第5話 カボの不思議カボチャ

『小学二年生』2004年8月号掲載。

カボが出した2つのカボチャの種。大きくて立派な種は「ハズレ」、小さくてしわしわの種の方は「フシギ」とカボは言う。それぞれ植えるとみるみるうちに成長し、大きな種は中身の詰まった大きなカボチャに、小さな種は穴の空いた空っぽのカボチャになった。大きなカボチャを当たりだと喜ぶヤムヤムだったが、カボが叫ぶと、空っぽのカボチャはなんとカボチャの馬車に! 馬車はヒッキーとリディーを乗せて空に舞い上がった。

昔話の大きなつづら、小さなつづらみたいなエピソードを思わせるお話。カボのセリフの不自由さを逆手に取ったオチも効いてる。

今夜のイエローリザードクラスは不思議の発表会。教室が暗くなり、カボの頭が光ったかと思うと、そこから大きなカボチャの種が飛び出した。挿絵を見る限り、耳のところの大きな穴から文字通り種が飛び出てきてるっぽい。

カボは両手を挙げて叫び声をあげるが、何も起こらず、種はただ種のまま。みんなの前で気張ってしまったのか、どうやら失敗らしい。カボの叫び声、我々にはウキャキャキャと言っているようにしか聞こえませんが、カボの言葉では何か重要な召喚呪文みたいなものなんだろうか。

休み時間になってカボを励ましに行くヒッキーとリディー。再び頭から種を取り出すカボ。すると今度はあっさり成功なんですよ。別にここではカボがリディーちゃんのファンだとか、そういう話は全く出てきません。

カボは小さな種の方を地面に植えろという。突然現れたヤムヤムが大きな種を横取り。カボはハズレだと言うが、ヤムヤムは聞かない。で、「取られちゃってもいいの?」というヒッキーに対し、「ベツニ、イイ…デモ、アレ、ハズレ…」と興味なさそうに答えるカボが最高です。

ヤムヤムは大きな種を、ヒッキーたちは小さな方の種を地面に植える。するとどちらも一気に成長して大きなおばけカボチャに!……が、ヤムヤムの種は食べ応えありそうな大きなカボチャ、ヒッキーたちの種は大きいけれど、穴が開いて空っぽのカボチャ。

「オレ様のは、中身がパンパンにつまってるアタリだぜ~!!」

「チガウ…アレ、ハズレ…コッチ、フシギ!…ウキャキャキャキャ~!!」

空っぽカボチャが光に包まれたかと思うと……

今回、ここでページをめくるような構成になっているんですよ。「ハズレ」に対する「フシギ」が何のことだったのか、最後のページを見て初めて分かる仕掛け。本での連載という形式を生かした作りが良い。

そう、空っぽのカボチャはカボチャの馬車だったのだ。空飛ぶカボチャの馬車、『カボのアルバイト』だ! ヒッキーとリディーを乗せて御者をやるカボがかわいらしい。

今月のキャラクターたち

H『えんぴつの男の子。らくがき大好き。かいた絵を動かせちゃうのだ。』

K『カボチャ大王のむすこ。何を考えているかよくわからない。でも、にくめなくてかわいいよ。』

L『オルガンの女の子。明るくて元気! みんなから好かれているの。』

Y『くさったバナナの男の子。きらわれてるのに、自分では人気者だと思ってる。』

リディーとヤムヤムのこの言われ方の差ですよ。