移民のウソQ&A

2016.4.9

Q(ねこ)

今日は「移民のウソ」について説明してみるにゃ。

A(じいちゃん)

マスコミや自民党議員は移民が必要だと主張しておる。ここには狡猾な誘導手法が用いられている。彼らは一般大衆が抱いているステレオタイプな思い込み(いわゆる常識)を巧みに利用して人々に「移民は必要だ」という暗示を埋め込もうとしておるのじゃ。そのため、一般の国民が「無批判に聞く」とコロッと騙されてしまう危険性もある。じゃから簡単にだまされることがないよう、あらかじめ間違いを明確に指摘しておく必要があると思うのじゃ。では、ねこが移民推進者になって質問してみてくれ。

Q(ねこ)

えへん、あー、日本の人口は年々減少しているにゃ。人口が減少すると日本の経済規模が縮小して、日本人の生活水準が下がる。だから移民が必要にゃ。

A(じいちゃん)

まったくのウソじゃ。日本の人口が減少すれば日本の経済規模は縮小するかも知れんが、日本の経済規模と日本人の生活水準とはまったく無関係じゃ。人口が減少しても日本人の生活はまったく貧しくならない。将来的には人口が減少しても生活水準はどんどん向上するじゃろう。

なぜじゃろうか。国民の豊かさは1人あたりの生産力(GDP)で決まるからじゃ。たとえば100人の人間からなる社会を想定してみよう。100人で1000の財(商品やサービス)を生産しているとすれば、1人あたりの財の分配は10になる。つまり国民の豊かさは10じゃ。人口が減少して80になったとき、財の生産量は800に減少する。確かに経済規模は縮小するが、1人あたりの財の分配量は10のままじゃ。まったく貧しくならない。考えてみるとイギリスやフランスは日本よりも経済規模が小さいが日本より貧しいわけではない。そもそも「経済規模と国民の豊かさ」は関係が無い。そんなわかりきったウソを仕掛けてくる連中には「下心がある」と考えるべきじゃ。日本で貧困化が進んでおるのは高齢化に原因があるのではなく、格差拡大を自民党が放置していることに原因がある。

将来的にはロボットや人工知能などの進歩によって、国民一人あたりの生産能力が向上すると予想できる。たとえば少子化で人口が500人に半減しても、1人あたりの生産量が15になれば総生産量は750となり、日本の経済規模は縮小するが1人あたりの財の分配量は15に向上する。つまり人口が減少しても逆に豊かな社会となる。たとえばルクセンブルグは人口がとても少ないが、国民1人当たりの生産量が大きいため、豊かな社会になっている。

Q(ねこ)

人口が減少すると、日本の国際競争力が低下する。だから移民が必要にゃ。

A(じいちゃん)

まったくのウソじゃ。企業の競争力と人口はまったく無関係じゃ。仮に日本の人口を増やしても、生産コストが高ければ競争力は低下する。国際競争力を高めるためには、人口を維持するのではなく、技術革新で生産性を高める必要があるのじゃ。

なぜじゃろうか。品質が似たような商品であれば、市場経済における主たる競争力は価格じゃ。人口が増えると価格が安くなるわけではない。価格つまりコストの主要部分は人件費じゃ。つまり、人手を減らすほど競争力が強化されるんじゃ。だからどの企業も機械を導入して人手を減らそうとしておる。つまり、競争力は生産性によって決まるんじゃ。人口がいくら多くても生産性が低ければ競争には勝てん。一方、人口が少なくても生産性が高ければコストが安いので市場競争力は高い。中国製品の競争力が高いのは、人口が多いからではなく、人件費がべらぼうに安いからじゃ。つまり労働搾取が競争力なのじゃ。

Q(ねこ)

一般的に人間は歳をとると保守的になる。新しいことに挑戦する意欲的な若者の人口が減ることで、社会の活力がなくなり、新しいものが生まれにくくなるので、競争力が失われる。だから移民が必要にゃ。

A(じいちゃん)

まったくのウソじゃ。日本の若者(20代30代)の人口は2010年では約3200万人じゃ。一方、ドイツは約2000万人、フランスやイギリスが約1600万人じゃ。日本より若者が少ない欧州の国々の社会には活力がなく、新しいものが生まれないのじゃろうか。まったくそんな事はない。日本より若者の人口の少ないドイツは新しい商品をどんどん生み出し世界を席巻しておる。では人口に占める若者の比率が関係するのじゃろうか。2010年における日本の若者の人口比率はドイツとほぼ同じで約25%である。一方中国とインドではその比率は共に約32%じゃ。若者の比率の高い中国やインドがドイツと双肩するほど画期的な技術革新を先導しているとは思えない。

冷静に考えれば当たり前の話じゃ。高齢者が増えたから社会の活力が失われるというのは単なる印象、イメージによる思い込みでしかないんじゃ。画一的な古い「高齢者像」を巧みに利用して誤解を誘導するマスコミの手法じゃよ。そもそも高齢者に対して失礼じゃろw。これからの高齢者はますます活動的に、かつ創造的な存在となるじゃろう。隠居などしておる場合ではない。むしろ年金生活によって無味乾燥な労働に縛られることなく、ライフワークに打ち込むこともできる。伊能忠敬を知らんのか。

Q(ねこ)

高齢化が進むと、高齢者を支える世代が減って負担が大きくなるなり、社会保障を維持できないにゃ。働く人を増やすために移民が必要にゃ。

A(じいちゃん)

まったくのウソじゃ。現在のペースで高齢化が進むのであればまったく問題ない。そもそも「若者が高齢者を支える」という考えがおかしい。「日本の労働人口によって日本の全人口を支える」が経済学的に正しい考え方じゃ。

どういうことか。たとえば日本を100人から成る社会であると想定してみよう。15歳以下と65歳以上の人々は労働年齢人口ではない。つまり働かない。2010年の日本の人口比率から言うと、仮に日本の総人口を100人としたなら、15歳以下が13人、65歳以上が23人じゃ。とすれば残りの64人が労働人口となる。この64人の労働者で100人全員の生活を支えることになるから、労働人口1人あたりの負荷は100人÷64人=1.56人となる。つまり、労働者1人で1.56人分の生産活動を担うことになる。ところがマスコミの計算はこうじゃ。労働力人口の64人を65歳以上の高齢者23人で割り算する。すると2.78人となり、3人で1人の高齢者を支えるという数字となる。多くの人はこの数字に驚く。これが騙しの「トリック」なんじゃよ。つまり労働者は高齢者だけでなく、自分や子供の生活も支えておるのじゃが、それを意図的に除外する計算をしておる。実に狡猾じゃ。

もちろん、高齢化によって生産年齢人口の比率が低下することは間違いない。2040年の人口予測に基づいて換算すると、100人の総人口が84人に減ることになる。しかしこれは労働者の負担が軽減されることも意味する。また労働力人口も減って45人になる。じゃから労働人口1人あたりの負荷は84人÷45人=1.87人となる。つまり2010年から2040年にかけて、30年間で労働者1人あたりの負荷は0.31人分増加する。もちろん負担は増加するのじゃが、30年間で0.31人といえば、生産効率を120%上昇させれば良い計算になる(1.87÷1.56)。複利計算してみると、毎年生産効率を約0.6%向上すれば良いことがわかる。ロボットや人工知能が爆発的に進化している現代社会で、毎年0.6%の効率化は不可能じゃろうか?移民によって生産年齢人口を増やす必要はないのじゃよ。

Q(ねこ)

人口が減少すると消費が減って、企業の売り上げが減るにゃ。すると社員の給料も減って貧しくなるにゃ。だから移民にゃ。

A(じいちゃん)

まったくのウソじゃ。人口が減っても企業の売り上げは増加する。

なぜじゃろうか。まず人口の減少率じゃが、2010年の人口減少率はおよそ0.24%、30年後でも0.92%と推計されるに過ぎない。また、企業の売り上げはおよそ名目GDPの増減に比例する。企業の売り上げが増えればGDPが増加するし、企業の売り上げが減ればGDPが減少するからじゃ。ところで名目GDPは、「名目GDP=実質GDP+インフレ率」の関係にある。この式から、名目GDPはインフレによって増えることがわかるのじゃ。たとえば人口が0.5%減少してGDPが0.5%減少したとしても、インフレ率が0.5%だとGDPが0.5%増えるので、プラスマイナスでGDPは変化しない。もちろん、インフレだけじゃなくて毎年実質GDPも1~2%成長する可能性がある。だから総じて例えばインフレターゲット2%であれば、名目GDPの増加率は2%以上となり、人口減少率を遥かに上回るのじゃ。つまり最大の問題は「デフレ」なのじゃ。人口減少よりもデフレだから経済が縮小するのじゃ。インフレになれば、人口が減少しても売り上げが必ず増加することは数式により明白じゃ。

しかし、売上が増加しても社員の給料が減る可能性はある。なぜなら自民党が格差を放置しておるからじゃ。格差を放置すれば、経済が成長しようがしまいが、貧困な人は増加するんじゃ。

Q(ねこ)

オーストラリアは移民で経済成長しているにゃ。オーストラリアを見習え。移民だにゃ。

A(じいちゃん)

どこぞの国を見習えというのはマスコミの好む話法じゃな。そういえばマスコミによると、日本は韓国に見習う必要があったはずじゃが、今の韓国の経済は・・・。オーストラリアの経済成長が移民のおかげだというメカニズム(作用機序)はまったく不明じゃ。しかしオーストラリアが経済成長しておることは間違いないじゃろう。しかし国民一人あたりの購買力平価の伸びが他国に比べて著しく高いわけではない。経済規模が拡大したからと言って、1人あたりの豊かさが増えるわけではないのじゃ。国民の生活の豊かさは主として生産性の向上によって実現される。移民が生産性を向上させるわけではなく、技術革新が生産性を向上させるのじゃ。それは先ほども説明したとおりじゃ。

Q(ねこ)

移民を差別するのは良くないにゃ。だから移民を推進するにゃ。

A(じいちゃん)

これは意味不明の主張じゃ。移民を差別などしておらん。日本ですでに生活している外国出身の人であっても、日本で生産活動してきちんと税金を払い、愛国心を持って生活している人は大切じゃ。そのような外国人による日本社会への適度な刺激はむしろ歓迎されるべきじゃろう。それと政策的に労働者として膨大な人数の移民を受け入れることは意味がまったく違う。

移民を日本人の立場からではなく、外国人の立場から考えてみよう。彼らが日本に移民しようとする理由は、日本が好きだからでもなんでもない。自分の国が貧しくて生活できない、将来に希望が持てないからじゃ。だから日本で仕事して生活し、あるいは稼いだおカネを出身国の実家に送金したいと考える。しかし、もし自分の生まれ故郷がもっと豊かになり、希望の持てる国になれば異国である日本に移民したいと思うじゃろうか?実際、最近の円安の影響で、日本から外国人労働者が減ったという。それはそうじゃろう。誰も本心から好き好んで外国に移住するわけではない。そもそも資本家が「格安労働者として外国人を利用しよう」と考えるのが不健全じゃ。

移民を受け入れることが、途上国の人々に本当の幸福をもたらすのではない。移民を受け入れるのではなく、途上国の生活向上のために先進国が途上国をもっと支援すべきなのじゃ。そして途上国の人々が自分の生まれ故郷で豊かに生活できる環境を整えてやることが本来の「人道主義」ではないのか。もちろんそれには時間が必要じゃ。日本でさえ明治維新からここまで来るのに100年以上もかかったのじゃ。途上国の人々はすぐにでも豊かな生活をしたいと思うかも知れんが、それはエゴじゃ。途上国は自力で豊かにならねばならない。そのために先進国は彼らの国を無償でどんどん支援すべきじゃ。資本家のように途上国にカネを貸して利子を巻き上げるのではない。マネーゲームによって天文学的な金額のカネを抜いて、タックスヘイブンに隠しているウォール街の連中から税金を取り、貧しい国を助けるのじゃ。しかし、こんなことを主張するとワシは暗殺されるかも知れんのう。

Q(ねこ)

うにゃ~!移民推進派の主張はどれもこれも欺瞞、偽善なのにゃ。なぜ見え透いたウソで固めてまで移民を推進しようとする連中がいるのかにゃ。

A(じいちゃん)

それは、「移民によって資本家がカネをさらに増やすことが可能」だからじゃ。資本家にとっては日本人であろうと外国人であろうと違いは何もない。労働者でありかつ消費者であり、彼らが生み出す通貨循環から利潤を抜くための道具に過ぎない。日本は少子高齢化によってその道具が劣化してきて、利益の回収率が低下したのじゃ。だから道具を新品にしたい、それが資本家の本音じゃろう。資本家にとっては、たとえ日本が日本でなくなっても何の問題もないのじゃ。まさに「拝金主義」が世界を覆い尽くしておる。それが移民推進の正体じゃと思う。