2006年度日本語文化祭

North Mediaにて 2007年5月26日

『日本語文化祭を終えて』

 

挨拶

瀋陽日本人教師の会会長 南本卓郎

 

本年も盛会裏に、第3回の日本語文化祭を終えることが出来ました。 過去2回の文化祭を振り返ってみますと、 第1回は参加校が7校、15種目、 第2回が9校17種目、 そして本年が10校、31種目でした。 

勿論、昨年までは領事館の文化センターでの開催だったということもあるかもしれませんが、いずれにいたしましても年々盛会になり、しかも内容も充実してきています。

会式のときの菊田領事の挨拶にありましたように、本年はおりしも「日中国交正常化35周年」にあたり、それを記念する「日中文化・スポーツ交流年」でもありますが、それにふさわしいすばらしい内容でしかも大変盛り上がった大会であったと思います。

それはひとつには、このようなすばらしい会場を提供してくださり、しかも、スタッフまで動員してくださったノースメディアの皆様方の、ご協力があったからこそでもあります。

  今日のこの文化祭へ参加した意義は主に次の3つではないかと思います。

1 日ごろ学習した日本語の実力を試し、発表する。

2 10校の学生が集まったわけですから、お互いに学生同士が交流を深める。

3 学習した日本語で今後日中両国の友好の架け橋の一翼を担う。

  私たち教師も微力ながら日中友好の架け橋の一翼を担いたいと努力しています。

今日参加した学生はもちろんのこと、参加はしていないが日本語を学んでいる学生諸君も、我々とともに手を携えながら今後日中両国の友好の輪がますます広がっていくように頑張ろうではありませんか。皆様方の今後のご活躍を期待いたします。

  終わりにもう一度、この文化祭に多大なご協力をいただいた「ノースメディア」さんと、文化祭を主催してくださった在瀋陽日本国総領事館に対して、皆様方とともに深く感謝いたし閉会の言葉とします。

教師会HPの日記から 2007年5月26日 (土) 

山形達也

日本語文化祭を見に行って帰ってきたところである。地元の情報誌コンシェルジェのために写真を撮るよう頼まれたので、今日は大きな顔をして一等席に陣取った。ステージに向かって第1列の、通路を挟んで右隣が菊田領事で私は左という最高のかぶりつきの席に座って4時間、歌と踊りと劇を楽しんだ。

 スピーカーも近いので音も大きく、今でも頭の中で、『夢のしずく』が、『未来』が、『世界の約束』が、リフレインしている。『太陽の一日』のダンスが、『ロックソーラン』の踊りが目に浮かぶ。奇想天外な仕掛けを作った『小林ピンポン』の黒子で動かされる舞台転換が脳裏によみがえる。『蛙の王子』の達者な台詞と凝った演出を思い出して改めて感心する。日本語を習ってよかったと喜び、心の底から楽しんでいる学生たちののびやかな声と笑顔にどっぷり浸かって、私も心から楽しんだ午後だった。

空の隅々まで晴れ渡った5月26日の土曜日の午後、第3回日本語文化祭が開かれた。遼寧大学で開かれていた時代の文化祭を数えると何回目になるのだろうか(遼寧大学の2005年に予定されていた日本語文化祭は反日デモのあおりで中止された後企画が消えた)。開催母体が日本国総領事館の主催となって開かれた2005年の文化祭を新生第1回と数えると、第3回となる。

会場は青年大街と文化路の交差点東南側に建っている新築29階建てのノースメディアビルの4階ホールだった。昨年までは総領事館の敷地内の別館で開催され、それはそれでとても立派なところだったが出入りが自由でなかったので、出演者も参加者も今回は遙かにのびのびと楽しんだようである。

最後に総括した南本会長によれば、

第1回の参加は7校で、演目が15。

第2回の参加は9校で、演目は17。

今回の参加は10校で、演目は31という具合に、飛躍的な発展と充実だった。

参加した教師会のメンバーは口々に今回の文化祭は大成功だったと言っていた。私は文化祭を初めて観に行ったが、出演する学生たちの輝きに目を奪われ、彼らの習得した日本語を使って自分たちを演出している喜びに心を奪われた。日本語文化祭の試みは完全に成功したと言っていいだろう。

これは第一に、何よりも会場が圧倒的によかったことがある。約300のいすが用意してある会場の正面には大きなステージがありステージ環境がよいだけでなく、ノースメディアが受付も用意し、照明、音響、ビデオ、マイク係などのスタッフ(合計20名)が総出で演目の進行を助けて呉れたことが大きい。ノースメディア側の十全な協力が第一の成功要因である。

したがってこの会場を借りて文化祭を主催した総領事館の判断は、称賛すべきもので、これが第二の成功要因である。実際に学生を出演させた日本語教師の作っている教師会は、共催者としてなくてはならぬ存在ではあるけれど、教師の会は総領事館とノースメディアに今回の成功のお膳立てに心から感謝の意を表明している(最後の南本会長の挨拶はこのように締めくくられていた)。

第三に挙げたいのは準備に当たった文化祭実行委員(勿論教師会)の準備の良さである。出演者が10校の、しかもクラスを考えればもっと多い単位になる出演者による31もの演目を何一つの滞りもなく進めることができたのは、事前の準備に当たった田中、渡辺(京子)、藤平、石井先生の委員会の功績であろう。発表を劇や合唱などのジャンルごとで分けていた最初のプログラムにそれでは面白くないと文句が出て、組み替えられた最終プログラムの送付が前日だったことを考えると、ますますその感を強くする。瀋陽に赴任して初めて文化祭の開催を担当した田中、藤平両先生には特にお疲れ様でしたとその労に感謝したい。 勿論、歌、踊り、劇の発表に参加できる嬉しさで弾む心を通奏低音として、真剣さ、ひたむきさと熱意をもって演じられた内容こそが、この文化祭の成功の最大原因であったことは言うまでもない。全体で、独唱が4曲、合唱20曲,器楽3,エアロビックスなどのダンスが7曲、劇が5つあった。どれも楽しかった。どの出演者も輝いていて、4時間の熱演に堪能した。

遼寧大学主催の時代の文化祭を知らないが、それが形を変えて総領事館主催の文化祭となって良かったに違いない。しかも、世の中の空気が変わってきた。昨年は領事館の敷地内で開催され外部からのアクセスが自由ではないので外の会場を借りて出来ないかという意見が多かった。しかし日本人の団体が瀋陽市内に場所を借りて、不特定多数が参加する集会を開くなんてとても考えられないのが一年前だったのだ。それが、今はこうやって街の中の普通の施設を借りて文化祭が開かれた。ご尽力頂いた森領事に改めて感謝する次第である。

来年も是非この熱気を再現させてほしいと心から願いつつ、初夏の瀋陽の街を家路についた。