日本語教師になるには
特別企画 日本語教師の会からのアドバイス
日本語教師になるには
現在、海外で日本語教師として活躍されている方がたくさんいらっしゃいます。中国で日本語教師になるには、どのような方法があるかご存知でしょうか。
瀋陽で日本語教師をされている方々に派遣形態などについてアンケートをお願いしたところ、さまざまな答えをいただきました。それらを簡単にまとめましたので、ご覧ください。日本語教師の資格の取り方もわかっていただけると思います。
なお、瀋陽日本人教師の会、および本ホームページでは就職斡旋はおこなっておりません。あらかじめご了承ください。
主なものとして、以下の7つに分類しました。
国際交流基金
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
国際交流基金海外派遣青年日本語教師としての派遣。
基金には専門家と青年日本語教師という派遣形態があり、青年教師は専門家に比べると資格や経験の基準、業務レベルの要求が低く、待遇も違う。
2.契約期間は決まっていますか?
任期は通常2年。(場合によっては、1年までの延長もある。)
3.求められた資格、経験などはありますか?
日本国籍を有し、日本語を母語とする者で、
1.以下の条件を全て満たしていること。
(1)満35歳以下であること。
(2)四年制大学以上の学歴を有すること。
(3)国内外の中等・高等教育機関、日本語学校等の日本語講師(非常勤含む)として、2年以上勤務した経験があること。(個人教授は除く。)
(4)応募時点で海外に在住している者については、2月末日までに日本に帰国していること。
2.以下についてはいずれかの条件を満たしていること。
(1)大学で日本語教育に関し、主専攻もしくは副専攻として修了していること。
(2)民間の日本語教師養成講座(420時間)を修了していること。
(3)日本語教育能力検定試験に合格していること。
(4)日本語教育学会主催の実習コースを修了していること。
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
[1次選考]書類審査
[2次選考]筆記試験 専門(日本語、日本語教育)、英語(TOEICレベル筆記のみ)、作文
(基金 東京または大阪 交通費自己負担)
[3次選考]面接試験 専門知識についての面接、人柄・適正についての面接
(基金本部 東京 交通費支給)
応募締め切り 9月中旬 国際交流基金のHP に募集の案内が出る。 http://www.jpf.go.jp/
その他、「月刊日本語」などの日本語教育専門誌に掲載され、日本語教育機関に
案内がある。
募集人数 若干名:私が応募した時は9名で、中国は1名だった。
東南アジア、東アジアへの派遣が多く、年によっては、ヨーロッパ、アラブへの派遣もある。
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
3月に浦和の日本語国際センターで約2週間実施される派遣前研修への参加が義務付けられ、早い場合は4月上旬に赴任。
6.その他、補足などがありましたら、ご自由にお書きください。
日本語の授業を担当(ティーム・ティーチング含む)する他、ニーズに応じて教材作成、現地日本語教師研修会への指導も行う。
・基金より派遣されている日本語教師によるレポートサイト「世界の日本語教育の現場から」をご覧下さい。
http://www.jpf.go.jp/j/learn_j/voice_j/
青年海外協力隊
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
青年海外協力隊による派遣。
(派遣国・地域・機関は、個人の希望・適正などを考慮して決定される。)
2.契約期間は決まっていますか?
原則として2年間。(場合によっては、延長もある。)
3.求められた資格、経験などはありますか?
派遣される学校によって、求められる資格はさまざまだが、3つの条件:
①大学主専攻・副専攻で、日本語教育を学んだ。
②日本語教師養成講座420時間修了。
③日本語教育能力検定試験合格。
のうち、どれか1つを満たすことという場合が多い。
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
募集は年2回(春・秋)。
一次試験:筆記試験(技術・語学・協力隊員適正テスト)と健康診断(書類審査)。
語学は英語(中学卒業から高校2,3年程度のレベル)と人造語。
各都道府県で実施。
二次試験:面接試験(個人面接、技術面接)と健康診断。東京で実施(旅費支給)。
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
派遣前に、80日間の訓練(合宿研修)がある。語学(派遣国の言語)や国際協力について学ぶなど、各種の研修を行う。
派遣されてすぐ、北京で現地研修(語学など)を約3週間行う。
6.その他
興味のある方はHPを見て下さい。
http://www.jica.go.jp
日中技能者交流センター
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
日中技能者交流センターからの派遣
2.契約期間は決まっていますか?
「一年単位で契約」(延長は両者の条件が一致すれば可能)
3.求められた資格、経験などはありますか?
「日中技能者交流センター」への応募資格。次のどれかを満たしているもの。
1.日本の中学校または高校で、日本語または英語の教師経験が十年以上のもの。
2.「日本語教師」の経験が3年以上のもの
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
一次:書類選考(最近の倍率は約2倍)で選抜されたものが、正式な登録者となる。
二次:登録者は全員2週間の研修(愛知県西尾市)を受ける。但し、研修受講者が全員採用されるわけではない。中国の「国家専家局」から招聘のあった者で、承諾した者のみが採用される。
2003年度の9月(新年度)からの派遣者は、登録者の約73%。月が遅れて採用されるものも若干いる。(10月、2月等)
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
センター派遣の場合は、センターの研修所で3週間の合宿による事前研修がある。研修内容は、日本語教授法についての講義を聴き、相互に模擬授業を行い、名古屋の日本語学校を見学し、現代の中国事情についての講義を受け、中国語についての基本的な勉強もする等多彩な内容であった。また毎年3月に北京で開かれる経験交流会に出席する。
6.その他、補足などがありましたら、ご自由にお書きください。
下記ホームページをご覧下さい。
http://www.jcsec.or.jp/
文部科学省REX派遣事業
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
文部科学省のREX派遣事業により、派遣された。派遣先は主として都道府県が交流をはかっている国や土地となる。
2.契約期間は決まっていますか?
原則1年半。
3.求められた資格、経験などはありますか?
文部科学省のREX派遣事業に参加する者は、原則としてまず都道府県の教員である。
日本語教育に関する資格は特に求められない。ただし、年齢制限があり、35歳ぐらい
までと聞いている。
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
募集は年1回(秋)。
都道府県にて
一次試験:筆記試験(作文)
二次試験:面接試験(専門知識についての面接、人柄・適正についての面接)
文科省にて
最終試験:筆記試験(作文)、
面接試験(専門知識についての面接、人柄・適正についての面接)
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
派遣前に東京で、約3か月強の研修がある。日本語の知識から、教育のノウハウなどを
集中して学ぶ。派遣先の言葉については週2単位の授業があった。
6.その他、補足などがありましたら、ご自由にお書きください。
たとえば下記のwebsiteをご覧下さい。
http://www.jpf.go.jp/j/urawa/world/kunibetsu/2003/china.html
講師派遣会社からの派遣
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
日本にある講師派遣会社の仲介により、中日交流センター(北京)に派遣され、そこから各学校に派遣される。
2.契約期間は決まっていますか?
特になし。
3.求められた資格、経験などはありますか?
日本語教授の経験。
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
講師登録して、希望して、空きがあったら派遣。
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
1週間ほど北京で研修。
6.その他、補足などがありましたら、ご自由にお書きください。
インターネットで検索すると、いろいろなところが出てきます。
日本語学校からの紹介
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
以前に勤めていた日本語学校や、日本語教師養成講座を受講していた日本語学校からの紹介。その日本語学校の提携校(姉妹校)へ派遣されたり、「海外中国日本語教師派遣プログラム」によって派遣されたりする。契約については、個人と派遣先の個人契約になる場合が多い。
2.契約期間は決まっていますか?
半年、1年、2年と個人差があるが、1年契約で、その後の更新は交渉次第という場合が多い。
3.求められた資格、経験などはありますか?
①大学主専攻・副専攻で、日本語教育を学んだ
②日本語教師養成講座420時間修了
③日本語教育能力検定試験合格
以上の資格のうち、どれか1つを満たすことという場合が多い。
派遣先によっては、社会経験、教授経験を求められる場合もある。中国語が話せることを求められる場合もあるが、ごく少ない。
「国語高等教諭免許取得」が大きく評価されることもある。特に日本語専門学科で教える場合は、授業内容によっては、日本語教育よりも国語教育の方を学校側から期待される傾向があるからと考えられる。
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
a.履歴書を派遣される中国の学校に送って採用されればOK。履歴書審査のみ。
b.履歴書提出後、面接試験。面接試験では、資格よりも人柄や、「中国で教壇に立つこと、中国で生活すること」に対しての熱意や覚悟、ヤル気が重要視されるのではないか。
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
日本語学校によって、研修がある場合とない場合がある。ある場合の例としては、紹介された日本語学校で事前研修(中国での教授法、中国事情など)。
その採用された日本語学校の実際の現場に入り、主に日本語教育の実践的な内容に関する研修を受ける。研修期間は約4ヶ月。語学研修はなし。
6.その他、補足などがありましたら、ご自由にお書きください。
このような派遣については、インターネットでも募集をしていることが多い。
「日本語教師」「中国」などのキーワードを入れて検索してみて下さい。
知人からの紹介
1.どのような形で、現在の学校に採用、派遣されましたか?
知人からの紹介。
2.契約期間は決まっていますか?
原則1年で、その後は交渉次第で更新可能であったり、特に期間は決まっておらず、意志があれば何年でも可という場合もある。
3.求められた資格、経験などはありますか?
基本的には3つの条件:
①大学主専攻・副専攻で、日本語教育を学んだ。
②日本語教師養成講座420時間修了。
③日本語教育能力検定試験合格。
のうち、どれか1つを満たすこと。さらにこれプラス社会経験が必要ですね。また、日本での教師経験(国語・英語など)や、中国での教授経験など。
4.採用の過程(履歴書送付、試験、面接など)はどのようなものでしたか?
履歴書送付のみや、履歴書送付プラス面接。
5.採用から派遣までの間に(派遣中も含む)、研修などはありましたか?
特になし。
6.その他
ここの紹介した事例は、日本にいて知人から紹介を受けて中国に教えに行った、中国で日本語教師をしている間に見込まれて、紹介を受けて別の学校に移った、などの場合です。