中通り

岳温泉「花かんざし」

鎌沼と酸ヶ平(吾妻連峰)

岳温泉「花かんざし」

福島県二本松市と言えば、「智恵子抄」で一躍有名になった、彫刻家・詩人であった高村光太郎が愛した智恵子の生家がある所です。現在、生家には記念館が併設されて智恵子の生涯を物語る品々が展示してあります。その二本松市の安達太良山麓にあるのが岳温泉です。福島第一原発から近く、温泉旅館は7月まで避難所として使用され、7月下旬にようやく通常営業を再開しました。また、磐梯吾妻スカイライン・磐梯山ゴールドライン・磐梯吾妻レークラインの各有料道路が無料開放されました。

吾妻小富士

雄国沼(裏磐梯から徒歩で別天地へ)

以前、安達太良山に登った時に鉄山(くろがねやま)中腹に温泉が涌く山小屋「くろがね小屋」の存在を知ったのですが(入浴はしませんでした)、その源泉から岳温泉まで8㎞も引き湯されているとは知りませんでした。乗鞍高原と良く似ております。長距離引き湯すると湯が劣化して良くないと言われますが、江戸時代には「くろがね小屋」辺りに温泉街があったと云いますから、いろいろな経緯があって現在地になったそうです。(岳温泉観光協会のホームページ参照)

一般用の部屋は平凡

朝食(一流職人の手造り)

今回宿泊したのは、温泉街中央に位置し客室8室程度の小さな宿「花かんざし」です。施設はやや古くなっていますが、料理がすばらしく、4人家族ですと料金の割に大満足ではないでしょうか。ただ少人数に対する料金設定が割高で、今回ひとり旅プランであったため高額になってしまいました。プランのキャッチフレーズが「自分にご褒美を」となっていますが、みちのく応援歌ならば、もっと大勢で出かけるべきであったかも知れません。(すこし反省)

夕・朝食とも個室で

夕食は一品ずつ

泉質は酸性泉で火山国日本によくありがちな泉質と思いきや、pH3未満となると意外と少ないそうです。入浴すると古い角質がぼろぼろになり、いったんはガサつくのですが、その内ツルツルになるではありませんか。56年間の垢がすべて拭い去られたかのようです。ちょっと誇大広告のようですが、是非お試し下さい。

結構熱めの酸性泉

露天風呂(露天風呂付特別室もあり)

街中ですので視界に入るのは坪庭程度ですが、露天風呂も設えてあります。小さな宿ですので、他のお客さんと出会うことも滅多になく、静かに入浴できます。その露天風呂で、秋の涼やかな風に当たりながら、垣間見える智恵子の云う東京にはない本当の空とやらを眺めながら、智恵子とはどの様な人であったのだろうと思いを馳せていると経つ時間も忘れるのでした。やっぱり一人旅もいいものです。日本人に生まれて良かった。まだまだ人間やめられません。(2011/10/3)