中通り

温泉旅館一人旅デビューはおっかなびっくりでしたが、「まあ、独居老人になった時の訓練だ」くらいに思って始めました。すると、次第に味を占めて、「なかなかいいもんだ」と。今では、観光に止まらず自分なりの趣味を取り入れ、一人ならではできる濃密な内容に最早足抜け出来ない状態です。（借金がある訳ではありません。）そんな温泉一人旅（今で言う温泉ぼっち旅）を応援してくれる宿が「四季彩一力」（しきさいいちりき）です。

磐梯熱海温泉は郡山市から会津地方へ向かう郊外にあり、歓楽的な温泉街として発達しました。駅前には比較的小さな旅館が集まり、「湯の町通り」と称するやや鄙びた感じの温泉街を形成しています。また、少し離れた五百川に面する郊外には、大型旅館が立ち並び開かれた新しい感じの温泉街を成しています。

四季彩一力は駅の近くですが、巨大な近代的旅館です。まず、りっぱな庭園が眼前に広がるロビーで、ウェルカム抹茶と和菓子を頂きます。広大な庭園を主役にし、ロビー棟から雁行させた宿泊棟が連なります。すべての部屋から庭園が眺められる工夫です。今回は残念ながら自制しましたが、芸妓を呼びたくなる様な雰囲気です。

庭園があまりに立派なので、浴場もつい期待してしまうため至って普通に感じてしまいます。泉質はアルカリ性単純泉ですが、それを強く実感できるのは「ぬる湯」と称する保護組合泉です。33℃ですので温いと云うよりは、ひんやりが正しい表現です。アルカリらしいぬるぬる感が味わえます。熱い方は郊外にある市営の源泉からの引き湯です。

食事は、「会津見知らず柿の白和え」や「川俣軍鶏の土瓶蒸し」等、郷土色も豊かで、高いレベルの会席料理が期待できます。朝食は定食+バイキングとなりますが、ホテルでのバイキングの様な喧噪はなく、落ち着いた雰囲気で朝食を頂けます。今回一人旅プランだったためか、夕食は部屋出しでしたが、個人的には食事処の方が気楽で結構なのです。

地理的には裏磐梯や会津若松、吾妻連峰への観光拠点としてよろしいかと。今回はお隣の田村市にある、狭く探検気分の味わえる鍾乳洞「あぶくま洞」に寄ってみました。（「探検コース」は閉所が苦手の方は要注意。）定番ですが裏磐梯の「五色沼」も再訪いたしました。(2016/3/1)