第6話 不思議なネジ

『小学二年生』2004年9月号掲載。

ゾビーのロッカーのガラクタの山から、謎の大きなネジを見つけたヒッキー。物知りのジーニーや時計に詳しいクイッキーに聞いても全く正体が分からない。そこで、ゾビーが最初にネジを拾ったという玄関ホールに行ってみると、ちょうど天井にゼンマイをまく穴が。ネジを差し込みゼンマイを回すと、なんと、校舎が歩き始めた!

最終回にして登場キャラクターがHLZGQとなんか珍しい取り合わせです。お話は『資料庫の秘密』を思わせるゾビーのロッカーからスタート。

ロッカーから雪崩を起こしたのは、いろんなネジやバネ、いつものアヒル人形、ペンケースとノート、傘、おもちゃのロケット、砂時計、ネズミの人形、フォーク、グラス、壺、サボテン、その他もろもろガラクタの山。サラマン先生に注意され、ゾビーは散らかったロッカーの片付けを始める。

ヒッキーさんは「ぼくもガラクタをすてるのを手伝ってやるよ!」とノリノリでコレクションを処分しに来てくれました。ガラクタじゃなくておらの宝物ゾビ~!と、リディーが見つけたブローチは宝石グモ。『リディーの恋占い』再び、である。

そんなガラクタもとい宝物の中から、大きなネジを発見するヒッキー。いい目の付け所をしています。どうやらサラマン先生はこのネジのことを知っているらしい。「この学校の不思議を、自分たちで見つけてみるのも楽しいぞ!」と言われ、ネジの秘密を探し始めるヒッキーたち。

とりあえず最初に頼るのは「学校一物知りなジーニー」です。だがジーニーにも何も分からず、どうやら時計のネジっぽいということで(「時計のことならクイッキーだ!」)、今度はクイッキーのところへ。「おいらよりずうっと大きな時計」のネジではないか、ということで時計室に行ってみるものの、これも違う。校舎の時計のネジよりももっともっと大きなものを動かすゼンマイのようだ。

ここで「そうさは基本にもどれ」と言い出したリディーちゃんが今月のグッジョブで賞。ゾビーがネジを見つけたという玄関ホールを探してみると、あるじゃないですか、最初に落ちていた場所の真上に、ゼンマイを巻く穴が! 椅子の上にゾビー、クイッキー、ヒッキーとやぐらを組んで天井の穴にネジを差し込んでみると、これがぴったり。ゼンマイを巻くと、大きな音がして校舎が揺れ始めた。

ヤバい!と思ったところにサラマン先生の声がして、言われるがままに屋根の上に登るヒッキーたち。なんと、校舎が動いているではないか! 大きなネジの正体は、校舎を動かすゼンマイのネジだったのだ。「散歩する校舎」という「とってもすてきな不思議」……そうなんですよ、確かにこの校舎4本足生えてるんだわ、これは歩きますわ。「今夜は、このまま海まで遠足じゃ!!」という一声で、校舎は海に向かって歩いていく。エディは鎖を外してお留守番かしら。

↑ここ、サラマン先生が「~じゃ」口調でしゃべるのはおかしいなあと思ったら、よくよく読むとはっきりとサラマン先生のセリフとは書かれてないんですよね。かといって校長先生の名前も一言も出てきてないんですけど、多分これは校長先生のセリフを意図しているよね……? つまり、校舎=校長先生説でそのまま考えれば、校長先生の不思議(の一つ?)が「散歩する校舎」ってこととか……?


今回の校舎のネジ、アニメ本編ではちゃんと玄関ホールの天井に刺さっているのが確認できます(例えば24話、赤ヒッキーが極悪トリオを連れて階段を上るシーンなど)。校舎のゼンマイについては、小二のために後付けで出したのか最初から裏設定として用意してあったのかは分かりませんが、MHSにはもっとこういう隠し要素はいっぱいあったんじゃないかなあ~。それにしても、校舎を歩かせるネジにしろ資料庫の鍵にしろ、学校の秘密がゾビーのロッカーに眠りすぎ問題である。

ここで、これまで見続けてきた末尾の「つづく」の文字がとうとう「おわり」になっている悲しさ、私には忘れることができない……。連載こそ9月号で終わりましたが、この次の10月号にはビデオ発売記念のスペシャルイラストコンテストの告知に2ページが取られていて(この入賞作品がDVD12・13巻の「みんなのギャラリー」で紹介されている)、MHSと『小二』の縁はもうちょっと続いていきます。

今月のキャラクターたち

H『えんぴつの男の子。みんなの心に残る「不思議」を作るのが目標だよ。』

Z『ゾンビの男の子。ロッカーに入ると落ちつくんだって。』

L『オルガンの女の子。えんそうする曲に、自分の気持ちが表れちゃうの。』

G『辞書の男の子。頭のケースに本を入れると、内容がわかっちゃうよ。』

Q『時計の男の子。調子がいいと、少しだけ時間を止められるのだ!』

サラマン先生『テレビ画面の中に顔がある、不思議な先生だよ。』

というわけでこの連載、ヒッキーとリディーは半年間皆勤でした。ありがとう、『小学二年生』!