歩いてしか行けない温泉宿

阿曽原温泉(富山県)

地獄谷温泉「後楽館」

奥鬼怒温泉郷「手白澤温泉」

付録:下ノ廊下・阿曽原温泉写真集

下ノ廊下(富山県)

阿曽原温泉(富山県)

新しいシリーズの開始です。行くところが無くなって、無理やり企画したのではといぶかる向きもあるかも知れません。究極の秘湯、生きているうちに一度は訪れたい、あこがれの温泉宿です。(私の場合、残された時間はもうあまりない。)旅館を名乗るところもありますが、基本的に山小屋ですのであしからず。とりあえずはちょっと列挙してみましょう。仙人湯(富山県剣岳)阿曽原温泉(富山県黒部)白馬鑓温泉(長野県白馬)地獄谷温泉(長野県山ノ内)湯俣温泉(長野県大町)本沢温泉(長野県八ヶ岳)雨飾温泉(新潟県糸魚川)赤湯温泉(新潟県苗場)奥鬼怒温泉郷(栃木県日光)三斗小屋温泉(栃木県那須岳)くろがね温泉(福島県安達太良山)大平温泉(山形県米沢)等々。 あくまで宿泊施設のある温泉です。 

一時間毎に男女入替制 

後ろのトンネルから蒸気と源泉が 

今回ご紹介するのは日本一危険な温泉、「阿曽原温泉」(あぞはらおんせん)です。黒部渓谷鉄道の終点である欅平から黒四ダムまでの「下ノ廊下」(しものろうか)と呼ばれる登山道の中間地点にあります。欅平からは5時間、黒四ダムからは7時間の行程で登山者限定の世界となります。しかも上流部の開通は例年9月下旬前後になりますので、全線走破は期間限定商品です。どうして日本一危険と云うありがたい称号をいただいているかは、写真をご覧いただければご理解いただけると思います。決して温泉自体が危険なのではなく、そこまで辿り着くのが危険という意味だったのです。 

上流部「日電歩道」

下流部「水平歩道」 

水平な道が延々と続く 

ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、欅平から黒四ダムまで、通常一般人は入れないトンネルがあります。その一部、欅平から黒四発電所までは関西電力黒部専用鉄道が敷かれています。黒四発電所といっても黒四ダムから十数キロ下流の仙人谷ダムの少し上流にある地下施設です。特に阿曽原付近の高熱帯は「高熱隧道」と呼ばれ、小説にもなりました。温泉はその隧道に繋がるトンネルから引き湯されています。 

山小屋全景(温泉は更に下る) 

以前あった飯場はホウ雪崩で被災 

宿泊施設は、かつてあった飯場跡に建つ「阿曽原温泉小屋」です。冬季は解体されますので、プレハブの簡素なものです。山小屋のすぐ下にはテント場あり、その脇の斜面に電力専用鉄道への入口と思われるトンネルがあります。露天風呂はテント場から更に数分下ったところにあります。専用鉄道の下には仙人谷ダムから欅平にある黒部第三発電所への発電用導水路があることから、源泉の噴出しているトンネルは導水路に通じているのかも知れませんが、定かではありません。 

黒四発電所の送電線出口 

上が専用鉄道、下が発電用導水管 

登山道としての下ノ廊下を実際歩いてみると、普通では到底理解できない位の歴史的な遺産だと感心せざるを得ません。日電歩道(黒四ダム・仙人谷ダム間)、水平歩道(仙人谷ダム・欅平間)、そして一般には非公開(一部見学会で公開、見学会の様子は「その他」のページで紹介中)の黒部専用鉄道や黒四発電所から黒四ダムへのトンネルの数々、壮大な黒部川電源開発の歴史を紐解かずにはいられません。宇奈月温泉駅前に黒部川電力記念館があり、その歴史を解説・展示してあります。(2012/10/8) 

地獄谷温泉「後楽館」(長野県)

長野県>地獄谷温泉

奥鬼怒温泉郷「手白澤温泉」(栃木県)

付録:下ノ廊下・阿曽原温泉写真集

黒四ダム駅構内から右岸を降ります 

降りきったら左岸に渡ります 

観光放水を下から眺められます 

内蔵助谷出合までは一般的な登山道 

こんなところでイワナ釣り? 

次第に渓谷が迫ってきます 

崩れた所にはしっかりと足場が 

高巻きルートです 

三人も乗って大丈夫かい? 

黒部渓谷の佳境に迫ってきました 

十字峡に架かる吊り橋 

次第に高度が上がる 

岩盤側には番線が手すり代わりに 

黒四発電所が近づいてきました 

向側に黒四発電所の送電線出口が 

仙人谷ダム手前で右岸に 

ダムと黒四発電所下部を結ぶ?道路 

ダムの中を横切る 

仙人谷ダム(黒三ダム?) 

阿曽原温泉小屋に到着です 

男性タイムには大混雑です 

小屋からかなり登り返します 

登りきると水平道の始まりです 

谷に沿って行く 

堰堤にトンネルが造られている 

ヘッドライトが必要です 

背の高い人は頭上に注意です 

どんどん渓谷との高低差が大きく 

最後は欅平駅へ一気に急降下 

トロッコ電車で欅平から宇奈月へ 

宇奈月温泉が見えてきました 

お疲れさまでした。

「その他」のページ「関西電力黒部専用鉄道」見学会の様子も是非ご覧ください。