中国市場が不要である理由

<貿易の本質とはカネを稼ぐことではなく「必需品の交換」が基本>

(ねこ)

中国の市場は国益になるのかにゃ?一部のマスコミや識者が「中国は魅力的な市場だ、経済的利益のために関係正常化を最優先に行うべき」と言ってるにゃ。そのために、日本は靖国参拝や尖閣諸島で譲歩し、歴史認識における中国の主張を受け入れ、永久に謝罪し続けろというにゃ。しかし、本当に中国の市場に依存しないと日本は経済的にダメになるのかにゃ?中国の市場は国益になるのかにゃ?

(じいちゃん)

ほっほっほ、そんな事はないのじゃ。確かに中国市場も利用できればそれに越したことは無い。じゃが、そのために靖国参拝や尖閣諸島で譲歩したり、外国がねつ造した歴史を大人しく受け入れる事があれば、割に合わん。国家の尊厳や領土もまた、経済的利益以上に重要じゃ。もし、中国市場を得るためにそれらを失うなら、むしろ中国市場などいらんと思う。しかも、中国でモノが売れたからと言って、企業は儲かるかもしれんが、それでワシらの生活が向上するとは限らん。

(ねこ)

確かに経済的な利益だけが国益ではないのにゃ。でも市場で商品が売れればおカネが儲かるにゃ。

(じいちゃん)

おカネを中心に物事を考えるという常識に囚われておると本質を見失うのじゃ。おカネを通してしか物事を見れないようではダメじゃ。同様に貿易だけではなく、年金も金融も、およそ経済活動を考える場合すべてにおいておカネを中心に物事を考えても本質は理解できない。本当に大切なのはカネではない、財(商品やサービス)じゃ。じゃから、おカネさえ儲かれば良い、というわけでは無い。

そもそも、貿易とはなんじゃろうか?

貿易とは、本来、自分の国で生産できない財(商品やサービス)を得るために、他の国と財を交換することにある。たとえば、日本では石油が取れない。そこで、日本で製造した自動車や電化製品を産油国に輸出し、代わりに石油を輸入する。つまり物々交換じゃな。おカネを介しているが、やっておる事は物々交換じゃ。では、産油国ではなく中国が貿易相手の場合は何と交換する?中国にあって、日本にない物は何じゃ?レアアースなど一部を除けば、中国にしか無い物は、ほとんどないじゃろう。

(ねこ)

確かにそうなのにゃ。中国にしかない物って、ほとんど無いにゃ。じゃあ、なんで日本が中国から輸入するかというと、安いからなのにゃ。本当は日本でも作れるんだけど、日本では作らずに中国の人々を安く働かせて生産し、輸入しているのにゃ。つまり労働搾取を輸入しているのにゃ。日本では労働搾取できないので、中国で搾取する。

A.左様じゃ。中国から得るものは何もない。じゃが、今までは労働搾取することで一部の企業が利益を得てきたのじゃ。ところが最近は中国の人件費が高騰してきておるので、中国製品も次第に高くなってくるじゃろう。そうすると、中国から輸入する必要は減ってくる。そもそも中国から輸入する必要はないのじゃ。

<中国の輸出産業を世界市場から締め出せば、中国に輸出する必要はなくなる>

(ねこ)

でも、中国に輸出するとおカネが儲かるにゃ。それは無意味なのかにゃ?

(じいちゃん)

もちろん無意味ではない。じゃがよく考えてみる事じゃ。中国に物を売って、もし「元」で支払うと言われたら、多くの企業が嫌がるじゃろう。あくまで決済通貨はドルじゃ。なぜかというと、現在、中国の元は湯水のごとく発行されており、そんなジャブジャブに水増しされた通貨で支払うと言われても、まったく信用ならないからじゃ。さて、中国に輸出して、ドルで支払われるなら意味がある。じゃが、中国がドルで払うことが可能な理由は何じゃと思う?

(ねこ)

う~ん、輸出してドルを稼いでいるからなのにゃ。

(じいちゃん)

その通りじゃ。中国は自国の労働者を搾取して安く製造した製品を輸出することで、大量のドルを手に入れておる。いわば「合法的ダンピング」「為替ダンピング」のようなものじゃな。このようにして手に入れたドルが中国市場の魅力となっておるのじゃ。ドルをたくさん持っておるから、ドルでの支払い能力もたっぷりある。このドルを世界の企業が狙っておる。もし、ドルでは支払わず、元だけで決済すると言ったら、中国に物を売る企業は激減するじゃろ。ドルが無ければ中国の市場価値はほぼ無くなる。

(ねこ)

にゃるほど。中国の市場が魅力なんじゃなく、中国の持っているドルが魅力なのにゃ。

(じいちゃん)

その通りじゃ。ところで、日本が中国に輸出してドルを稼ぐとしたら、そのドルはどこからくる?そのドルは、たとえばアメリカの市場に中国が輸出して代価として受け取ったドルじゃ。つまり、アメリカのドルが中国に渡り、そして日本に来た事になる。では、そんな面倒なことをせず、アメリカで中国が確保している市場を日本が奪い取り、中国を排除し、日本の製品を直接アメリカの市場に売ってドルを得ればよいではないか。すると、中国を経由せずとも同じ額のドルが手に入る。

ここで注目すべきなのは、日本も中国も、ほぼ同じ分野の加工品を輸出しているという事じゃ。

ということは、中国が他国に持つ市場を日本製品ですべて置き換える事は可能じゃ。

中国の市場にモノを売らなくとも、中国を世界市場から締め出せば、同じ結果をもたらすのじゃ。

もちろん、中国製品を日本市場から締め出すのも同様の効果がある。

ただし、中国は環境問題も人権も無視し、平気で国民から搾取する国なので、安売りという点では競争力が極めて高い。国際市場における「ブラック企業」じゃな。中国=ブラック企業。じゃから、国を挙げて中国製品に対抗し、これを世界の市場から締め出さねばならん。

(ねこ)

なるほど、日本が中国に商品を売った時に中国から支払われる代金は、中国が他の国に売って稼いだカネなのにゃ。だったら、その中国の市場を奪って、代わりに日本の商品を売れば、結果として同じことなのにゃ。

(じいちゃん)

ほっほっほ、そういう事じゃ。もちろん、簡単にはいかないぞ。しかし原理的にはそういう事じゃから、日本としては中国を市場から駆逐する方法を、国を挙げて真剣に考えねばならんのじゃ。

(ねこ)

でも、過激だにゃあ。

(じいちゃん)

もちろん過激じゃ、じゃがその必要がある。それは中国が日本を潰そうとしておるからじゃ。中国が日本を敵対視し、潰そうとしている以上、だまって潰されるわけにはいかない。中国がこれを止めない限り、日本は中国を潰すしかないのじゃよ。誰も好き好んで隣国と戦う国などありはせん。じゃが刃を向けられれば、これと闘わねば滅ぶのみじゃ。

<日本企業の利益が日本国民の利益になるとは限らないグローバル化>

(ねこ)

それでも、中国市場で日本の企業が商品を売れば、日本企業の業績が良くなり、それは日本の国益になると主張する一部の連中が居るにゃ。

(じいちゃん)

それは昔の話じゃよ。昔は日本の企業は日本に工場を持ち、日本人を雇用して輸出した。その日本企業が儲かれば、労働者におカネが支払われ、人々はゆたかになった。まさに日本企業の利益は日本の国益じゃった。じゃが、グローバル化が進んだ今日、日本企業と言えども世界に工場を持ち、それどころか、日本に工場を持たない企業まである。そして、中国で生産して日本に輸入する。おかげで日本の産業は空洞化し、日本人の雇用は減少し、人々は貧しくなった。しかし、グローバル企業は大儲けじゃ。さて、このようなグローバル企業を「日本の企業」と呼べるかの?このような企業の利益が増えて、日本の国益になるかの?おまけに法人税まで減らすそうじゃ。

(ねこ)

う~ん、グローバル化された近代では、日本企業が儲かれば国益になるとは単純に言えないにゃ。日本の企業は儲かるけど、国民にそれが還元されるというわけじゃないのにゃ。むしろグローバル化で労働者の失業がどんどん増えて国民が貧しくなる。その一方で、株主の利益は増えて資産家はウハウハなのにゃ。日本企業が儲かっても喜べないにゃ。

(じいちゃん)

それがグローバリズムの正体じゃ。グローバリズムとは日本の企業と日本の国民を分断する手法なのじゃ。なぜそんな事をするのか?もし日本の企業と日本の国民の利益が一致しているとすれば、企業と国民が一致団結して海外勢力と戦うことが出来る。団結こそ強力な国家の礎となる。逆に日本企業と日本国民の利益が分断して、企業と国民が別の方向を向けば団結は失われ、これにより国家は弱体化する。これがグローバリズムじゃ。それが意図的に仕掛けられているのではなかったとしても、結果は同じじゃ。カネさえ儲かれば良いとする拝金主義によって日本は弱体化する。

(ねこ)

にゃんと!グローバリズムは狂ってるにゃ。でも、鎖国も良くないにゃ。

(じいちゃん)

グローバリズムの反対は鎖国ではない。国際化じゃ。マスコミの宣伝に騙されるでないぞ。

(ねこ)

国際化って何かにゃ。

(じいちゃん)

利潤最優先のグローバリズムと異なり、自国民の利益を踏まえた国際交流の事じゃ。現地で生産し、現地で販売するのなら自国の産業を空洞化するものではない。たとえば、ベトナムに産業が進出してベトナムに工場を作り、ベトナム国内に販売するのであれば、それはそれで良いことじゃ。これを日本に輸入するから日本の産業が空洞化するのじゃ。たとえばアメリカに工場を建ててアメリカで生産してアメリカ国内に売れば、アメリカの雇用が生まれる。仮にアメリカの自動車のシェアを奪ったとしても、雇用を奪うことはない。地産地消こそが、正しい国際化なのじゃ。世界の企業が競って、それぞれの国で産業を育て、内需を育てるのじゃ。一方、途上国の労働搾取で生産された安い製品を先進国で売りさばいてぼろ儲けするグローバリズムは、自国も他国も不幸にするだけじゃな。

従って、中国の市場に売り込んで日本の企業が儲かったとしても、その一方で産業の空洞化や賃金の低下が生じている以上、国益になるとは言い切れん。むしろ、日本市場から中国製品を排除し、日本に産業を回帰させて日本人の雇用を増やすべきじゃ。それが本当の国益じゃと考えておる。

<国防上から中国市場に依存するのは危険>

(じいちゃん)

近年の中国の日本に対する外交姿勢を見れば、明らかに中国は日本の敵対国じゃ。もちろん以前の中国は違った姿勢じゃった。じゃが奴らはいよいよ本性を現してきたのじゃ。以前と同じ考えではダメなのじゃ。もはや中国は敵対国なのじゃ。その中国に経済的に依存するとどうなるか、火を見るより明らかじゃ。

以前、中国共産党の高官がアメリカに対し、こう言って挑発したことがある「アメリカは産業が空洞化しており、もはや中国製品がなければ経済が成り立たない(笑)」と。中国共産党は、そういう連中なのじゃ。

しかも、中国で金儲けがしたい日本企業が増えると、それらのグローバル企業が中国の要求に譲歩するよう政府へ圧力をかけるようになる。産業界から政治家へのカネの流れを考えれば、国民の民意よりも産業界の圧力で政治が動かされる危険性は高い。もちろん日本の産業界に秋波を送る中国共産党の狙いもここにあるのじゃ。じゃから外交的には日本へ高圧的な態度を取りながら、民間企業には甘い態度ですり寄る。それに経団連がへらへらと応じるようでは話にならん。

先ほども述べたが、日本企業の利益と、国民の利益が一致している状態こそが国家としてもっとも強力に団結できるのじゃ。日本企業と日本国民を分断するのが中国共産党の基本戦略である。じゃが、利益最優先の資本主義経済では、この動きを止めるのは容易ではない。

じゃからこそ、新しい価値観、新しい経済システムが、国防の観点からも求められておると思うのじゃ。

2015.6.5 修正