからだ。





この言葉を聞いたのが7月31日



もう一度入念に検証するべく

この3分間のシーンを隅から隅まで見直してみた。






そしてこのシーンである事実に気が付いた! 

はっ!こ、これは…





数年前では全くわからなかったが

今回はわかった!

時代の勝利かもしれない。




それから更に調べる事4日間、

8月3日

遂にその時は来た!





ご覧頂こう!

これが数年探し求めていた

ロケの現場なのである! 

※注)元画像はストリートビューのため

   全く同じアングルにはなっていない事は

   ご容赦願いたい。





それでは検証してみよう。


先ずは電話のシーン。


比較画像で目印を探してみる。 

カメラアングルが合わせられないため

それぞれの位置が本編とはずれているが


①・・・カーブミラー(赤印)


②・・・青い屋根の家(水色印)


③・・・建物の屋根(黄色印)



②のアップ比較画像 

手前の家は変わっているが

奥の青い屋根の家は同じ


少し別角度のアップ 

こちらの方がわかる。



③のアップ比較画像 

角度が違うので広めにして比較。

シャッターは閉まっているが屋根上や柱など特徴が同じ




この3点の物的証拠が一致!







念のため店先でのシーンも比較してみる。 

現在のお店はまだお見せできないので

赤枠で囲った部分で比較。 

上が本編、下が現在。




アップで比較!


黄色の囲みは蓋の周りから無くなっているが位置が一緒。


そして何より右側の石垣が一緒!








以上の物証から

43作で撮影された場所は

ココなのである! 


などといろいろ言ってはみたが

結局のところ一番の決め手は…

山が同じ!  


そして今回の発見でわかったことは…


ロケ地は大分県ではなく

またしても

神奈川県だったのである!



シーンをまとめると次のようになる。



寅が電話をしている。 

(神奈川県)




店先のシーン 

(神奈川県)




店の中のシーン 

(神奈川県)



寅が歩いて行くシーン 

(大分県)



という事になる。



想像を最大限膨らませれば

大分に向かう途中で神奈川に寄り

そこで施しを受けた寅が

最終的には大分の道を歩いていた、

という見方もできなくはない?


と、かなりの無理があるので

この点が本編を純粋に愛する方に対して

大変失礼になるのではと危惧しており

今回冒頭ようなご挨拶となったのである。


遂に現場に行くことができた。



それがこちら! 

場所は

神奈川県南足柄市矢倉沢 

ここは南足柄市公式サイトにも紹介されている

有名なハイキングコース「矢倉岳コース」の

スタート地点でもある。 

近くにはバス停も。 

***

矢倉岳コース


コース概要

足柄平野からみるとお椀をふせたような美しい姿の矢倉岳。

矢倉岳からは急登のあとにたどりつく頂上で、富士山から箱根、丹沢に連なる大パノラマの眺望に感動がひとしお。


矢倉沢(トイレあり)

 ↓ 徒歩140分(2.8キロメートル)

矢倉岳

 ↓ 徒歩75分(3.1キロメートル)

足柄万葉公園

 ↓ 徒歩7分(0.54キロメートル)

聖天堂(トイレあり)

 ↓ 徒歩50分(2.29キロメートル)

地蔵堂(トイレあり) 

出典:南足柄市HPより

***


更にこの場所は「男はつらいよ」だけでなく

その他にもロケが行われている有名な場所だったのである。



2017年10月20日~

【毎週金曜】よる11時15分~放送

テレビ朝日系 金曜ナイトドラマ

玉森裕太さん主演「重要参考人探偵」第3話


2016年1月15日~

【毎週金曜】よる11時00分~放送

TBS系「金曜ドラマ」

綾瀬はるかさん主演「私を離さないで」


そのロケ地になったのが

「ペンションまつが」 

この道を真っすぐに進んだ先にある。



訪れてみて初めて分かった事実。



ではなぜこの場所が「男はつらいよ」の

映画でのロケ地になったのか?


想像するに矢倉沢はかなり有名な場所なので

大分で撮影したこのシーンの山が 

矢倉岳の見え方によく似ていると 

直ぐに気が付いたのではないだろうか。


大分での撮影に何か問題があったのか

最初からここを撮影場所としていたのかは不明だが

撮影場所としては比較的直ぐに候補にあがった可能性は高い。




それではロケ地の話に戻ろう。



寅が赤電話で話していたお店 

そのお店の現在がこちら! 

杉山商店さん!

映画の撮影から28年も経過しているので

さすがに当時と同じというわけにはいかない。


そして現在はお店はされていらっしゃらないのだが

今回は特別にご好意でシャッターを開けて頂けた。

感激である!



店内からのアングル 

矢倉岳も同じ見え方である!




ではなぜこの場所がわかったのか!



今回はその経緯をお伝えしたい。





最近は映像ソフトの画質がどんどん向上し

SD画質から高画質のHD画質となったおかげで

これまで見えなかった文字が何とか判別できるようになってきた。


「男はつらいよ」も同じく高画質になってきているので

今回改めてこのシーンを見返してみることにした。




何度も何度もシーンを見返してみる。




店のガラス戸には「青色申告会連絡所」という看板があるが

その右側に「・・・地方」とある。

残念ながら肝心の「・・・」の部分は元々の看板の文字が消えていて

HD画質でも読み取ることはできなかった。




そして暖簾にある「湧宝雪」 

これはSD画質でも読み取れていたが

その左隅にある文字に注目。

さすがにHD画質でも読み取り不可能だった。




棚の上にあった「さぶちゃんラーメン」

これは東京・神田神保町にあった

ラーメン店のインスタント麺だろうか。

特にはヒントとはならず。


その他にも店内にあるお酒の銘柄で

読み取れるものが無いか注目していった。

読み取れる銘柄は何処にでもある銘柄ばかり。



そして注目したのがこのシーン。 

前回もチャレンジしたのだが

当時は読み取れず諦めたシーンだった。


読み取りを試みたのは黄色枠の部分。 

アップにしてみる。 

ハッキリわかるのは「酒・川」

その横には「清酒」と書いてあるように見える。


そして今回最初の発見!

「酒・川」の緑の下の文字。

かすかに「神奈川・・・・・会社」と読める!



やはり神奈川!



俄然ヤル気アップ!



では「酒・川」の真ん中の文字は?


何となく「句」に似ているので

PCのIMEパッドで手書きしてみると

「勾・匂・句・・・」と候補が出てくる。


そこで「酒 川 神奈川」と検索してみると

酒匂川(さかわがわ)」と一発表示!



水系・・・ 二級水系 酒匂川

種別・・・ 二級河川

延長・・・ 46 km

水源・・・ 御殿場市

河口・合流先 相模湾

流域・・・ 静岡県・神奈川県


酒匂川(さかわがわ)は、静岡県および神奈川県を流れる二級河川。静岡県内では鮎沢川(あゆざわがわ)と呼ばれる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



神奈川にあるお酒という事がわかったことで

今度は「酒匂川 日本酒」で検索。


すると何とYahoo!知恵袋で同じような質問発見!

そこには小田原市周辺で製造されていたという記述。


ターゲットは決まった!

神奈川県小田原市にある酒店を調査!


ただ闇雲に探すのも大変なのでもう一度考えてみた。


最初にも書いたようにこのお店は

「青色申告会連絡所」ともあったので

恐らくは酒店の組合か何かにも入られていたのでは?と推測。


で、検索してみると「小田原酒販協同組合」を発見!

そしてそこには「組合員紹介」なるものが!!!


その「組合員紹介」より探すこと数件目に見つけたのが

最初のGoogleストリートビューのこの画像だったのであった! 

そして10月某日

遂に「杉山商店」さんをお訪ねすることができたのである! 

当日は少し暑い位の晴天。

その青空のようにとても清々しい気持ちであった!




それではロケ地のご紹介!


このアングルはここ! 

カーブミラーと青い屋根の家、

そして背景の矢倉岳との関係から恐らくこの位置と推理。


長年追い求めていたアングルに会え

感無量!!


そしてこのアングルは・・・ 

残念ながらジャストにはなれず・・・


赤電話の位置をもっと正確に検証しておけば良かった・・・



このアングルを撮影するときに 

寅と赤電話の場所がおおよそ見当がついた。


おそらく 

この辺りが寅と赤電話のあった場所と思われる。


場所の特定の際にご近所の杉山さん(ご親戚ではないとの事)に

お話をお伺いしたところ大型バスが曲がりにくいということで

道路を広げたため杉山商店さんは正面から見て右にズレたという。



帰宅後航空写真を確認したところ 

お話通りかなり動いているのと奥にも下げている。


映画のシーンを正面から見るとおそらくこんな感じ。 

家の中心は多分ピンクの点線部分。 

という事は寅のいた位置は恐らく現在の建物の

拝(おが)みの下あたり。 

つまり現場で気が付いた通り

現在のお店は撮影当時とはかなり右にズレている。 

したがって当時の建物の中心は現在のプロパンガスの辺り。



寅の電話していた位置は 

現在の自動販売機の左側あたりと推測。



正面からみるとこんな感じなのかな~。 

今回もロケ地では素晴らしい方々にお会いすることができた。

それはもちろん建物の家主である杉山さん。


そして杉山さんがお留守の時に

とても親切にお話を聞いてくださったご近所の

これまた同じお名前の杉山さん。

(ご親戚ではないということです。)



家主の杉山さんよりお聞きした撮影時でのお話。


山田監督は渥美さんの身体を気遣い

渥美さんに休んで頂く場所はどこかないかと聞かれたそうです。

それで杉山さんは快くご自宅の奥のお部屋をご提供され

そちらで渥美さんは休憩をされたようです。


渥美さんはとてもやさしい雰囲気で

特におしゃべりをするわけでもなかったけれども

笑顔がとても素敵だったと仰っていました。


43作の頃ですから渥美さんも恐らくは

体力的に相当厳しい状況だったはずです。

そんな体調でも決して寝転ぶ事はなかったそうです。

周りの方に心配をかけまいとする渥美さんの心根が伝わるお話でした。 

最後に・・・



このロケ地については

ご近所の方は撮影をご覧になられていたという事で

映画公開時には皆さん映画をご覧になられ

話題になっていたということでした。


地元の方は周知の事実でも

遠方からこのロケ地を訪ねてきたのは

今回が初めてと仰っていました。


杉山商店さんに到着した時に丁度奥様が車でお出かけになられ

お留守になってしまったためしばらく滞在することになりました。


時間は長めに掛かってしまいましたが

結果的にゆっくりとロケ地の検証もでき

ご近所の杉山さんにもお話が聞けて

そして杉山商店の奥様ともお会いすることができ

とても貴重なお話をお聞かせ頂けたことは

本当に素晴らしい体験でした。


杉山さん、突然の訪問でさぞ驚かれたことでしょう。

不躾な訪問にもかかわらずとても親切にして頂き

本当に感謝しております。


ありがとうございました。




おしまい。