移民は不要 経済改革で対応せよ

<移民は最悪の選択>

(ねこ)

移民は良い事なのかにゃ?

(じいちゃん)

それが最重要ポイントじゃ。まず「移民は最悪の選択」であることは動かしがたい事実じゃ。欧州では移民が社会の不安定化の要因となっておる。同じ国内に言語・習慣・価値観の異なる別の民族集団が存在すれば、何かのきっかけで「民族間対立」を引き起こすリスクは非常に高いと言える。欧州における民族間対立の問題は毎日のようにニュースで取り上げられておるので、この点に反対する人はおらんじゃろ。移民は血みどろの争いすら引き起こしておる。移民政策派は極力やめるべきで、やる場合も「やむを得ずやる」のである。喜んで推進するような政策でない。

移民を正当化するために、アメリカ社会を引き合いに出すのは愚かじゃ。アメリカは先住民を駆逐して移民で作られた国家じゃ。日本や欧州のような古くからの定住民族を中心とした社会ではない。移民で作られた国に移民を入れる事と、古くからの定住民族から成り立つ国に移民を入れる事は、全く異なる状況なのじゃ。移民で作られたアメリカはそもそも移民を受け入れる事が国家成立の前提じゃから、当然ながらアメリカ国民には移民に何の抵抗感もないし、発生する問題も少ないじゃろう。しかし日本や欧州の社会には移民という前提はない。すなわち移民を受け入れる土壌がアメリカとはまったく異なるのじゃ。

しかも、世界中がアメリカと同じのような、世界中から集まってきた移民が混然一体とした国家になればどうなるか?国ごとに独自に受け継がれてきた伝統文化は衰退し、やがて世界中が民族という個性を失った、のっぺらぼうの顔のない国だらけになる。つまり、どの国もどの地域も、みんな同じになる。世界のどこへ行ってもアメリカ社会である。おもしろくもなんともない。国としての個性は民族が形作る。世界に民族ごとの個性的な国家が共存する事こそ、つまり民族の多様性を維持する事こそ「楽しい」し、また自然の摂理にも合う。なぜ地球にはこれだけ多様な生物種が存在するのか?そこに学ぶべきじゃろう。

(ねこ)

そうにゃ、「移民は最悪の選択」なのにゃ。まずこれが認識として重要だにゃ。まずここから考えを進める必要があるのにゃ。つまり、移民は避けるべき行為なのにゃ。最後の手段にゃ。

<移民不要の基本根拠 「労働者は不足していない」>

(じいちゃん)

日本の労働者は不足などしておらん。アベノミクスの第一の矢つまり金融緩和政策によって急速に求人が増加したため、一時的に飲食サービスや建設作業の人材は不足しておるが、それは当然じゃ。なぜか?求人の数は経済状況によってすぐに変化する。しかし労働者の数はそう簡単に増えたり減ったりしない。だから景気回復で一時的に労働者が不足しておるのじゃ。東京などの都市部では人手が足りない状況じゃが地方はまだまだじゃし、高齢者などの失業率は高い。生活保護の人口も多いままじゃ。一面的な現象をとらえて移民のプロパガンダに利用するのは、いかにもマスコミらしい手口じゃな。

(ねこ)

本当にマスコミはいやらしいにゃ。右へ行けば大騒ぎ、左へ行けば大騒ぎ。アホにゃ。

(じいちゃん)

前回も話したが、資本主義市場経済は、表面的には生産性が高いとされるが、実際には生産性は決して高くない。膨大な余剰人員をかかえておる。なぜなら、多数の労働者が生産活動とは直接関係のない営業や間接部門に従事しておるからじゃ。市場経済においては企業間競争が熾烈なため、多くの企業で自社品を売り込むために営業や広告宣伝に莫大な費用と人材が投入されておる。また公務員やみなし公務員にも無駄な関連団体が多い。これらの人々が生産活動に直接従事するようになれば、生産はまだまだ増やすことが出来る。つまり、表面上は労働力が不足しているように見えるが、よく分析して考えると、実質的に労働者は不足しておらん。労働力を有効に生かし切れておれんのじゃ。「資本主義市場経済ならではの無駄」に労力が奪われておる。

(ねこ)

じゃあ、どうすれば労働力を有効に生かせるのかにゃ?

(じいちゃん)

現在の経済システムを変更せずに社会の生産性を高めるためには、企業の買収と合併(M&A)と雇用の流動化、産業育成を同時に行うことにより、労働力の再配置を実行する。

例えば、ある産業分野において仮に10社の企業があった場合、これを3社に統合すると、営業部門や間接部門の人員が余剰になる。解雇規制緩和でこれらの社員を解雇しやすくなれば、それらの人員は首になり失業者となる。そして商品供給が不足している分野の産業育成を助長して失業者をその産業で吸収する。これらの動きを社会全体で見れば、労働力の再配置であり、社会全体としての生産性を高める事ができる。現在、アベノミクスでやろうとしておる事はこれじゃな。

じゃがアベノミクスのやり方では、その過程で様々な問題が発生することになるじゃろう。

(ねこ)

そうにゃ。そんな絵に描いたようにうまくいくとは思えないにゃ。

(じいちゃん)

左様、これが成り立つためにはクリアすべき条件があり、その条件を無視すれば、企業利益を拡大するために単に労働者にしわ寄せをするだけに終わったり、失業者ばかりを増やし、社会全体としての生産性を下げる事すらあり得る。以前も述べたが、個々の企業の生産性が高まっても、社会全体としての生産性が高まるとは限らないのじゃ。

(ねこ)

どんな条件なのかにゃ?

(じいちゃん)

セイフティーネットの充実とデフレ脱却による投資促進じゃ。デフレ脱却はアベノミクスで推進中じゃな。インフレターゲット2%を実現することで実質金利を下げれば投資が促進される、つまり新しい産業を育成するための素地を作っておる。そして金利操作以外に、公共事業などで市場に直接通貨を投入しておる。このあたりの政策はされておるから良いのじゃが、一方、セイフティーネットの充実に関する部分の議論がまったくされておらん。セイフティーネットの充実にはおカネがかかる、つまり「財政支出を増やす」可能性があるので、役人は触れたがらんし、ゆえに当然マスコミは触れたがらない。無視されとる。

じゃが、なぜ労働者が解雇規制緩和などに猛反対するのかといえば、セイフティーネットがないがしろにされとるからじゃ。首は切られるわ生活も保障されないわ~こんな不安があるのに解雇規制緩和に賛成する馬鹿者はおらんじゃろ。極端にいえば「カネなど刷ればいくらでもできる」。社会全体の生産性を高めるために大変革を行う覚悟があるなら、カネをどんどん刷ってでもセイフティーネットを充実させるべきじゃ。そのうえで雇用規制緩和や岩盤規制を壊すというなら賛成じゃ。

<国家主導によるM&Aの推進>

(ねこ)

でも、どう考えても「労働者を首にすることが前提」という政策に思えるにゃ。面白くないにゃ。

(じいちゃん)

ほっほっほ。なら「企業を首にすることが前提」の政策も考えてみようかのう。

(ねこ)

ふにゃ、企業を首にするのかにゃ?

(じいちゃん)

そうじゃ、ま、首というのはたとえ話じゃがな。つまり、先ほどの話は民間主導の生産性向上じゃったが、国家主導の生産性向上を考えれば良いのじゃ。簡単に言えば、国家主導でM&Aを進めるのじゃよ。国が企業を買収して合併させる、M&Aを国が行うのじゃ。これならM&Aのペースコントロールが計画的にできる。かなりの奇策じゃが。

(ねこ)

どうしてそんな事をするのにゃ。

(じいちゃん)

移民推進派が騒いでおるからじゃ。少子高齢化には生産性の向上で対処するのが原則じゃが、移民推進派は「生産性の向上では間に合わない、移民しかない、移民だ、移民だ」というからじゃな。ならば、間に合わせるためには生産性向上をペースアップすれば良い。

国家主導でM&Aを進める場合は、経済システムにおける国家の関与を強化する事になるので、現在の経済体制である資本主義を改革する結果になる。資本主義においては資本(おカネ)が社会を動かす仕組みじゃが、そうではなくて国家が社会を動かす方向へと舵を切るのじゃ。移民という最悪の事態を回避するためには、資本主義を大改革する必要もあるじゃろう。

安易に移民に頼るのは、現状の経済システムをそのまま維持しようとする意図があるためじゃ。つまり企業利益にしがみ付く既得権益集団の立場から考えているに過ぎない。発想を転換し、社会のシステムを改革して根本的に生産性を高めれば、移民に頼らずとも飛躍的な生産性の向上が期待できるのじゃ。

(ねこ)

でも、企業を国有化すると生産性が下がるというにゃ。

(じいちゃん)

それは公務員が企業を経営すればそうなる。じゃが国有化というのは株式の半数以上を国家の所有にするだけの話であり、国が企業を経営する事ではない。民間企業でも株主が企業を所有しておるが、経営するわけでは無い。所有と経営の分離じゃな。経営は経営陣が行うわけで、それは国有化されても同じ事じゃ。企業を国有化することで企業間合併を推し進める。そして間接部門を中心にして余剰人員のリストラを断行し、企業の生産性を高めるのじゃ。

もちろん、セイフティーネットも公的にきっちり整える。そもそも大企業同士がM&Aする場合は、希望退職者の退職金の積み増しなど、失業者への対策が企業によって施されるので、政府としてそれを支援すれば良いじゃろう。解雇する側もされる側も安心して再雇用を推進できる体制が不可欠じゃ。

もし、本当に生産人口が不足していれば、失業者は労働者が不足している産業に吸収されるはずだから問題ない。もし失業者が多すぎるのなら、つまり生産人口が余っているのであれば、M&Aのペースを落とせば良い。しかし移民推進派が「労働力が不足する」と連呼しているのだから、それが本当なら失業者が溢れることなどないじゃろう。

このほか、中小企業、個人商店などの集約化によっても、さらに労働力を確保できるが、この場合もさらに政府の強力な介入が必要となる。そこまでやると改革が大きすぎるが、それでも「移民が~」というなら、そこまで踏み込む必要が出てくるかもしれんのう。

(ねこ)

でも社会主義みたいだにゃ。大丈夫かにゃ。

(じいちゃん)

別に社会主義ではないのじゃ。国が主導して企業の吸収合併を推進したとしても、相変わらず企業は存在するし、私有財産もある。職業選択の自由もある。違うのは、株式の半数以上を国が保有する会社が増えるというだけじゃな。M&Aは国家が介入しなくとも進む、ただし高齢化社会が急速に進みすぎるため、このペースに対応するために政府が関与するだけじゃ。そして、政府が保有しとる株式の配当はセイフティーネットや貧困化対策など社会保障に使える。財政再建に使っても良いぞ。もちろん、国有企業が増えると、株で儲けていた資本家は困るじゃろうな。移民で大儲けをたくらむ移民推進派も困るじゃろう。

<移民せずに済ませる方法を考えるのが最優先>

(ねこ)

移民推進派は移民の経済的な利益をやたらに強調し、世界で絶えず発生している民族紛争や外国人暴動・犯罪にはダンマリを決め込んでいるにゃ。移民しないほうが良いに決まっているにゃ。だったらまず検討すべきなのは、移民をせずにすむ方法を考える事にゃ。「税金が足りないから増税」「人手が足りないから移民」のような短絡思考は知能が不足してる証拠、迷惑にゃ。

(じいちゃん)

その通り、そんなものは小学生レベルじゃ、誰でも思いつく。

(ねこ)

ところで移民推進派は「移民が来ても雇用は奪われない、自国労働者が管理職になって外国人労働者が単純労働を担うから、棲み分けできる」というにゃ。ほんとかにゃ?

(じいちゃん)

あり得んじゃろ。ワシが経営者の立場なら、外国人労働者の管理は外国人に任せる。なぜなら、文化・習慣・価値観の異なる人間を管理するには、同郷の外国人が良いに決まっておるからじゃ。しかも日本に来るような外国人労働者はある意味で選ばれた人材、つまり偏差値が高い人間じゃ。ワシが経営者なら、能力の高い外国人を管理職にして、日本人を単純労働させることも考える。現代は能力主義じゃ。そもそも「自国民=管理職、外国人=単純労働」は甚だしい人種差別的な発想じゃ。狂っておる。

(ねこ)

「人件費の安い外国人労働者を使うと、企業が儲かるので、国益になる」というにゃ。

(じいちゃん)

あり得んじゃろ。そもそも、なぜ賃金の安い労働者を雇用することで企業が儲かるのか?今まで働いていた日本人を首にして、そのかわりに外国人労働者を使うことで、人件費を浮かせることができるためじゃ。つまり日本人を解雇することで企業が儲かる仕組みじゃ。もちろん、景気がどんどん拡大しているうちは、新規に採用する労働者のみを外国人にすれば、日本人の雇用は守られる。しかし問題が大きくなるのは景気が後退期に入った時じゃ。利潤最優先という企業の論理からすれば、不況に突入して企業の利益が危うくなれば、人件費の高い日本人を解雇して、人件費の安い外国人を採用するのが常識じゃ。企業としてはそうしなければ生き残れないからじゃ。そして人件費の安い外国人労働者だけで構成された企業が生き残る、つまりブラック企業の成長メカニズムと同じじゃ。

(ねこ)

「安価な労働力を求めて海外に移転した工場が国内に戻る」というにゃ。

(じいちゃん)

戻っても、結局は外国人を雇用するから、日本人の雇用は生まれない。工場の管理職も外国人が担う事になる。確かに工場周辺の経済活動は活性化する可能性はある。ただし不況になれば外国人の失業者が街にあふれて、治安悪化などのリスクは増大する。

(ねこ)

移民を入れると日本の市場の規模が維持できるというにゃ。市場が大きいと、国内での販売数だけで利益が十分に得られるから研究開発しても採算性が取れて、新製品の開発が進み、産業競争力が高まるというにゃ。

(じいちゃん)

あり得んな。市場規模がただ大きければ採算性が良くなるわけではない。利益は利益率×販売数量であり、利益率に大きく左右される。同じ市場の規模でも、10社がひしめいている場合は市場は1/10になり、1社で独占状態にある場合は100%の市場を確保できる。その意味でもM&Aは効果がある。すなわち、M&Aで企業数が減れば、市場規模が増えなくとも1社あたりの販売数量は増加する。M&Aで浮いた営業や広告宣伝の膨大なコストを研究開発に回すことも可能になる。

また、仮に日本の市場が縮小して、市場規模として人口6000万人まで低下してもイギリスやフランスなどとほぼ同じじゃ。しかも、これだけ市場がグローバル化すれば、市場は国内だけではなく、世界に広がっており、日本の市場規模によって企業の採算性を考える必要は無い。

(ねこ)

なんにゃ、移民しなければならない理由なんかないにゃ。移民しなくても、その他の方法で対応できるにゃ。移民のメリットって何なのにゃ?

(じいちゃん)

頭を使わなくても良い事が最大のメリットじゃな。「人手が足りないから移民で済ませる」。究極の単純発想じゃ。世界中で発生している外国人労働者問題から目をそむけ、短絡的に移民による経済的なメリットだけを楽観的に主張するような連中は、ワシには到底理解できんのじゃ。

2015.6.5 修正