花巻温泉郷

鉛温泉「藤三旅館」

厳美渓(一関市)

鉛温泉「藤三旅館」

岩手県花巻市の南花巻温泉郷の一角です。途中には以前ご紹介した大沢温泉「山水閣」があります。鉛温泉は大沢温泉と同様に自家源泉を持つ一軒宿で、巨大な湯治棟が未だに生残っている貴重な温泉宿です。

旅館部玄関

湯治部玄関

鉛温泉と云えば何と言っても「白猿の湯」です。地下1.5階分くらい堀下がった浴場に更に岩盤をくり貫いた浴槽があります。深さ1.25mの底からこんこんと温泉が湧き出しています。立ったまま、又は壁にちょいと腰かける入浴スタイルです。湯面はちょうどすぐ隣を流れる川面とほぼ同じ高さなのでしょうか。原則混浴ですが、女性タイムも短いですが設けてあります。また日帰り外来入浴者を受け入れている為、日中はかなりの混雑です。静かにお湯を堪能したければ早朝に限ります。その他にも湯治部には展望風呂と露天風呂、旅館部には男女時間制または貸切制の2つの浴場があります。

白猿の湯(一階から急な階段を下りる)

脱衣場と浴槽が一体になっている

朝4時に白猿の湯に出かけると若いカップルが入浴中、別の浴場で暇を潰し再度挑戦すると、若い女性が一人で悠々入浴中、休憩室で待つ羽目に相成りました。「女は女性タイムに入れ!」と叫びたくなりましたが、まあ止むを得ないかと我慢。ようやく順番がきて至福タイムです。それもつかの間、かしましい三人娘がなだれ込んでくるではありませんか。静寂が一気にかき消され、立ち泳ぎまでする始末です。確かに子供や小さな女性は背が立ちません。しかも訛がきつく何を言っているかわかりません。話しかけられたら答えようないと思い目を合わせないようにして死んだふりを決め込みました。鉛温泉って訛温泉のこと?まさか。「女は女性タイムに入れ!」とまた叫びたくなりました。40年以上前に娘だったのだから女と思わなければと、また我慢です。

湯治部の部屋(冬はコタツ)

旅館部の食事を注文

今回は久しぶりに一人旅です。「うしろ髪ひくかなしい声を、背でたちきる道しるべ・・・俺は中年男とつぶやきながら、みちのくひとり旅・・・」と口ずさみながら、やって参りました。と云う訳で湯治部なら一人でも気兼ねなく利用できます。湯治部と言っても自炊する人は極わずかで、旅館部の食事を頼むことができるのです。食事のランクも選べるうれしさです。ただし一斉配膳で一部セルフです。気楽でなお良いかもです。施設は古く夏・冬の季節の厳しい時はそれなりの覚悟が必要です。若い人が多いのかなと思っていたら、家族づれやカップルやら私のような中年男一人旅等、バラエティーに富んだ年齢層が利用しているのには驚かされました。格安で連泊して温泉を主に楽しむには最高ではないでしょうか。(2010/4/1)

近くには「藤原の郷」(奥州市)

「みちのく民俗村」(北上市)