第3話 ピラニンザウルス

『小学二年生』2004年6月号掲載。

床を泳ぐ不思議を雰囲気たっぷりに披露するピラニンだが、顔のせいで怖くないと言われ落ち込んでしまう。ヒッキーたちは顔に絵を描いたり角を貼り付けたりしてピラニンを怖くしようとするが、やりすぎてピラニンを笑わせてしまい、水のように変わった床を突き抜けて下の教室へ落ちてしまった。

サメ?巨大ピラニア?…ちがう、なぞの水中生物ピラニンザウルスだ~!! というわけで今回の冒頭はモロに『ピラニン恐竜』です。しかしピラニンの「床を泳ぐ」という不思議はアニメでは見せなかった面白い技。

が、ひとたび正体を現すと「弱々しい鳴き声とともに、なさけない顔の半魚人がゆかから顔を出した」……相変わらずヒッキー辛口だな!

サラマン先生にも「ぜんぜんこわくないですねえ…」と「ざんねんそうに」言われちゃったり(挿絵の「こわくないです。」というセリフがものすごい説得力)、追い打ちをかけるようにスピモンに「顔がなさけないから、こわくないだけだモン!」と慰められたり、例によって全方位から容赦ない酷評っぷり。床を泳ぐのはすごい、と一応リディーちゃんのフォローもあり。

「この顔は生まれつきだから、しょうがないよ~…」と落ち込むピラニンを見て、なんとか力になってあげたい、と頭をひねらせるヒッキーはそれにしても友達甲斐のある子である。

……と思わせておいてヒッキーさん、あなたどう見てもニヤニヤしながらピラニンの顔に落書きしてるだけにしか見えないのですが! ここでも「とくいな絵」という表現が出てくるんですが、よく考えたらこれはヒッキーの一人称の文章なので、本人は絵が得意だと思っている(客観的に見て上手とは言ってない)という話なだけのような気もしてきた。

ヒッキー、リディー、スピモンは、ピラニンザウルス改造計画と題して「ひっしでわらうのをがまんし」ながら「調子にのって」顔からはみ出んばかりの眉毛を描いたり、紙にかいた尻尾をつけたり、角をつけたり……挿絵のヒッキーの表情がどんな極悪トリオよりも悪辣に見えてくるからおそろしい。

そしてヒッキーが足の裏を塗り始めると、とうとうくすぐったさに耐えられなくなったピラニンの「体が光り始め、教室のゆかが水のようにかわっていった」……水のようになった床をつきぬけて落ちた先はピンクトードクラス! ただしなぜか生徒の中にマグネロが混ざっている。

校舎の間取りはちゃんとアニメに準拠していて、イエローリザードクラスの真下はピンクトードに当たるはず。ちなみに同じく2階にあるブルースパイダークラスは真下がエレベーターのあたりになると思われる(立体構造を把握するのが苦手なので嘘を書いているかもしれない

ピラニンが起き上がると一同、その姿を見て大笑い……それもそのはず、ピラニンの顔はヒッキーのラクガキでひどいことになっていたのだから!! ヒッキーほんとうにひどい!!

もう今回は黒ヒッキー炸裂としか言いようがない! 明らかに悪意のある表情をしている! ピラニン何も悪いことしてないのに! ヒッキーひどい! でもヒッキーならやりかねないとも思ってしまうのがニクい! そんなお話でした。

今月のキャラクターたち

H『えんぴつの男の子。ゆかいなおばけの友達がいっぱいいる人気者だよ!』

P『ピラニアの男の子。校庭の噴水でプカプカういているのがすき。』

S『スピーカーの男の子。スピーカーから、いつも何かを放送中!』

L『オルガンの女の子。平気で曲をひきまちがえちゃう。』

ピラニンが「半魚人」ではなく「ピラニア」と紹介されているのは珍しいような気がします。