『リーン・スタートアップ』第7章のコメント・疑問

第七章 計測(P156)

P156.立ち上げ時にスタートアップがしなければならないことふたつ:

- 現実を直視する

- 事業計画に近づく方法が学べる実験を考案する

なるほど。(ヤマモト)

P156 「ゾンビの世界でうろうろしてしまうこと」

→投資家は、「上場やバイアウト(買収)されずにほそぼそと生き続けるスタートアップ」のことを「リビング・デッド」「ゾンビ」を呼ぶそうな。(キタムラ)

P157 あきらめず一生懸命がんばれば成功するという神話は危険。わかります。(ヤマモト)

一見つまらない経理で世界が変わる理由(P157)

P157.一般的な管理会計ではアントレプレナーをうまく評価できない。不確実性が高すぎるからだ。(ヤマモト)

異なる業界に対応できるアカウンタビリティーの枠組み(P159)

P159.革新会計ではまず、挑戦の要となる仮説(最もリスクの高い仮説)から定量的な財務モデルを作る。(ヤマモト)

P160.事業によって原動力となるものは大きく異なるが、同じ枠組みで財務評価できる。そうですか。(ヤマモト)

革新会計の機能 - 学びの中間目標3種(P160)

P160.革新会計の働きは3段階

1. 現状を示すデータをMVPから得る

2. ベースラインの状態から理想状態へのエンジンのチューニングを進める

3. できる限りの微調整や最適化が終わったときピボット(方向転換)するか辛抱するかを判断する

以後、これらの各段階の説明ですね。(ヤマモト)

中間目標であって最終目標ではない事も大事だと思います。まずは事業として軌道に乗せるにはこの中間目標を目指すと。 (You&I)

ベースラインの設定(P161)

...革新会計の働きの第1段階

P161.いろいろな種類のMVPがあり得る。それらからは異なる学びの中間目標が得られる。(ヤマモト)

P162.たくさんの仮説からひとつを選ぶ場合はなるべくリスクの大きい仮説を選ぶべき。(ヤマモト)

エンジンのチューニング(P162)

...革新会計の働きの第2段階

P163.ベースラインとなる数値を明確に定め、こうすればその数値がよくなるという仮説があり、その仮説を検証する実験をいろいろな形で行う。(ヤマモト)

方向転換するか辛抱するか(P163)

...革新会計の働きの第3段階

P163.うまく学べたスタートアップは事業計画の目標に近づく。そうでなければ遠のく。(ヤマモト)

IMVUにおける革新会計(P164)

P164.最初はやみくもに製品を改善して、その効果を示す指標を探した(がみつからなかった)。やがてそれを改め、評価尺度の数値をもっと頻繁に確認しフィードバックループの回転を速めることにした、ということですかね。(ヤマモト)

P164 次ページで説明があるが、IMVUにとっての成長とは訪れた新規顧客が実際に有料会員になる率の増大。成長に寄与すると信じて品質を改善する努力をした。ところが実際は品質改善前の顧客と改善後の顧客では行動の違いが無かった。こりゃヤバいぞと努力(=品質改善)の成果を頻繁に確認してみたりしたんだけど、毎週『変わんないっす』という残酷な結果が出たというオチを先に述べているのかと。(ハガイ)

製品を1日5ドルで改善していく(P165)

やみくもに行っていた製品改善について、もう少しその改善についてのフィードバックループを形成するのにGoogle Adsenseを使ったという話ですかね。結局これも失敗して、直接顧客の声を聞く事になった。 (You&I)

成長への学びのために投じた予算が1日5ドル。5ドルで1日100名の新規顧客の行動が手に入る。100件というのはマーケティングリサーチの標本数としては取るに足らない数値だが、成長のためにした努力が報われているのかを学ぶデータとしては貴重な意味があった。7か月に渡って製品の改良を続け、顧客からの聞き取り調査もずいぶん行ってきたが、データが示すのは『変わらない』という事実だったと。(ハガイ)

コホート分析(P167)

P.167 「コホート分析の場合、略、製品と新しく接する顧客グループの成績を個別に見る」 P.166のグラフを見てみると、有料会員数の伸びは変わらないが、ログインしたのみの割合が減って、代わりに会話を5回行った人の比率が伸びている。これらは累積ではなくて、新規に3D IMを使い始めた人のみでの割合。P.168にも同じ事書いてありますが。 (You&I)

P.168 「生産性で悩む事がなくなった」製品の方向性が見えるまでは色々やったが、一旦ベースラインが決まると、後はどんどん進むだけだったというお話。 (You&I)

P169~170 コホート分析によって得られたのは、改良の努力は成長につながっていなかったという事のみ。ではどうしたらいいのかは顧客から聞いた。努力が報われていないという現実を突きつけられる前と後では、顧客の声を聞く姿勢が違う。イケてると信じている状態で聞くか、ダメな理由を知ろうとして聞くかという違い。『努力』して『改良』した事について顧客は全然気にしていなかったというオチ。そういう事に気づいてからは顧客が本当に望んていることに向けて努力できるようになった。(ハガイ)

P.170 「パターンをまとめておこう」ベースライン設定、エンジンのチューニング、方針転換・辛抱。(You&I)

最適化 VS 学習(P170)

P171.「スタートアップはその製品やサービスを中心に持続可能な事業が構築できるか否かという高い目標に向けて進捗をはからなければならない。そしてそのためには、将来があらかじめ明確に予測できている必要がある。」???あらかじめ明確に予測できるのか?仮説モデルを持てということの言い換え?

(ヤマモト)

P171 私は「事業の将来の見通しを立てておかなくてはならない」と読んでみました。(ハガイ)

P.171 「その根本的な問題は開発の能力やエネルギー、努力の不足ではない。必ずと言ってもいい。」 どのチームも精一杯頑張っている。それに対して努力が足りないとマネージャーが結論づけるのは間違いである。そうならない為の将来予測であり、それに近づく為の仮説を立てての構築-計測-学習のフィードバックループ。これがないと努力の方向音痴となる。 (You&I)

P172. 「学びの中間目標は「意味のない計画を鉄の規律で実行しているのかもしれない」状況に着目し、負のスパイラルを防止する」これもよくわからない。学びの中間目標を持って取り組みとその評価を繰り返せば、無駄な努力を払わなくて済むといいたいのか?

(ヤマモト)

P172. 学びの中間目標は「意味のない計画を鉄の規律で実行しているのかもしれない」状況に着目し、負のスパイラルを防止する」

これは、16日のカイゼン塾のTPSのお話にあった以下の内容の事ではないかと推測します。

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作業分類

①正味作業->直接顧客に価値を提供する作業。(納品対象物の作成)

②付帯作業->正味作業を行うにあたっての前庭作業。補助作業(顧客に直接価値を提供しない)

③手戻り

③を0に近づけ、②を効率化して減少す事=カイゼン

というお話だったと記憶しています。

既に顧客と市場がある一般的企業の場合、カイゼンは②と③に着目するわけですが、スタートアップの場合、まず、①に着目する必要があるという事でしょうか。

①を提供する顧客が存在しなければ、全ての作業が③(手戻り)になります。

確かに企業の多くの致命的ミステイクは、意味のなくなった方針からの舵取りに失敗する事ですよね。

なので、顧客自体が変動要素であるスタートアップの場合、まずは①(を提供する対象の顧客の存在)に着目する必要があるという事だと思いますがいかがでしょう?

(イシハラ)

P172 理想状態へエンジンのチューニングを進めなければならない(P160:学びの中間目標3種)。革新会計は単純に「もうかりまっか?」ってのを測るのではなく『成長の原動力』となる値に注目する。製品開発チームの仕事という投資(改良を続ける限り投資は終わらない)が、『成長の原動力』となる値にどう影響を及ぼしているかを計測する。もしチューニングの方向性が間違っていた場合「なんか一生懸命開発やってるけど成長とはあんま関係ないっす」(理想状態へのチューニングになっていない)という事を知ることができる=負のスパイラルを防止することができる。

と解釈しました。(ハガイ)

イシハラさん、ハガイさんに続いてのヤマモトさんの疑問についての私なりの解釈ですが、この第7章のテーマである「革新会計」を通してみると具体的に何をどうするという事は書かれていません。学びの中間目標3種で私は「モデル」という言葉が大事だと思いました。ここでのモデルとは収益モデルの事だと思います。要するに、先にも書きましたが事業として成り立つかどうか、どのような収益モデルでやっていくのかを決定する事で、革新会計で利用する指標が決まる。事例紹介でどのような収益モデルかの説明があり、それに対してどのような指標で測ったのか説明がありしました。指標が決まる=方向性が決まれば無駄なく事業を進められると解釈しました。(You&I)

虚栄の評価基準 - 警告をひと言(P174)

新規顧客の数は増え続けているし、一定のコンバージョンは得ている。成長への努力が実っているように見えなくもない。しかし実際には『有料会員になってくれる率』は上がっていない=成長の原動力となる値は増大していない。日々行っている『改良』の成果は上がっていない。ということは、初期バージョンのまま新規顧客どんどん呼び込みさえすれば『改良』をしなくても似たような結果が得られたであろう。やってるはずのエンジンのチューニングは理想状態へ向かっていない。評価基準を間違えると革新会計は機能しなくなる。(ハガイ)

行動につながる評価基準 VS 虚栄の評価基準(P176)

P180.アジャイル開発手法を用いていることとリーンなスタートアップであることは別であると。

(ヤマモト)

P.180 ScrumやXPといった開発プロセスだけでは、ビジネスの部分がカバーされないという話であると理解しました。最近ではDevOpsだったりALMといった、開発と運用やビジネスを絡めて考えようという流れになっていますね。ScrumやXPではプロダクトオーナーの力量・センスによってビジネスの成否が決まってしまう。 (You&I)

P.182 「このプロセスに学習を組み込むと、生産性が下がる可能性がある。」アジャイル開発プロセスと学習については、書籍「アジャイルな見積りと計画づくり」では学習・成長も加味して見積もるような記述がありましたが、そもそものアジャイル開発プロセスに学習という概念はそれ単体としては扱われていないですね。PDCAサイクルの一環としてふりかえりだったりという仕組みはありますけども。 (You&I)

グロキットでのアジャイル開発は、MVPから始めてチューニングしてゆくというスタイルにマッチしていたが、評価基準がイケていなかった(虚栄の評価基準だった)というお話。エンジニア(開発チーム)はビジネス上の意思決定には関与せずユーザーストーリーを実装する。ファーブが書いたユーザストーリーが『エンジンのチューニング』になっているかどうか。それを顧客のフィードバックからどうやって知るか。(ハガイ)

コホートとスプリットテスト(P184)

スプリットテストにより、従来のままと新規側との比較をして検証を進めていったと。(You&I)

かんばん(P186)

TPS的に言えば、作りすぎのムダを押さえる話。本来のかんばんにはジャストインタイムなど他にも目的がありますが。 (You&I)

TPSのかんばんはアメリカのスーパーマーケットをヒントに作られたフレームワーク。 (You&I)

    1. 「かんばん」がはずれた分だけ、後工程が前工程へ引き取りに行く。(引き取り情報)

    2. 前工程は、「かんばん」の外れたものを、外れた分だけ、外れた順に作る。(生産指示情報)

    3. 「かんばん」の無い時には運ばない、作らない。(作りすぎ防止)

    4. 「かんばん」は現物に必ず付けておく。(現物票)

    5. 100%良品でなければならない。(不良品防止)

    6. 「かんばん」の枚数を減らしていく。(問題点顕在化、在庫管理)

P187.かんばんとは単なるタスク一覧ではなくて、流量制限の機構。ここでは未検証のストーリー数を制限している。リーン/TPS的ですね~。

(ヤマモト)

P186~187 アイデアを実装するだけでなく、その検証までを行う事が完了条件であると。ビジネス上の舵取りとアジャイル開発がガッチリ直結している。見事だと思います。ここで、スタートアップしている事業そのものだけでなく、そこで活動している『人』にも注目すれば、TMSの『自らカイゼンする人財を作る』という事につなげられるような。(ハガイ)

グロキットにおける仮説の検証(P189)

3つの「しやすさ」の価値(P192)

行動しやすさ(P192)

P.192 「レポートが行動につながるためには」レポートとは何のレポート?誤訳?読み進めてみた限りでは検証結果の事。 (You&I)

わかりやすさ(P194)

チェックしやすさ(P196)

わかりやすさと合わせて、TPSのA3用紙1枚にまとめる的な思想ですね。評価項目を絞って情報を見るべきものだけにする事で、早く評価することもできる。(You&I)