宮城県

鎌先温泉「湯主一條」

白石城(白石市)

鎌先温泉「湯主一條」(再訪)

鎌先温泉「一條」再訪しましたが、接客の数人から「何月のお一人でのご来館に続いて、今回はご家族でありがとうございます。」としっかりお礼を頂きました。お忍びの場合もあるでしょうから、前回の一人旅と今回の家族旅行を即断し、言葉を選びコメントするのはすばらしいフロントの接客レベルです。そして食事処の接客係にもしっかり伝わっているのです。

料理も一級品であることを再度確認することができました。なお前回及び今回は改装(2008年7月)前のご報告ですので、改装により部屋や料金プランかなり変わった模様です。ホームページ等でご確認下さい。(2008/8/20)

復元された天守閣「白石城三階櫓」

「歴史探訪ミュージアム」も併設

国の天然記念物に指定「材木岩公園」

すぐ上流にある「七ケ宿ダム」

鎌先温泉「湯主一條」

ついに温泉旅館一人旅デビューです。単独での登山、スキー、温泉巡り、車中泊旅行等々、一人旅には慣れているつもりですが、山小屋やホテルではなく温泉旅館となると初体験でした。最近登場した大手旅行会社の一人旅企画を利用してみました。

今や少子高齢化社会、未婚・離婚・死別・趣味相違等でグループも良いけど時にはシングルで静かに旅をしてみたい。そんな需要が高くなってきているようです。様々な事情で一人旅を余儀なくされた場合、もしくは好んで選択した場合、快く受け入れている旅館がまだまだ少ないのが現状です。しかも週末となるとなかなかありません。自殺願望ではないかと奇異な目で見られた等の話もよく耳にします。現実はあまり繁盛していない旅館が苦肉の策で一人旅を受け入れている消極派が大多数です。

景色を楽しめる必要最小限の小さな部屋、個室又はカウンター形式の食事処、適度な接客、くつろげるロビーや庭園、図書室等、一人旅にうれしい和風温泉旅館はないものだろうか。果たして評価は?

一條本館(かつての湯治棟)

現在は食事処として使われている

宮城県白石市の蔵王山麓にあるかつての湯治場です。鎌先温泉といえば木造四階建ての一條旅館をガイドブック等で目にした人も多いのではないでしょうか。その温泉情緒満点のかつての湯治棟は、食事処として使われるのみで、新館宿泊棟は残念ながら鉄筋コンクリート造りであります。木造別館にある薬湯は昔ながの温泉で、加温しているにもかかわらず、なかなか良い泉質と感じました。当初は相当ハイカラな造りであったでしょうが、少し古くなっておりました。年季の入った木の風呂かと思ったのでしたが意外でした。

そしてもう一つは、ある従業員が十数メートル手掘りして湧出したという洞窟の湯が新館にあります。露天もあり設備面では快適ですが、加温循環しており、泉質もボーリング温泉によくありがちな「ちょっと無理して出てきました」風です。

薬湯

新しい「洞窟の湯」、露天もあります

温泉に期待を膨らませ、料理にはあまり期待せずに行ったのが見事に裏切られたのでした。なんと驚かせられたのはかつての湯治棟で頂く食事です。「私どもの料理はワインが合いますよ」と食前に助言されたのに、「フン」と無視し日本酒を注文して後悔する羽目に。宮城野ポーク霜降りレッドという無菌豚の豆乳しゃぶしゃぶも「何だ、またよくある豆乳かよ」と馬鹿にしてかかったら、豆乳鍋ってこんなに旨かったっけと再認識。

甘鯛とフォアグラのスフレに渡り蟹のビスクにいたっては「油っこそうなフレンチかよ」となめていたら、あまりに上品な美味しさに皿までなめてやろうかと。「一人旅だったので舞い上がっていて味覚感覚がおかしくなったのかな」と考え込んでしまうほどでした。これはもう一泊二万円超の料亭旅館級ではありませんか。

ところで、一人旅企画に対する評価ですが、食事は夕・朝食とも個室を用意、部屋は眺望の良い一番上階の端といった気の遣いようです。旅行会社の指示なのか旅館の配慮なのかは判りませんが、一人静かにゆっくりと過ごせるようにとのことでしょう。温泉旅館一人旅も結構イケるではないかと思わせるサービス内容です。

欲を言えば、湯上りお休み処やロビーがもう少し広く、展示物や本・新聞・インターネット等がもっと揃っていれば、温泉情緒を味わいながら暇を潰すのに好都合かと思いました。(2007/12/26)

かつての湯治棟

現在は個室食事処

ワインに合う料理が次々と

さすが伊達藩「余は満足じゃ」(朝食)

さつき庭園を眺められる8畳部屋

春には山野草が咲く「さつき庭園」