秋田県

後生掛温泉

尾去沢鉱山

後生掛温泉大浴場

後生掛温泉「後生掛温泉旅館」

八幡平国立公園アスピーテラインの秋田県側入口にある一軒宿です。近くには蒸ノ湯(ふけのゆ)温泉や放射線岩盤浴で有名になってしまった玉川温泉等があります。名前の由来になる伝説に登場する地獄谷が裏山にあり、付近からは蒸気とともに熱湯が涌きだしています。「馬で来て、足駄(あしだ)で帰る、後生掛」がキャッチフレーズで、農作業等で足腰がボロボロになるまで働き、農閑期の冬に自炊棟のオンドル部屋に寝泊まりしながら湯治をし、農繁期を迎える春にはピンピンになって帰っていくと云うことでしょう。ボロボロ・ヨレヨレがピンピン・ツヤツヤになると聞いて、さっそく試しに行ってまいりました。とは言っても一泊だけの強行軍では、効用はほんのおさわり程度です。

湯治村、あなたも村民になりませんか?

旅館部もオンドル部屋

駐車場に着くと、正面に大きな売店兼食堂があり、その横の坂を降りた所に湯治村と名付けられている湯治棟・大浴場への門構えが目に入ります。えっ、旅館はどこに?売店から入るのかな?と戸惑ってしまいます。よく見ると売店の横に控えめな看板と入口があるではありませんか。やっぱり湯治がメインなのだと感心させられた次第です。理髪店・美容院まであった酸ヶ湯温泉ほど大規模ではありませんが、蒸気による天然床暖房のオンドル宿舎には、広間・個室・売店・自炊場がずらりと並んでいる風景は村を名乗るに相応しく壮観です。

湯治に来たつもりが一晩でメタボに

旅館部専用、人気なく独り占め

旅館部は新築・改装されてミスマッチなくらい近代的で快適です。本館の最も狭い部屋に泊まりましたが、ここも床暖房が効いていて暑いくらいで、夏はどうなるのかと心配な程でした。各階にロビーもありゆったりと過ごせます。食事は大広間でいただきますが、量・質とも秘湯にしては十分以上です。山菜・キノコが主で、郷土料理のキリタンポ、ケイラン(餡入り白玉のお吸い物)が並びます。これで1万円前後(人数・部屋による)ならば、格安といえるでしょう。休日にもかかわらず、私も含め一人旅が数人いました。空いていれば一人でもわずかな料金差で受け入れてもらえる、一人旅に優しい旅館でもあります。

様々な浴槽が並ぶ大浴場(旅館パンフレットより)

肝心の温泉ですが、良い温泉はどこも同じですが、日帰り客や湯治客が多いため日中はやや混雑します。湯量があるのだから、もう少し湯船を大きくしても良いのではと思ってしまいました。火山風呂、うたせ湯、泥湯、名物箱蒸風呂等、嗜好が凝らされています。露天風呂も一応ありますが、狭く視界も遮られています。旅館部専用の小浴場もありますので、情緒には少し欠けますが、静かにプライベート感覚で楽しめます。泉質は単純硫黄泉で、温度が高く水で割っているため効能はやや淡い感じですが、酸性が強いためこれでちょうど良いのかも知れません。

【尾去沢鉱山】

鉱脈にそって縦に横に

実際の坑道の一部を観光用に開放

再現された現場事務所や奉行所

なぜかイケメンと秋田美人ばかり

観光は八幡平アスピーテライン(冬季通行止)や尾去沢(おさりざわ)鉱山があり、足を延ばせば、北は十和田湖・奥入瀬・八甲田山、南は田沢湖・乳頭温泉郷・角館等があります。規模は小さいですがスキー場もあり、四季を通じて楽しめそうです。(2013/4/25)