邦男のアパート
2023年8月掲載
第23作『男はつらいよ 翔んでる寅次郎』
1979年8月4日公開
大変申し訳ございません。
この映画を愛し、余計なことは知らなくてよく、本編の物語をストーリーに沿って
ただただ楽しみたいという本編派の皆さまには、この度も非常にセンシティブな内容となっております。
ご不快になられる方もいらっしゃると思います。
そのためここから先につきましては
自己責任にてお進みください!(^^;;
それでは、今回もロケ地新発見までの道筋をどうぞお楽しみください!
長年の不明ロケ地
🔳 シーンのあらすじ
邦男(布施明)との結婚式当日に、タクシーで脱走したひとみ(桃井かおり)。
逃げ込んだ所は、北海道で知り合った寅次郎の故郷、葛飾は柴又のとらや。
ひとみはとらやの2階に住むことになる。
田園調布のお嬢様であるひとみは、親元を離れ自活するため英会話の教師を始める。
そんなひとみの事を知り、自分も父親の経営する会社をやめ、自活を決意する邦男。
ひとみのいる柴又近くの自動車整備会社で肉体労働をし、小さなアパートに住み始めるのであった。
邦男の働く自動車整備会社は、
もうかなり前に吉川さんのご活躍で、既に判明している。
富士見自動車工業株式会社
神奈川県横浜市栄区上郷町60
現在はドラッグストア駐車場になっているので、現地に行っても建物を確認することはできない。
当時、邦男のアパートは吉川さんも探されていたが、その頃の私はロケ地捜索能力がまだまだ低くく、
私が何かできることは全くなかったのである。
(自動車整備工場を探されている時も、私の出る幕は全くなかった。)
しかし、あれから数年の時が経ち、私自身、多くの経験をしてきた。
難攻不落といわれたのロケ地も、数多く発見してきた。
今の自分のスキルだったらできるかも・・・。
長い年月をかけ、いよいよチャレンジする時が来たのかもしれない!
そう、今回の捜索するロケ地は・・・
邦男の住むアパート!
この情報の乏しいロケ地に、遂に挑んだのである!!!
いやいや、そんな大袈裟な・・・(^_^;)
このシーンも前回の奈々子のマンション同様、
薄暗く殆ど手掛かりのない難易度の高いシーンである。
吉川さんより不明ロケ地として再提示された奈々子のマンションと邦男のアパート!
奈々子のマンションを7月に発見できたことに気をよくしていた私は
良いイメージでこのチャレンジをスタートすることができたのである!
今回も冷静に画面から情報を読み解いてみよう。
まずは画面の明るさ調整。全体的に明るくしてみた。
【疑問】左側に大きく見える、黒く大きな影は何だろう???(赤点線部分)
わかりやすいように影の部分をオレンジで色付けしてみた。これは・・・
仮説①:オレンジの部分は道路か何かの橋脚ではないだろうか?
形的には似ていると思う。
その他、目立つ所に印をつけてみた。
仮説②:赤丸は、鉄道柵なのではないだろうか?
こちらも形的に似ている。
この柵のある所は、公共的な物があるイメージ。
仮説①と仮説②から、
大船周辺の道路を調査!(大きさから鉄道ではないと判断)
すると・・・すごい所を見つけた!
笠間跨線橋(ぐるぐる橋)
大船をほぼ知っているつもりでいたが、まさかこんな跨線橋があったとは・・・
非常に特徴的な跨線橋である。
車が1台通れるほどの幅で、螺旋状になって上にあがっている。
上に行くと、歩道もある。
ということは、人も通っているのだろうか・・・。
そして同じく螺旋状になっていて線路の向こう側に下っていく。
ここは京浜東北線、根岸線、横須賀線、湘南新宿ライン、東海道本線、上野東京ラインと多くの路線が通る、非常に幅の広い場所。そのため、踏切が作れないのだと思う。そしてこの跨線橋は、地元の方の生活にはとても重要な役割を担ってきたのだと思う。
赤いエリアにお住まいの方には、特に重要な笠間跨線橋。
上の写真での解説は、矢印の通りに進んできたというイメージ。
そして笠間跨線橋を渡った先にある「笠間跨線橋」交差点。
赤い矢印方向に見た場所。特に何も見当たらないが・・・。
右に見える跨線橋の橋脚は、映画の黒い影に非常によく似ている。
やはりここら辺もかなり変わっているのかもしれない。
では、伝家の宝刀、 Googleタイムマシンで2010年に戻ってみよう!
すると・・・
おおお!!!
左側に見えるあのショーケース(黄色矢印)!!!
そして、右側には公共掲示板(青矢印)!!!
いきなり事前に注目していた物が2つヒット!
そして、もう少しよく見てみたら・・・
な、何と!!
換気扇ダクトもある!!
もう絶対に確定!!(T ^ T)
さらに物証探し!!
鉄道柵もある!(赤丸印)
それぞれの位置関係もピッタリ!
出るわ出るわ!物証のオンパレード。
もうこうなると否定する材料が見当たらない!
カメラ位置を推測(黄色の人型は布施さん。水色はカメラとアングル。)
現在の Google Earthでの比較。
建物を四角の色別で表現。
1977年の航空写真で位置の確認。
当時は電柱も映画と同じ位置に立っていた模様。(緑丸印)
水色四角が邦男のアパートと思われる。
では、もう一つのシーンはどうか。
こちらも同じく画面を明るくしてみた。
邦男が上がっていく外階段の向こうに、外壁が緑色の建物が見える。
この建物も2010年まではしっかりと残っていた。
黄色点線囲み部分が見えていたのである。
こちらも建物の位置関係を確認。水色の線はカメラアングル。
邦男が歩いた道順。(黄色矢印)
物証確定!
いきなりのロケ地、新発見!
銀河系初登頂!
こんな事もある!!(T ^ T)
映画公開が1979年8月4日。
44年後の新発見となった。
あっさりと発見と書いていますが、
実は跨線橋発見までは結構な時間がかかっています。(^◇^;)
邦男の住んでいたアパートは、神奈川県横浜市栄区笠間1丁目4
そして働いていた整備工場までは、アパートから何と徒歩44分!(遠いな〜^^;)
そして、そして、44年後発見と44分。44重なり!(特に意味なし・・・(^_^;)
やっぱり社長の息子という事で、この徒歩時間の良し悪しの判断もできない程のお坊ちゃんだったのか、
はたまた、これまで不自由なく暮らし、世間を全く知らなかった自分に課した試練だったか。
という事で・・・
お待たせしました!
もちろん現場まで行って参りました!( ̄▽ ̄)
2023年8月、本日もとても暑い日でした!
台風6号が九州を縦断して、新たに台風7号がお盆の期間に関東に向かってきている
そんな隙間の晴れ間を狙って行ってきました!
それではご覧ください!こちらが現在の姿です!!!
遂にきました。23作ロケ地。
この路地を邦男は歩いていたのだ!
こんなに野菜を買ってきているのに、食べていたのはカップラーメン。(^◇^;)
外階段を上がる邦男
この場所はピンポイントではないが、雰囲気だけでも。
道路側から見ると、こんなにも狭い路地なのだ。
この鉄道柵だけは当時と全く同じ。時代の目撃者なのだ。その存在がとても嬉しい!
掲示板はすっかり新しくなっている。
映画ではネオン等で場末の感じを出していたが、当時から右の建物は同じ。
お店は「食事処ひさご」だけなので、映画で見えていた看板などは
全て小道具だったようである。
そして、邦男の住んでいたアパートは
第二 福住荘!
現在は、「 Bloom Kasama ブルーム笠間 」
まとめ
この暗闇に包まれた邦男の帰宅シーン。
ようやくロケ地が発見でき、改めてみてみると感慨深い気持ちになる。
自分のこれまでを全て否定するかのような真逆の生活に身を投じる邦男。
保証された将来を捨て、自分の力で生きていく事を選ぶ。
非常に不器用で世間知らずの無鉄砲だが、そんな邦男の気持ちを信じ始めるひとみなのであった。
アパートの部屋でのシーンは、もちろん大船撮影所内でのセットではあるが、
この場所から邦男とひとみの新しい人生が始まっていくのだと思うと、何とも感慨深い気持ちになるのだ。
そして、そんな私の気持ちがたどり着いた最後の結論は・・・
結論:邦男は、働き先まで徒歩44分のアパートに住んでいた!
チャンチャン(^_^;)ゞ
しかし今回も Googleのタイムマシンに救われたぁー!
この度も、長い考察にお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。
おしまい。