東国大学校仏教大学共同セミナー 第2回

東国大学校仏教大学(韓国)と東洋大学国際哲学研究センター(日本)の共同研究 第2回研究会

2015年3月19日、東洋大学白山キャンパス8号館7階125記念ホールにて、東国大学校仏教大学(韓国)と東洋大学国際哲学研究センター(日本)との共同研究の第2回研究会が開催された。この共同研究会は、2014年5月に締結された共同研究協定に基づくものである。

司会は岩井昌悟研究員(Ircp)が務め、鄭祥教氏(東京大学大学院)が通訳を担当した。竹村牧男東洋大学学長(Ircp)と姜文善(慧謜スニム)氏(東国大学校)が開会の挨拶を述べた。最初の発表は、佐藤厚客員研究員(専修大学)の「1917年、朝鮮仏教界首脳の日本視察―日本側の対応を中心として―」であり、日本の植民地支配時代における韓国仏教界への日本側の認識を論じた。次いで高榮燮氏(東国大学校)の「万海(韓龍雲)の日本認識―仏教界における愛国啓蒙運動の思想的端緒―」と題された発表が行われ、植民地時代に活躍した韓龍雲の愛国啓蒙運動の思想的バックグランドが明らかにされた。

昼食をはさみ、三浦節夫研究員(Ircp)「日本近代における伝統の「発見」―井上円了の『仏教活論序論』」、金浩星氏(東国大学校)「柳宗悦の解釈学における眼目―『南無阿弥陀仏』を中心として―」、竹村牧男研究員「西田幾多郎の禅思想――「逆対応」の論理を中心に」、姜文善(慧謜スニム)「近代期の韓国比丘尼の修禅と悟りに対する一考察」という四つの発表が行われた。これらの発表では、近代仏教に井上円了が果たした役割(三浦氏)、柳宗悦による法然・親鸞・一遍の創造的な解釈(金氏)、西田幾多郎の「逆対応」と「平常底」に基づく禅理解(竹村氏)、近代韓国の女性僧侶の禅修行と悟りの内実(姜氏)が論じられた。その後、全発表者による総合討論が行われ、活発な議論が展開された。

最後に村上勝三研究員(Ircpセンター長)が閉会の挨拶を行い、研究会は終了した。日本側、韓国側、双方が東アジアという広い枠組みに立ち、新たな知見を生み出そうとしたことがこの研究会の大きな成果であった。