宮城県

青根温泉「不忘閣」

白石城(白石市)

青根温泉(再訪)

前回の報告では、青根温泉の共同浴場であった大湯が、不忘閣の内湯として再建工事中でした。蔵を改造し浴場にしてしまった「蔵湯浴司」に感動させられましたので、大湯にも大いに期待し完成後に再訪しました。

  土壁を多用した土蔵風の堂々たる木造建築となっており、野沢温泉の共同浴場「大湯」を思い起こさせます。道路際に建っていることもあり、窓はほとんどなく、前出の「蔵湯浴司」とよく似た雰囲気です。浴槽が石であることと、湯が高いところから豪快に滝の如く音をたてて流れているのが、大きな相違点です。「蔵湯浴司」が女性的なら、「大湯金泉堂」は男性的といった感じでしょうか。

夜は一人静かに蔵湯に浸かり瞑想の境地で疲れを癒し、朝は大湯で英気を養うといった使い方はいかがでしょうか。来館当時は、蔵湯は貸し切り制、大湯は男女時間制となっておりましたので、そうはうまくいかないかも。

再建された「大湯」

滔滔とお湯が流れ落ちる

青根温泉「不忘閣」

蔵王エコーラインの宮城県側には、遠刈田、青根、峩々温泉らが点在します。温泉、料理、設備、料金ともに必要十分で申し分ない峩々温泉は紹介済みですので参考にして下さい。今回は同じ「日本秘湯を守る会」所属の青根温泉不忘閣です。

不忘閣と言えば伊達藩ご用達の青根御殿です。現在は焼失後再建された物で資料館として見学するのみですが、庭園とともに眺めることができる姿は絵になっていて、豪華な気分にさせてくれます。今回は一人旅プランであったため御殿や庭園は望めない代わり展望のよい離れ風の不忘庵に宿泊となりました。

青根御殿 

青根御殿内部(資料館) 

共同浴場であった大湯は再建工事中でしたが、同じ源泉を引き昔から内湯として使われていた御殿湯と反対側に別の源泉から引かれた新湯がありました。そして何といっても驚いたのが、昨年新たに造られた蔵の湯です。三つ並ぶりっぱな蔵の一つを浴室にしてしまったのでした。蔵の土塀と骨組みしか見えない空間に対する違和感と小さい頃悪さをして真っ暗な蔵に閉じ込められた恐怖の思い出に、初めはちょっと戸惑ったのでした。

ところが、一人でこの檜の浴槽にたたずむと、外と遮断された何とも柔らかな空間に包まれて自分と対峙しているような錯覚におそわれ、「瞑想の湯」とでも呼びたくなるような時間を過ごせるのでした。

これ程印象に残る湯としては、自分が周りの自然に溶け込んでいくような法師温泉長寿館「法師の湯」と、浴槽の横に寝そべり竹筒で湯をかけていると板敷きに体が吸い込まれていくような峩々温泉あたりでしょうか。平成20年春完成予定の大湯も大いに期待が持てそうです。

蔵の湯 

夕食は個室(旧湯治棟) 

食事は部屋から青根御殿が眺められる、かつての湯治棟の二階で頂きました。料理は前出の鎌先温泉一條旅館には及ばないもののなかなかのレベルです。やはり伊達藩62万石の歴史なのでしょうか、宮城県は昼食に立ち寄った処も含めて全般的にレベルが高いと関心しました。 (2008/2/25)