#42 サラマン先生大特訓

DVD11巻(付属フィギュアがサラマン先生)、初回特典版の箱にサラマン先生のプロフィールが載ってるんですが

「生徒思いの感激屋、感情の起伏が激しい」

この辺はどっちかというとティゲール先生のことっぽくて面白い。いやサラマン先生もわりかし感情の起伏激しいけど。


第42話「サラマン先生大特訓」

(脚本:荒島晃宏、絵コンテ:酉澤安施)


開始早々不穏なBGM……と思ったら、水飲み場にビッシリ張り付くハエ軍団!! 顔はまだ愛嬌あるんだけど、手をこすり合わせるあの動きがリアルで生々しいんだよな……。一匹がチェッカーフラッグを振ると、ハエたちは一直線に飛び出していった。


「皆さんが昼間の学校にデビューする場合、ふしぎと同じくらい大切なものが逃げ足です。子供たちに見つかってはせっかくのふしぎも台無しに……」

サラマン先生の講義の途中で、突然ハエ軍団が教室に入ってくる。先生は鋭い目つきになり、サンショウウオの長い舌でみるみるハエを叩き落としていく! ハエたちが次々ダウンする中、一匹だけ逃げ切ったリーダーバエに「あいつすごい!」と声を上げるヒッキー。

「もー、授業の邪魔をされたのはこれで何回目!?」

「数え切れないモン……でもサラマン先生のベロを振り切ったのは今の一匹だけだモン」

「それにしてもどうして邪魔しに来るんだろ」

「ヤムヤムのしつけが悪いのよ!」

と、天井からクモの時計が降りてきて午前1時50分のチャイムが鳴る。ちなみに『クイッキーはおおいそがし』のときは1時55分に授業終了だったので、まあそのへんテキトーです。


どうやらハエが邪魔しに来るのはイエローリザードクラスだけらしい。机を傍に積み上げ、真ん丸い掃除機(タコの形?)を用意した教室に、サラマン先生はヤムヤムを呼びつける。掃除機はヒッキーが吸い込み口を、アンプーがコンセントを構えている……この学校の電力って全部アンプー頼みなの?

「休み時間だってのにみんなそろってお掃除かい」

「なんでもいいじゃない。お願い、ハエを呼んで~!」

リディーは多分ウインクするためだけに待機させられてたんだろうな……。ヤムヤムの指笛が響いた途端、ハエ軍団がやって来た。掃除機に吸い込まれてしまうハエたちに、慌てて「ハエども逃げろー!」と叫ぶヤムヤム。その腕を先生がつかんで押さえ、返却機さんと共に逃げるハエの行く手を阻む。

リーダーの方が一枚上手でした。捕まったハエたちは逃がされるし、アンプーも一撃で倒され(!)、放電してバリバリいいながら逃げていくリーダー。先生と返却機さんは舌同士が絡まってしまい、ヒッキーたちも呆れ顔。


極悪トリオ、今日は珍しく校舎向かって左手の出口の方でだべっております。

「あれ? てっきりオラは親分がやらせてると思ってたズラ」

「お前たち、俺様の知らないとこでそんなすげえことしていたのか。リーダー! 前へ出な、褒めてやるぜ!」

……リーダーは時計のクモの糸に捕まえられていたのでした。「よく捕まえました」って、ただの時計のくせに有能だな!?

「やいやいやいやいサラマン先生! あっしたちを捕まえるとはどういうつもりでい!」

「君たちこそ大切な授業を邪魔してどういうつもりです?」

「授業の邪魔。あー、あれはあっしたちの逃げ足を試すレースですよ。サラマン先生のベロはなかなかのスピードですからねえ!(HL「うんうん」)ハエにとって逃げ足は命! 一番逃げ足の速い者があっしのようなリーダーになれるんです」

リーダーの軽い口調は、先生をバカにしているというよりは、自分の逃げ足への自信に一切疑いがないという響き。ヒッキーもなんだかんだで先生のことを侮られると黙っちゃいられないのだ。先生とリーダーは授業妨害の是非を賭けて勝負することになってしまった。

先生がクモの糸を解いてやると、リーダーは聞き耳を立てていたヤムヤムたちと合流。これがまた、一歩遅れてきたチュービーに耳打ちして状況を伝えてるっぽいウソップとか、地味な動きが本当に細かい。

「さすがハエ軍団のリーダー。かっこよかったぜ……」

「おだてねえでくださいよ親分……!」


一方サラマン先生は指をツンツンしながら、

「授業の邪魔をされたくなくてつい大きなことを言ってしまいました……」

見栄張って大口叩きがちなのは本当にそうだよね!! ヒッキーの「大丈夫だよ…」も急に自信なさげだし。

「あんなのは私の仲間なら誰でもできることです。しかし、あれ以上のスピードとなると、はあ……」

す、スピードと言われたらなんだかうずうずしてきたぞ……?


帽子にハエマークつけられるドッキーで笑ってしまって本当にすみません。だってヒッキーの絵、かわいいんだもん……。

「なんだよこれ……ゴキブリか?」

「ハエだよ(怒)」

「かっこ悪いが我慢するぜ、サラマン先生のためだ」

さすがにゴキブリには見えないと思うんだけど、やっぱりかっこ悪いのは気にするんだな……とか思いつつ、ドッキーの口から「先生のため」なんて言葉が出てくるとちょっと感動してしまう。滑り降りてくるドッキーの頭上の的を狙って練習するサラマン先生だったが、緊張で震える先生の舌はそのスピードにとても追いつかない。ハエの飛ぶ速さに遜色ないほどの手すり滑りのスピード!

「先生は昔この学校の生徒だったんだろう? ベロを早く伸ばすコツとか教わらなかったのかい」

サラマン先生が生徒だった時代の校長先生、めっちゃ若い!……なんてことあるわけなくて、『ピラニン恐竜』のときの人魂みたいなただのイメージ映像です。でも昔の校長先生、もしかして「なのじゃ」口調じゃなかったのかしら。

『自分の感覚を信じて、舌全体に精神を集中させるのだ!』

「それだ! 昔はできたんだろう?」

「いや、私はガリ勉で運動はからっきしダメだったんです」

あらー。

「一度で命中させようと思わないで、何度もベロを伸ばしたら?」

「あーはいはいはい……」


特訓もうまくいったやらいかないやら、あっという間に放課後になり。

「ただ今より、ミッドナイトホラースクール始まって以来のイベント、サラマン先生とスパイバエリーダーの一対一の対決を行いまーす!」

リングが用意された教室はスモークをたいたように曇っている。こういうときJRが隣同士だとちょっとうれしいファン心。他の先生たちや返却機さんも見物に来てます。どうでもいいがタイマーの前にVWXZが並んでいるのはただのアルファベット順じゃなかろうか。セコンドのHLDは首に白いタオルを巻いてサラマン先生を励ます。

「でも、うまくいくでしょうか、ああ……」

「僕ら先生の授業が大好きなんだ。だからこれ以上邪魔されたらヤだよ!」

「フッ」

「ファイト!」

「みんな……! 先生は、やります!!」

突然照明が消えたと思うと、仰々しく逆光で入ってきたのは、極悪トリオを引き連れたリーダーバエ。先生を直接応援する生徒と、ハエ軍団を信頼しきって裏方に徹するYTU、という構図が対照的で面白い。バケツ係のウソップがちっちゃなリーダーのためにロープの隙間を大きく広げてあげると、リーダーはハエサイズのタオルを投げ捨て、サラマン先生と向かい合う!


ちゃんと審判の衣装を着てきたクイッキーの合図で、スピモンがゴングを鳴らし、試合スタート。軽やかなフットワークで舌を伸ばしまくるサラマン先生!

「サラマン先生すげえ迫力ですぜ……」

「リーダー、逃げ切ってくれ!」

そう、この勝負、攻撃を仕掛けるのは一方的にサラマン先生で、リーダーはひたすら逃げ切れば勝ちという厳しい条件なのだ。残り1分というところでスタミナが尽き、先生は腕をだらんと降ろして戦闘態勢を解いてしまった。オンプー「何やってんの?」て辛辣すぎる。

「センセ。諦めたのかい?」

リーダー、声だけでニヤニヤしてるのが伝わってくるなあ。その余裕が命取りであった……隙をついてサラマン先生のベロフックが決まったー!

歓声をあげる生徒たち。ハイタッチで喜ぶドッキーリディー。担任の先生が勝ったのに残念そうなチュービー。サラマン先生はリーダーを優しく拾い上げると、

「強く叩いて申し訳ない。痛かったでしょう」

「痛えのなんのって……先生すげえよあの技!」

「まぐれですよまぐれ。君が油断をしたからです。いくら逃げ足が速くても油断は禁物ですよ!」

「先生……先生の生徒になるから、あっしを鍛えてくれ! 逃げ足をもっと速くできそうだ……!」

「いいですよ、喜んで」

この熱くなり方、ルーアのときのヤムヤムを思い出す感じで、ほんと飼い主似のハエだよね。

「親分、ハエたちがみんなサラマン先生に弟子入りズラ」

「調子に乗りやがって!!」

「ハエの方が俺たちより頭が良くなったらどうします……?」

これがふつうにありそうだから困る。

「「「先生! 俺たちにも勉強を教えてくれー!」」」


ふしぎコレクション「早撃ちサラマン」

今夜のふしぎはサラマン先生じゃ!

「サラマンよ、知っておるか、そのワインはな、わしが大事に取っておいた秘蔵のワインじゃー!!」


次回予告

「サラマンです。最近ドッキーの様子がおかしいのです。まるで別人みたいに泣き出したり、空を見上げたり……一体何があったのでしょう」

ついに、「ついにこの回か…」感のものすごいこの回か……。


<まえつぎ>