#29 カボチャ大王の日

その圧倒的かわいさで人気第2位をさらっていったキュートな問題児、カボ登場。今回でとうとう生徒全員が一通りしゃべったことになります。突然出てきたカボチャ大王なる存在は今後への壮大な(?)伏線なのだ。


第29話「カボチャ大王の日」

(脚本:大竹康師、絵コンテ:西川伸司)


今日の授業は不思議かけ算。ドクロや骨のマークに点や符号を添えた文字、ローマ数字のような骨を並べた記号は1、2、3かな……もしかしたら日本語を使っているのは視聴者向けに翻訳してあるだけでこっちが深夜の正書法なのか。とりあえず、掛け算をやってるので人間でいう小学2年生以上と考えてよいものと思われます。

先生の話にウンウンうなずいていたカボが突然飛び上がり、前後のヒッキーとボロッカは机と椅子に押しつぶされてしまう。チャイムは鳴ってないけどここで授業終わったってことなんだろうな、板書消えてるしな。カボはノートを片付けているチュービーの頭を踏みつぶし、ついでにリディーをくすぐって、そのまま走り去ってしまった。「カボってほんと落ち着きがないよねえ…」と呆れながら机を戻すヒッキー。


階段を下りるエックスの横を走り抜け、エレベーターに並んでいたジーニーとビンセントを吹っ飛ばしてカフェテリアに下りていくカボ。今回ジーニー、本が抜けても普通に生きてるぞ。ビンセントは前回『ケロケロ』のときより声が高くなっていて、だいぶウソップ寄りに聞こえます。

「ああ、大切な本が……」

「これで3日連続。ああ、僕のゼリービーンズがあ……」

小さい子供のいたずらみたいなもの、というか小さい子供のいたずらそのものだよなあ。チャップスも加わってゼリービーンズを拾っていたところへカボが戻ってきて、再び全部めちゃくちゃに。トイレからケタケタと響く笑い声に、さすがの3人も堪忍袋の緒が切れました。

「これはイタズラの限度を超えています!」

「なんとかこらしめてやりたい……!」

「……やりますか、ビンセントさん、チャップスさん……?」


古代不思議文明の料理人が残したという伝説の反省エッセンスの作り方、なんて難しそうな本もサラリと紹介するジーニー。古代不思議文明文字(?)はちょっとインベーダーゲームみたいでかわいい。

「これをビンセントさんのビーンズに染み込ませ、反省するビーンズにしてカボさんに食べさせれば、反省して大人しくなるはずですよ」

「面白そう~! 私手伝っちゃう。お料理なら任せて!」

これを「面白そう」って言えちゃうとこ、無邪気ゆえの残酷さって感じあるよな、チャップス……。


~反省するビーンズの作り方~

1. 大鍋に悲しみの泉の水を沸かす。

2. お墓の石からダシを取る。

3. ユルマキ草を刻んで鍋に入れる。このユルマキ草がしつこさの秘訣。

4. 甘みを出すためにドクロベリーを数粒入れる。

5. 湯気が赤くなったら火を止めて、ビーンズをサッと浸す。

沸騰する鍋に恐る恐る石を入れるビンセントがかわいい、チャップスはユルマキ草の輪切りも手際良い。エッセンスの染み込んだビーンズは綺麗なピンク色に変わる。ビンセントの瓶に詰め込んで、早速イエローリザードクラスへ向かう3人。


またカボにぶつかられたボロッカが見事なスピンを見せております。ジーニーに背中を押され、「や、やあ……ゼリービーンズ食べる?」と前へ出るビンセント。カボが一旦伸ばした手を引っ込めたところで、これ見よがしにジーニーが言う。

「だめですよビンセントさん! これは世界で一番おいしいビーンズです。私たちだけで頂きましょう」

まんまと引っかかりました、カボはビンセントの顔に飛びついて、奪うようにビーンズを2、3粒口に放り込んだ。ニヤリとほくそ笑むジーニー。そのままカボは教室に入っていってしまった。

慣れた手つきでフタを放り投げて閉めるビンセント。「彼の性格はお見通しですから」とかジーニーが解説している間に、カボが帰ってきて、大っきな目にいっぱい涙をためたかと思うと……

「うゆゆゆ……ゴメン!ゴメン!ゴメーン!」

かわいいいいいいいいいいい!!!!

「謝ってたわ……!」

「信じられない……」

「効果抜群ですね」

反省するビーンズ作戦は見事大成功。が、これでめでたしめでたしとはいかず、カボは延々と謝り続けるようになってしまった。「分かればいいんです、もう許してあげますよ」となだめても、泣きながら「ゴメン」を繰り返すばかり。


ピンクトードクラスが出てくるたびに意識して見てるんですけど、「?」の席はうまいこと映さないんだなあ。羽根ペン…いやホネペンで試験中の教室に、泣きながら駆け込んでくるカボ。涙ながらにジーニーに平謝りする姿は明らかに誤解を招くやつです。

「ゲヘヘ、さっきも見たぜ。お前たち廊下でカボを泣かせてただろ」

ビンセントが「反省するビーンズを食べておかしくなっちゃったんです」と助け舟を出すが、先生にも疑われ、2人は実際にビーンズを食べてみせることに。ジーニーと並ぶとビンセントは意外と小柄に見える気がします。

食べるときだけ口が発生するビンセント。顔を見合わせ、ビーンズを口に入れた瞬間……

「「ごめんなさい!ごめんなさい!」」

カボは授業中に教室抜け出してたのか。また飛び上がって前後の席を押しつぶしたかと思うと、

「ゴメン!ゴメン!」

そこへ保護者のごとくGVが駆けつけてきて

「「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」」

困惑するサラマン先生にも

「「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」」

リディーにはまだ何もしてないけど、怖いのでとりあえず

「ゴメン!ゴメン!ゴメン!」

「「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」」……

ユルマキ草のしつこさが効き過ぎたやつですね、これは。「もう十分反省したよ……」と疲れ果てたビンセントは手がヒクヒクしている。今回ずっと瓶が空っぽなんですが(なのにたまにビーンズの音入っちゃってたけど)、いつもどこからビーンズ補充してるんだろう。


落ち着いたのも束の間、カボは今度は目と口から光を発しながら走り回り始める。そしてあちこちにぶつかるたび湧いて出る、カボチャ。エレベーターに乗れば大量のカボチャと一緒に転がり落ちるし、校庭はコリアラの木にまでカボチャがなる始末。一面カボチャ尽くめの校庭を見て、ジーニーとビンセントはへたり込んでしまう。

「おい、これはどういうことズラ! どのカボチャも空っぽズラ」

「せっかくだから食べてやろうと思ったのにこれじゃ食べられやしねえ」

このチュービーの図々しい感じ、好きです。今回ウソップにセリフがないのはビンセントとのダブりを避けるためだろうか(DQダブルキャストとかやる番組にそういう配慮ってあるの?)。ビンセントがそのへんのカボチャを割ってみても、やはり空っぽ。


教室に戻ってきた途端、カボはスイッチが切れたかのように元に戻る。「このカボチャ全部空っぽだよ?」と言われてもきょとんと頭を掻くだけ……なのでサラマン先生が代わりに解説してくれました。

「カボもまだまだ半人前ですねえ。今日は年に一度のカボチャ大王の日です。カボチャの恵みに感謝してカボチャをいっぱい出すことがカボの目指す不思議なんですが……」

「空っぽのカボチャじゃ感謝もへったくれもないズラ!」

反省するビーンズとか全然関係ない話でした。つまり、カボチャ祭りのために学校をカボチャまみれにして回っていたということなのか、カボ。やっぱり何考えてるのか分かんねえな……。


教室に散らばったカボチャを片付けながら、ジーニーとビンセントはカボにすっかり辟易気味。

「もう来ないでください!」

「もうカボチャは要らないよ……」

カボは「はんせい……」と言いながらカボチャを取り出すと、2人に押し付けて帰ってしまった。重みを感じて割ってみると、ビンセントのカボチャからはあふれるほどのゼリービーンズ、ジーニーの方はポップな『カボチャ図鑑』の本が!

カボチャ大王の日と聞けば即座に「カボチャ大王の一家がカボチャの恵みに感謝する日」と分かるジーニーでも、目の前の現状を見てピンと来なかったのだから、カボの実力は本当のカボチャ大王の日には程遠いということなんだろうなあ。学校中にカボチャの恵みを届けるにはカボの不思議はまだまだ荒削りだけれど、迷惑かけてゴメン、という気持ちはプレゼント入りのカボチャでちゃんと届けてくれたのね。センスはめちゃくちゃ良いんだよなあカボ。ビンセントは「じゃあこれはありがたくもらっちゃお」と微笑む。

ヤムヤムに渡されたカボチャの中身は、手作り感あるバナナ顔のキーホルダー。いや、これはイタズラでわざとトンチキなプレゼントくれたってことよね……?w

「小さい子供みたいなものですから、そこは大目に見てあげましょう」


「この間はどうもありがとう」

「あの図鑑は図書館にも置いてない素晴らしいもので……」

舞台は再びエレベーター前。ジーニーとビンセントがお礼も言い終わる前に、カボは2人を突き飛ばして走り去る。

展開は繰り返す……今度はチャップスいませんけど……

「また反省させてやりたい……!」

「やりますか、ビンセントさん……?」


ふしぎコレクション「カボチャパニック」

今夜のふしぎはカボじゃ!

攻撃力は生徒最強クラスよね、カボのふしぎ……。


アイキャッチ:O

八分音符……の模型?


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