#39 ヘンテコ優秀トリオ

優等生キャラで確立しているGHはともかく、フォントン、成績は良くないはずなのに授業ノートをよく取っているメモ魔、という設定のおかげで優秀トリオに入れられる大躍進。しかし生徒で唯一単独メイン回もないし、たまに目立つと思ったら今回なんてほとんど素顔も出てこなければお得意の筆談もあまりなく、ますますつかみどころがなくなっていく……。


第39話「ヘンテコ優秀トリオ」

(脚本:ミシェル・マナカ、絵コンテ:奥山潔/酒井豊/松浦由紀夫)


全校テストを来週に控えた各教室。イエローリザードの最初の場面、みんなのノートが後で出てくる「わからない」のページのコピペになっていて、気付くとちょっと不気味。

「ヒッキーは前回クラスで一番だったもん、余裕よね!」

「いやーそれほどでも……」

フォントンは机に積み上げた本を満足げに叩き、ジーニーも「学校一秀才の私にはテストなんて簡単簡単」とニヤリ。今回も「?」ちゃんは頭の端っこだけちょっと映ってます。


トイレから水をぼたぼたさせて出てくるヤムヤム。全校テストなんて「俺様たち極悪トリオには関係ねえよ」「ですよねー」と余裕ぶっこいている3人のところへ、女の子たちの声が聞こえてきた。『モテモテ?インキー』以来おなじみのギャル3人組です。

勉強を教えてとせがまれるHGF、優秀トリオとかいういかにも二番煎じな概念はさておき、いつもテスト前になるとこの3人がモテるらしい。ヒッキーはリディーに手を握られ顔を真っ赤(物理)にして照れ、ジーニーもフォントンも浮かれた顔で、一同は仲良く手を取り合って図書室へ向かう。オンプーが一瞬不機嫌そうな顔をしているのはリディーがベタベタしているから……?

T「サンセーイ!」

U「あたまのいいジーニーってすてき! だーいすき!」

まねっこしていちゃいちゃする子分たち、いじらしすぎる……。「オラだってあんなふうにギャルたちに囲まれたいズラ……」と悔しがる極悪トリオ、今回もウソップの「いい考え」で行動開始です。


段ボール箱に紙をベタベタ貼って、クレヨンやマーカーで色を塗り、つや出しスプレーで仕上げたら、内側に超強力接着剤をドバッと垂らして、そのまま頭にかぶる……大胆な変装で優秀トリオになりすます3人。栞の代わりにニンジンが刺さっていたり、いやー本当にそっくりですねー。美術室にあるヒッキーやスピモンの頭の紙粘土細工?が気になる。

「さてこれからの問題はどうやってあいつらを俺様たちのように見せるかだ」

「ノープロブレムですよ親分」

実際こいつら、工作の才能はめちゃくちゃあるんだよな……。ここ3話いわゆる逆作画崩壊のブームでも来ているのだろうか、偽チュービーはちゃんとフタがしまっているのが泣かせるではないか。

「おー、俺様たちにそっくりじゃねえか!」

「通った鼻筋、俺の生き写しだ!」

「この凛々しい瞳なんてオラそのものズラ!」


「これだけ女の子から騒がれるなら、毎週テストでもいいかもね!」などといい気になっているヒッキーたちですが、隙を突かれて仮面をかぶせられ、服まで極悪トリオと取り替えられてしまった。体の色が違うせいで、黒い体の上に黒のボーダーだったり、黄色い体に黄ボーダーだったりになってしまって、みんな違和感がすごい。しかし、服、脱いだんだ……?

「まさか僕たちと入れ替わるつもりなの!?」

「強力接着剤をたっぷり塗っといたから今日一日は取れないズラー!」

ここ、ジーニーinヤムヤムは本を抜かれて死んでるし、フォントンinウソップも口をきかないので、ヒッキーinチュービーの一人芝居みたいになってるんだよな。

「でも、あんなヘンテコな優秀トリオ、誰も信じるもんか!」


……ヒッキーがこんなこと言うから案の定、みんな完全に偽優秀トリオを信じ切ってるじゃねえか。

「狼男は何を見たら変身するんだっけ」

「ゲヘ、え、えーとえーと……あ、あった! えへん、それは月だな」

「さすがジーニー、物知りね!」

ウソップは黙ってフォントンのノートを差し出すだけだから楽なもんです。チュービー、ネッシーの形と聞かれて即座に答えられるあたり、普通にデキる子なのでは。

「あらよっと~!じゃなくて、カキカキカキ~!ズラ」

割と挑発に乗りやすいヒッキーは、「誰かさんの下手っぴな絵とは比べものにならないズラ!」と言われて物申しに行ってしまうが、「やいお前たち!」とか口調が妙に乱暴なので逆効果です。机の上に身を乗り出してまじまじと顔を見比べるギャルたちですが、基本、目は節穴。

「テストが近いっていうのにチュービーったら何バカなこと言ってるの?」

「ヤムヤムもウソップも勉強しないんならあっち行ってよ! 気が散るわ」

「極悪トリオはいいねえ、お気楽でさ」


フォントンがてきとうな本を持ってきてジーニーの頭に突っ込むと、ようやく頼もしい味方が一人生き返った。なんかこう、しゃべらないだけで動きは人並み以上に有能な感じ、フォントンはアンパンマンで言うところのチーズっぽいと思いました(伝われ)

「エジプトにある頭が人間で体がライオンのものって何だっけ?」との質問に横から口出しするジーニーだったが、ヤムヤムのシャツのにおいの強烈さに、自滅。3人は極悪トリオらしく(?)骨山の中に身を落ち着ける。

「このまま今日一日過ごすなんて嫌です……」

『ボクも…』


偽優秀トリオもだんだんボロが出てきた。ウソップは「わからない」とノートに書いて見せるが、

「何て書いてあるの?」

「フォントン字が汚くなったねー」

「全然読めないわ」

顔が汚くなっても気付かないのに、字が汚くなったことは分かるのか。ギャルたちはお得意の鮮やかな手のひら返しで優秀トリオを見限って出て行ってしまう。


突然ジョニークロウが襲ってきて、ジュノのお花(取れるのか……)、リディーのリボン、オンプーのお気に入りのブローチ(そんなのいつの間につけてたんだ)が奪われてしまった。「オレの彼女にプレゼントー!」とか、ツッコミどころがありすぎて追いつかなくなってきたんですが!!

これを見ていたジーニー、「飛んでるジョニークロウの弱点は脇腹です!」と的確な指示を出し、フォントンが脇腹目掛けてインクを一直線に噴出、落ちてきたアイテムはヒッキーが投げ縄を描いてキャッチ。ジョニークロウだけが噴水に真っ逆さま。女の子たちは3人に飛びついてお礼を言う。「よく見ると3人ともハンサムね!」って、放送当時はもう「イケメン」って言い方が流行ってたと思いますが、ここは「ハンサム」の方がぴったりくるんだよな。

ヤムヤムがジーニーの仮面を無理やり引き剥がそうとして、再びドタバタが始まった。リディーは怒って偽ジーニー=ヤムヤムを引っ張り出し……

「あんたたちってサイテー!!」

なんという強烈なビンタ……。

「大丈夫?」

「かわいそうに……」

「妬いてるのよ!」

しかも強力接着剤、一日じゃなくて一カ月取れないやつだった。思わず偽ジーニーの頭からバナナが飛び出る。ほんと、「モテ」が絡むとろくなことが起こらんな、MHS。

しかし、誰であるかよりも何をするかが大事、という点で徹底しているの、誠実な姿勢だなーと思います。人をポジションで判断するのではなく、いじめっ子だって良いことすれば感謝されるし、人気者でも悪い行いは咎められる、そういう関係で成り立ってるMHSが私は好きなんだ。まあ、だからって一カ月ヤムヤムでいるのはだいぶ嫌な気がするけどね……。

「ピンチのときに頼りになるヤムヤムってステキ! だーいすき!」

「ゲヘヘです……」


ふしぎコレクション「三週間後」

今夜のふしぎはヘンテコ優秀トリオじゃ!

全校テストはとっくに終わってるはずですけど、ストロー2本刺しするほど仲良しになっちゃって、これで正体が割れたら女子たちはどうなるんだろう……。


アイキャッチ:T

投げ縄絵の具ズラーッ! ヒッキーとは違って、汚れてはいるけど中身はまだいっぱい入ってそうなんですよね、チュービー。


<まえつぎ>