#7 コンサートをやろう!

私のふしぎは あなたに届くわ

笑顔見せて笑ってもっと 楽しくなれるはずだから

もしも声が届かなくても 諦めないように

私たちは精一杯 ふしぎを奏でるの ふしぎでしょ


リディーとオンプーが折に触れて歌う例の曲です。主題歌CDも出ていない番組なので挿入歌の音源なんて当然ないんだけど、ちゃんとフルバージョンで聞いてみたいよ……。


第7話「コンサートをやろう!」

(脚本・絵コンテ:なかの★陽)


満月の下でデュエットするリディーとオンプー。しっとり歌い上げたものの、2人は今一つ不満げ。ノリが良くないというオンプーに「オンプーはそう見えないモン!」と、スピモンはいつもさりげないリディーdisを欠かさないぞ。リディーもオンプーと一緒のときは歌も演奏もそんなに悪くなさそうなんですが。

「芸術的な刺激がないのよ!」

「聞いてるのもいつも同じ顔ぶればっかりで飽きちゃうわ!」

いつもの顔ぶれというと、ヒッキーとスピモン、それにエディから落ちかけるピラニンです。


カフェテリアのシーンではよく本編で関わりのない子同士が一緒にいたりしますが、みんな分け隔てなく仲良い感じがして好き。今回はERB、MGA、CKZがそれぞれ同席。

なかなかメニューが決められない優柔不断なピラニン、ティゲール先生声のカボチャのベンダーマシンに「坊っちゃん」呼びされててなんかイイ。ドラゴンパフェは豪華だし、クラゲプリンもボリュームありそうだし、迷うよね〜わかるわかる。

リディーはトマトみたいなフルーツの刺さったドリンク、オンプーはプリンの乗ったドリンク、スピモンはヤシの実みたいなドクロの容器に入ったドリンク、それにヒッキーのドリンクには虹が浮かんでいて(レインボーソーダ?)どれも魅力的です。

「僕らでバンドを組んで、みんなで聞いてもらうんだ!」

この主体性のある言い方がヒッキーらしい。コンサートをやろう!という提案にみんなは大盛り上がり。結局パフェもプリンも買ってしまったピラニンも、

「で、でもぼく自信ないなあ……」

「まーたあんたは! やってみなくちゃ分からないでしょ!」

とリディーに言いくるめられ、両方とも食べ損ねてしまうのだった。


なにやら企んだふうのノイジーですが、今回は普通に報道しているだけです、今回は。

「ミッドナイトホラースクール開校以来初めてのコンサートが開催されます!」

少なくともサラマン先生は千年単位で教師やってるはずなんですが、その間ずっとバンドを組もうとするような生徒はいなかったのだろうか。ボーカルはオンプー、オルガンのリディー、それにその他大勢扱いされちゃってますが、ヒッキーがドラム、スピモンがギターでピラニンがベースですね。自信ないわりにちゃんと楽器も演奏できるピラニンにちょっとびっくりなどしつつ、まあヒッキーはドラムが似合うよな。

「みんなステキ!」

「楽しみだマグ~」

「待ち遠しいな~」(ワットにジュノが声を当ててる気がする…?)

学校中を巻き込んで準備が進んでいきます。舞台係AWMはよくこういう縁の下の活躍するよね。ロッソはチャップスと一緒に衣装作りです。


しかしバンドにもめ事はつきものというか、本番1週間前になってオンプーとリディーの言い争いが勃発。どちらがミスしたとかしないとかで2人は白熱してしまう。その勢いときたら、仲裁に入ったヒッキーも壁まで吹き飛ばされるほど。「2人とも怖いモン……」とさすがのスピモンすらビビる剣幕で、

「出て行って! 私もうオンプーと一緒には演奏したくない!」

「私だってもうリディーの演奏じゃ絶対歌わない!!」

本当にオンプーが出て行ってしまう。自分がバンドの中心から外れるような言い方は絶対しないリディーと、あっさり見限って出て行くオンプーというところに、なんかこうリディーの世渡りのしたたかさが見えるような気もする。素直にオンプーの心配をするピラニンに、

「聞こえなかったの!? 練習よ、れんしゅう!!」

と鬼気迫る調子で詰め寄ると、リディーは怒りを忘れようとするかのように激しく鍵盤を叩くのであった。男3人は途方に暮れるばかりである。


ユニット解散!?のニュースに喜んでいるのは極悪トリオです。

「ざまぁ見ろズラ! コンサートなんか中止になればいいズラ」

チュービーは何の恨みがあってそこまでの口をきくんだ……。

リディーだってすぐにでも仲直りしたいのは分かりきっているのに、その一歩が踏み出せず、落ち込んだところをヤムヤムにつけこまれてしまう。「何よヤムヤムじゃないの……なんか用……!?」と本当に嫌そうな反応が最高です。

「リディーちゃん……君が正しい。オンプーが間違ってる! なのに君の方が謝るべきだと言っている連中がいるんだぜ。ひどい話だろう……?」

ヤムヤムがリディーちゃんのこと「キミ」なんて呼ぶの、このときくらいのものじゃなかろうか。突然ニュートラルな言葉遣いで踏み込んでくる巧みな話術がいやらしい。リディーの方もヤムヤムなんかに煽られて意地を張ってしまうし……素直になれなくて舌足らずになってしまうし……

「なんであたしが謝らなくちゃいけないのよぉ……」

それなのに頭に浮かぶのは楽しい思い出ばかりで、振り払うかのようにますます心にもないことを言ってしまう。プライドが高いからいつも言い過ぎてから後悔しちゃうんだよね、リディーは……。

「オンプーなんて大っ嫌いなの!!」

「よーしわかった! あとはこのヤムヤム様に任せて、リディーちゃんは安心して練習してくれ」


極悪トリオのいたずらもポスターを塗りつぶすところまでいくとかわいげがありません。親分の目がないところではリディーを呼び捨てにするチュービー、お前本当に2人に何の恨みがあるんだよ。

「みんなリディーだけを応援するズラ。オンプーはリディーの敵だから応援するなズラ!」

追いかけられるジーニーとインキーに、ウソップも「親分には逆らわない方がいいぜ」と腰巾着発言。ヤムヤムは本当の本当にリディーちゃんが喜ぶと思ってこれをやっているのか……。さすがに見かねたジュノが諫めに来る。

「少しはオンプーの気持ちも考えな!」

「俺様はリディーちゃんのファンなの! オンプーは関係ないの!」

前回の件でジュノには敵わないと学んだらしいヤムヤム、威嚇されるとあっさり逃亡。一方ジュノさんは相変わらずの面倒見の良さで、沈むオンプーを慰めようとする。

「あんなバカなやつ放っときな……!」

「いいの。あたしもうリディーの演奏で歌うつもりないから……」

逃げるように去るオンプーの後ろ姿に、「やれやれ…」とそっとため息を漏らすジュノ。どこへ行っても楽しいコンサート盛り上げムード一色で、ますますオンプーの心は晴れない。


失言は多いが空気の読めるスピモン……いや、スピモンは空気は読むんですよね、ただ読んだ空気を無視しがちなだけで。そのスピモンが大人しく空気に合わせるほど、目に見えて落ち込むリディー。そんなとき音楽室に現れたのは、オンプー……ではなくジュノだった。

「らしくないねぇ、シケちゃってさ!」

こうして、本番3日前にしてボーカルにジュノを迎えバンドは再スタート。ずっとステージ作りも頑張ってた上にポスターの張り替えまでするマグネロはかなりの働き者だと思います。

ますますひとりぼっちのオンプーはお墓で涙をこぼす。空には二度目の満月……冒頭、コンサートの話が持ち上がってから1カ月経ってるんですね。


とうとうコンサート当日。観客は最前列→ZVQDC、2列目辺り→RXBIG、後ろの方にMFKと極悪トリオ、それから照明係のAW、スモーク要員エントン、司会ノイジー、これで役者以外は生徒全員集合です。

「ミッドナイトホラースクールスーパーコンサート、イッツショータ~イム!」

ヒッキーのカウントインで曲がスタート。しかし、歌い出しになってもボーカルが入らない。前髪をかきあげてマイクを持つジュノ……

「ねえ、演奏止めてくれる?」

あああああ、この子は……

「リディー、アタイやっぱボーカルやめるよ。だってアタイこの歌嫌いだもん」

ざわめく一同をよそに、優しく意地悪い一言を言い残してジュノはステージを去っていく。

「どうしてもってんなら、誰か他の相棒を探すんだね……」

あえてヒールを買って出るの、あんた、本当さあ……!! もう、リディーの言うことは一つだけ。スピモンがさりげなくスピーカーの音量を上げてサポートしてくれる……

「ごめんね、あたし、あたしやっぱり、オンプーと歌いたい!」

オンプーに「行かなくていいのかい」と帽子を手渡すジュノの声の温かさ……オンプーの衣装はジュノのとは色違いで、ちゃんと別に用意してあったんですね。客席から歌いながら現れるオンプーが、まるでそれすら演出のように美しい。

「リディーごめんね、あたしもリディーと一緒がいいの!」

ここで会場を盛り上げるノイジーもいい仕事するんだ。……しかし何回見ても後ろ宙返りするドッキーしか目に入らん。

オリジナルメンバーでコンサートは仕切り直し。客席をよく見ると、いつの間にかみんなペンライトみたいな光るガイコツ持ってるのね。しかもインキーやヤムヤムは両手に2本持っているという。ヤムヤムは推しの応援もいいけど、まずは自分の所業についてじっくり反省しなね!!


さっきまで客席にいたロッソは、いつの間にかジュノと屋根上ランデブー。

「ねえジュノ、ひょっとしてわざとあんなことしたんじゃないの?」

「さあ、どうだろうね。いいじゃないの、どっちでもさ」

わざとかどうかなんて、きっとあの場にいたみんなが分かりきってた。あえてあんな目立つ場面であんなショッキングなやり方で、でも絶対に後に引けないような形でリディーの背中を押してあげるのが、彼女たちにとって一番いいやり方だったのかもしれないよね。

最後にカメラが引くと、ステージの後ろのパネルはジュノ&リディーになっているけれど、実はてっぺんの看板はオンプー&リディーのままだった、という粋な仕掛け。この回もまた月の使い方が良くて、満月に始まり満月に終わる、やはりミッドナイトホラースクールは月のイメージなんですよね。


というわけで、リディーとオンプーの友情回かと思わせてのジュノさんカッコイイ回だったわけですが、3週連続でジュノのいいところを見せられて、私もうね! 逆にこの回以降のジュノは取っ付きやすい性格にシフトしていったような気がします。せっかくだからジュノの歌声も聞いてみたかったなあというのだけが心残りだ!!


ふしぎコレクション「それじゃピラニンよろしく」

今夜のふしぎはスロット扉じゃ!

……って、なんだこのタイトルwww よろしくされたピラニンがスロット扉について説明してくれます。

「スロット扉は出た目によって扉の向こうの部屋が変わります……」

ピラニンが回して出た目は……なんでクラゲプリンなの!! あのベンダーマシンの場面、まさかの伏線だったのか……。


アイキャッチ:D

子供っぽい体型にかわいいお目目の骨格標本。私が初めてMHSを見たのはこの次のUFO回だったので、再放送でこの回のアイキャッチを見るまでドッキーの正体が今ひとつ分かっていなかった思い出があります。

帽子をちょっと上げたと思ったら、風と共にくるっと回ってこちらに尻を向ける体勢で終わるのが本当に、お前はそういうやつだよな……。


<まえつぎ>