安保法制の細かい話はどうでもよい

(推敲中)

2015.7.12

<安保法制に関する基本的な考え方を持て>

(ねこ)

安保法制を巡って国会で与野党が大騒ぎしているにゃ。でも、話がややこしくてちっともわかんらないのにゃ。どう考えれば良いのかにゃ。

(じいちゃん)

正直に言えば、ワシは法律の内容はどうでも良いのじゃ。今行われている安全保障の議論は「憲法に違反しているかしていないか」、あるいは「日本が戦争に巻き込まれるかどうか」で大騒ぎになっておる。しかしそんな議論は日本の安全保障について何の役にも立たない。確かに法案が出ているからそれに執着するのはわかるが、最も重要な議論が行われていない気がする。

それよりも現在の日本の置かれた立場から、どのような外交、国防政策を行うべきかを、まずはじめにしっかり決めることが大切だと考えておる。憲法の範囲内などと最初から政策内容を限定するのではなく、そもそもどのような方法で日本を守るのかを議論すべきじゃ。国防戦略を議論すべきじゃ。

極端に言えば、軍隊を持とうが、核兵器を持とうが、そうしなければ日本の安全保障が確立できないのであれば、それを阻害する憲法にこそ間違いがあることになる。

(ねこ)

なるほど、まず「国防戦略」を議論することが大切なのにゃ。どんな戦略を考えるのにゃ。

(じいちゃん)

ワシは国防に関してはあまり詳しくない。じゃが、国防に関して言えば、ある想定された国にどう対応するかが課題じゃ。具体的には言うまでもなく中国共産党の軍事的な拡張と尖閣諸島に対する侵略的行動に対してどのように対処するかじゃな。

ハッキリ言って中国の軍事的な膨張と侵略行動がなければ、安全保障に関して言えば今のままでもそれほど大きな問題は感じないし、沖縄の普天間基地の移転に関しても沖縄の意向を反映することに何のためらいも感じない。しかし中国の軍事的な野望が日本に極めて大きな脅威を与えておる。

軍事独裁国家「中国」への対処方法は大きく3つあると思う。

①中国に対する防御的な措置

②中国に対する攻撃的な措置

③中国を懐柔する措置

左派の大好きなのは「懐柔策」じゃ。しかし、懐柔策については日本政府が昔からざんざん行ってきた方法であるが、中国共産党に対しては何の効果もなかったた。それどころか懐柔策、日本が経済的な支援や技術移転を行ったことが中国の暴走の原因と言えるじゃろう。未来永劫に懐柔策は捨て去るべきじゃ。

(ねこ)

そうなのにゃ、日本は中国にさんざん譲歩して企業が進出したり、技術を供与して中国の経済成長に貢献してきたのに、この始末なのにゃ。中国共産党はまったく信用できないにゃ。

(じいちゃん)

二つの方法についてもう少し詳しく説明しよう。まず

①中国に対する防御的な措置

これは中国政府に対して直接工作を行うのではない。中国軍が侵略してきた場合に備えて準備を整えるものじゃ。どちらかといえば「防御的な方法」じゃ。この場合は自衛隊の装備を近代化したり強化して戦力を拡大すること、安保法制を整える事によって、自衛隊の行動をより適切なものにし、中国からの侵略に対して迅速な対応ができるように、手続きなどを決めておくことじゃ。くわえて周辺国との軍事的な協力関係も法整備によって可能にし、実際に軍事同盟などの協力関係を周辺国との間で整えておくのじゃ。しかしこの方法はあくまでも防御が基本となる。

②中国に対する攻撃的な措置

A)圧力をかけて封じ込める

これは中国政府に対して、こちらから仕掛ける積極的な方法じゃな。といっても中国の軍事基地を破壊することはできないので、それ以外のあらゆる方法を用いて中国の行動を阻止し、弱体化させる。中国の軍拡に懸念を表明し、領土拡張的な行動を常に批判する。G7などの国際会議で積極的に中国の海洋進出に対する共同非難声明を出す。アメリカやオーストラリアとの軍事演習を行ったり、フィリピンの軍港に護衛艦を派遣する。フィリピンやベトナムに巡視船を供給する、場合によっては兵器の供給も行うことで、周辺国の戦力を強化する。最終的にはアメリカ、オーストラリア、フィリピンやベトナムを含めた、中国という特定の国に対する軍事同盟を確立する。

B)中国共産党を排除する

中国の軍事的な脅威の原因は中国共産党にある。従って、中国共産党を排除することにより中国の軍事的野心を弱めれば日本も必要以上に国防に力を入れる必要はなくなる。場合によってはさらに踏み込んだ方法もあるじゃろう。もちろん戦争で排除することはできない。そのため諜報や謀略工作を行うための機関が必要となるじゃろう。それらを駆使してたとえばウィグルやモンゴルの反政府勢力を支援する。資金的な支援や情報の提供を行い、破壊工作を活発化させる。また中国共産党組織にも工作を掛け、内部の権力争いを利用して日本に対して強硬な思想を持つ政治家を排除する。中華人民共和国の崩壊と分裂を画策し、分裂後にはウィグル、モンゴル、そして分裂した中国の一部国家に親日政権が樹立するよう事前に綿密な工作する必要があるじゃろう。中国崩壊の引き金として注目すべきは「経済破綻」じゃ。軍拡に邁進する中国はますます経済成長への依存を強めており、同時に輸出への依存も強まる。バブルも拡大しておる。共産党を挑発して尖閣諸島への軍事侵攻を誘発させ、ロシアに経済制裁したのと同じような、全世界的な経済制裁を与えれば、それが政権崩壊の引き金となるだろう。

とはいえ、①と②-Aについては全国民的な議論が可能じゃが、②-Bについては全国民的な議論は無理じゃな。半分宣戦布告みたいなものじゃからのう。だが魑魅魍魎の徘徊する国際社会では②-Bについても必要不可欠な戦略じゃ。

(ねこ)

そうなのにゃ、こういう議論がマスコミには出てこないのにゃ。そもそも国防戦略を考えただけで「右翼」呼ばわりされるにゃ。それにしても国連が無能だからこんなことになるのにゃ。

(じいちゃん)

その通りじゃな、国連が無能じゃから日本が自国や集団的自衛権も含めた安全保障を独自に考えねばならんのじゃ。もし国家のように国連に強力な権限があって、警察のような治安部隊があり、戦争を抑止できる仕組みがあればこんな苦労はしない。

最大の問題は、国連の集団的自衛権が機能していないことにある。

もし野党が日本の軍備に反対するのであれば、日本が軍備を持たなくても済むように国連改革を押しすすめ、国連に戦争の抑止能力を持たせるための活動を行うべきじゃと思う。

(ねこ)

そうなのにゃ、ただ反対では何もしていないのと同じにゃ。

(じいちゃん)

方法は先ほど述べたような感じじゃが、問題は、そのうちのどこまでやらねばならないか、という見極めじゃ。見極めが甘いと中国の侵略を許すことになる。まず重要なのは、どこまでやらないとならないか。

そして、日本独自の軍事力でそれが可能であれば、集団的自衛権に頼る必要もあるまい。しかし、日本の軍事力でそれができないとなれば、集団的自衛権を活用するしかないじゃろ。その場合は、集団的自衛権を確立する相手国の国情もあるから、これを考慮する必要性が生じるわけじゃ。

ワシは日本独自の軍事力だけで国防が可能なのであれば、集団的自衛権もいらないし、米軍の後方支援あるいは他国の後方支援、あるいはPKOも必要ないと思う。じゃが実際のところできないじゃろ。何しろ日本独自の軍事力だけで国防を行うためには「核兵器」が必須じゃ。中国が核兵器を保有して日本の大都市に照準を合わせておるのに、日本が核兵器を北京に向けないのであれば、まるで役に立たん。

逆に言えば、日本が多弾頭核ミサイルを搭載した原子力潜水艦を展開するようになれば、安全保障法制の改定は必要ないと思う。

(ねこ)

それはまた極端な話なのにゃ。実現の可能性は低いかも知れないにゃ。

(じいちゃん)

確かにその通りじゃ。じゃが最初から考えないのではなく、複数の政策から成るプランを複数用意し、たとえばプランA、プランBのようにして、それを実現可能性も含めてプラン同士で比較検討することに意味があると思うのじゃ。個別の自衛権で100%防衛するならプランA、集団的自衛権を含める場合でも、米国だけならプランB、アジア諸国を中心にした安全保障ならプランC、とかいうような具合じゃ。

ところが、そんな話はあまり聞かない。戦争に巻き込まれると言うが、集団的自衛権に依存すれば他国の戦争に巻き込まれる可能性が生じるのは当たり前じゃ。それでは中国の侵略に対して集団的自衛権なしにどう国土を守るのか。リスクの話ばかりしていても、何のプランも生まれてこない。どのように国を守るかの議論をして欲しいのう。

そしてプランが明確になれば、それを法律に落とし込めば良いわけじゃから、法律の枝葉末節の話ではなくて、プランを理解すれば良いので、とても分かりやすくなる。