四万温泉

積善館・柏屋旅館・鐘寿館

ぐんま天文台(高山村)

四万温泉「積善館」

四万温泉は以前、日向見地区(最奥)の「中生館」、山口地区(入口)の「鍾寿館」、そして今回は中程の「積善館」に泊まりました。四万川に沿って二キロメートルほど細長く曲りくねりながら温泉街が連なっているため、三回目にしてようやく全貌が理解できるようになったという感じです。

温泉街からの本来の入口

佳松亭・山荘の出入口は裏山になります

「積善館」は近代的な佳松亭、昭和初期に建てられた山荘、元禄時代の面影を一部に残している本館の三棟からなります。傾斜地を利用して増築されていき、渡り廊下やトンネルで結ばれています。言い方を替えれば温泉街から裏山へと伸びていったようで、新館の玄関は温泉街の裏側になっています。山荘はサービス・料理の割にリーズナブルで、本館は湯治スタイル(セフルサービスと弁当形式の食事)となっております。

元禄の湯

蒸し風呂

山荘の食事

「千と千尋神隠し」のモデル?

いずれにも風呂がありますが、本館にある「元禄の湯」は昭和初期に造られ、白御影石で囲まれた比較的小さな浴槽が5個並んでいて、上流から引き湯された源泉が底からこんこんとわきだしています。積善館の顔でもあり一番人気です。傍らには一人がやっと入れる大きさの、お湯の熱気を利用した蒸し風呂が作ってあり、当時としてはハイカラな趣向であったと思われます。

本館の玄関棟は元禄時代に建てられた、日本最古の湯宿建築として県重要文化財に指定されています。帳場と資料館として現在使用されており、湯治場の面影を残し雰囲気を盛り上げてくれます。 その他に混浴の岩風呂、山荘には家族風呂が2個、新館に大浴場と露天風呂があります。新館の設備は充実していて快適ですが、やはり雰囲気や心地よさは「元禄の湯」には敵いません。

家族風呂(山荘)

山荘から本館へのトンネル

料理は大型旅館にしては気配りの効いた会席料理で、十分満足できるでしょう。特徴のある郷土料理と云うよりは、洗練された都会的な内容となっています。朝食は食堂となりますが、美味しい朝粥が印象的でした。 総評としては山荘で評価しますと、高得点で「また行きたい旅館」のかなり上位に入りました。新館の「佳松亭」ですと料金がアップしますので果たしてどうなるでしょうか。(2004/5/1)

四万温泉「柏屋旅館」

何故か、四万(しま)温泉は今回で五度目となりました。「そんなに良い温泉?」と問われても、ちょっと即答に困ってしまいます。湯量が豊富で、外湯も整備され、大型旅館もありますが中小の旅館が多く南北に長く分散していて、なんとなく鄙びた雰囲気があります。悪く言えば中途半端ですが、新潟県境近くの行き止まりにあり、自然豊富で賑やかさや艶やかさはありませんが、落ち着いた情緒があります。

四万温泉「柏屋旅館」全景

八ツ場ダム代替道路と水没前の街並

以前は草津温泉の陰に隠れ目立ちませんでしたが、上信越道開通により北陸方面から注目されるようになりました。最近では八ツ場(やんば)ダム建設にともなう代替道路によりアクセスが更に楽になりました。ダム本体工事も始まりましたが、吾妻渓谷は計画変更で核心部の水没を免れましたので、駐車場が少ないのが難点ですが、散策も楽しめます。

水没を逃れた吾妻渓谷

完成したダム分水路出口

八丁暗がりに架かる「鹿飛橋」


今回は一人旅ということですので、気兼ねなく利用できるシングル部屋のある柏屋旅館を選択しました。温泉街の最も入口に位置し、温泉街を散策するには不便ですが、向かいには共同浴場「四万清流の湯」があります。なんと、隣に町営の「へき地診療所」があるではないですか。そんなにへき地なのでしょうか?結構大きい温泉街なのに、そういえば医院やスーパー、コンビニ等を見かけません。

快適な一人専用部屋

お酒と独り言を友に部屋食

シングル部屋は、ベッドとテーブル・洗面所がコンパクトに配置されていて、必要最小限の広さと言ったところです。しかし、テラス付きで開口部が大きく、道路を挟んだ向かい側が展望できるため、閉塞感はなく退屈せずに過ごせます。また、床暖房が入った畳敷きとなっており、ちょっと狭いですが、和式に座ったり横になったりすることも可能です。夕食は部屋のテーブルに一品ずつ運んでくれます。朝食は食事処になりますが、最も早い時間を選択しましたので静かに過ごせました。

明るい大浴場

貸切露天風呂「月の湯」

群馬県と云えば、こんにゃく、花豆、きのこ、野菜が名物でしょうか。これら地元の食材を利用して、和洋折衷料理で楽しませてくれます。朝は和食か洋食を、または温泉街中心部にある姉妹店のカフェでのブランチをも選択できます。「ブランチ?一日二食とは何事だ!」「犬や相撲取りと一緒にするな!」と怒らないで下さい。朝はどうぞゆっくりして下さいとの配慮です。客層は若い人が比較的多く、朝食も皆さん遅かったようです。

貸切露天風呂「櫻の湯」

貸切露天風呂「楓の湯」

風呂は、それぞれ趣向を凝らした三つの貸切露天風呂が人気で、内鍵を掛けて自由に利用できます。大浴場も大理石の壁にステンドグラスがはめ込まれており、なかなかハイカラな造りです。同じ四万温泉の積善館「元禄の湯」には湯量・情緒とも敵いませんが、プライベート感覚で貸し切ってゆっくりと利用したい方には結構かと思いました。(2014/1/25)

四万温泉「鐘寿館」

上信越自動車道が開通して以来、北陸から四万温泉へのツアーも見うけるようになり(北陸での)知名度も上がってきました。残念ながらR353が四万温泉で行き止まりとなっていますが、遠い将来に通り抜けができると便利になるでしょう。

今回お世話になった宿は「鍾寿館」さんです。家族風呂が6つもあります。その内3つは大変りっばな露天風呂です。貸切ではなく常時開放したほうが何時でも何度でも入れてよいと思うのですが。(2002/4/20)

鐘寿館の玄関

飲泉所