#35 極悪メンバー大募集

第35話「極悪メンバー大募集」

(脚本:シャノン・ミューア、絵コンテ:頼兼和男)


「じゃん」「「じゃじゃん」」

ゴールテープの貼られた玄関の手前から顔を出す極悪トリオ。自分たちで極悪トリオって言ったのはこれが初めてだったと思いますが、最近影が薄い……?? チュービーなんかここまで15話連続登場だけど、影、薄いか……。

マラソン大会という割に走っているのはHSPIだけで、ゴールでは応援の女子たちが待っている。トップのヒッキーが近づいてきたところで「おーっと、チュービーが邪魔をする模様です」って何アトラクションみたいに実況してるんですかノイジーは。

このシーンのチュービー、縦横比がおかしいというか、明らかにいつもより横幅が寸詰まりに見えるんですが気のせい? 絵の具を振り回しながら前へ出たものの、突然出てきたリディーを避けようとして、自分で絡まって転んでしまった。ちゃんとリディーに遠慮するあたり、やはり親分の手前で下手なことはできないのか。当のリディーは自分からコースに出てきておいて「やだチュービー大丈夫!?」じゃないですよ! 結局「チュービーには悪いけど」とヒッキーはそのままゴール。「チュービーいたずらに失敗した模様」って何カメラ回してるんですかノイジーは。


骨山の中で「親分ごめんなさいズラ」とうなだれるチュービーに、ヤムヤムはすっかりお冠です。

「ますます俺様たち極悪トリオの評判が下がっちまったじゃねえか!」

「だけど親分リディーちゃんが飛び出してきて……」

「リディーちゃんのせいにするな!! もういい、お前なんて今日限りでクビだ!」

あー、リディーのことを持ち出すのは悪手だったわ。チュービーは言い返すこともできず「しょぼーん…」と出て行ってしまう。ウソップが悲しい顔をするだけして特に引き止めもせずに見ているのが、こいつ本当に親分本位なんだな~とよく伝わってきて良いと思います……。


「極悪トリオにふさわしい能力をお持ちのお方、ぜひオーディションへ!」

チュービーに代わるメンバーを探すため2人はビラ配りを始めた。『極悪新人メンバー募集!!』のポスターはフルカラーでチラシの写真は白黒なのが細かい。しかしウソップ、ハイこれーってそんなものリディーとヒッキーに渡すか??極悪トリオに勧誘するために?ウソップが?営業の心構えできすぎてるなって笑っちまいましたよ。

そのリディーとヒッキー、チュービーが「もうおしまいズラ……」と本当にこの世の終わりのような顔をしているのを見てさすがに同情を寄せる。一方ビラ配りにも進展は見えず、目の前のゴミ箱はいつの間にか紙くずの山に。唯一受け取ってくれたノイジーにも「ニュースの参考にもらっただけよ!」と一蹴され、2人は直接スカウトに出向くことにする。


「てわけでアンプー、君の電力が我が極悪トリオの新しい力になると思うんだが!」

アンプーはともかく、隣のワットが実に嫌そうです。アンプーはちょっと考え込むと、明るい声で「ワットも一緒プーか?」……こ、こいつワットと一緒なら極悪でもいいって思ってるぞ絶対!!

「空きは一人だけだ。ワットには諦めてもらう」

途端にアンプーはムッとなり、ウソップが2人を無理やり引き離そうとしたせいで脆弱なワットのフィラメントは切れてしまった。文字通りアンプーの雷が落ちる。

「極悪トリオなんて入ってやらないプー!!」


次がボロッカって、これアルファベット順に声をかけていっただけなんじゃないかって思えて仕方ないんだけど。

「君の雨を降らせる能力を極悪トリオで生かしてみないかい」

「一緒にみんなを困らせてやろうぜ!」

「ええ~……」

めっちゃ嫌そうwww やる気のなさがあふれるこの猫背。

「極悪トリオに入れば君も人気者間違いなし!」

「別に人気者になんてなりたくないボロ」

「そんなはずはない! なりたいだろう、なりたいと言え!!」

首根っこをつかまれたボロッカは泣き出してしまい、2人は雨雲に追いかけられる羽目に……。


ずぶ濡れになって校舎に入ると、今度はカボがケムイ!ケムイ!と走り回っている。エントンが超ハイテンションで煙を出しまくっているのだ。

「ヒッキー! マラソン早かったモク、憧れちゃうモクゥ」

「感激してくれるのは嬉しいけど、頼むから煙を止めてくれない!?」

ケムリンのときに「僕がやりたかったことを全部」って言ってたけど、そこから考えるとエントンはヒッキーになりたかったんだよね。何でもできて、誰からも愛されて、そんなヒッキーが憧れで……だけど、それを伝えようとするだけでますますヒッキーから遠ざかってしまうエントンなのだ。

「ごめんモク、興奮するとつい……わざとじゃないモク……」

これを見たヤムヤムたち、意地悪い笑みを浮かべ、エントンの腕をぐいっとつかんでお得意の巧言令色で迫ります。

「〓〓(←聞き取れなかった)には極悪トリオとしての才能があるとみた!」

「今新しいメンバーを募集してるんだがねえ、君の煙とっても極悪だねえ!」

渋るエントンも「いつもジーニーに宿題写させてもらってること言いつけてもいいのかな」と脅されて断りきれず……。


「極悪トリオに新メンバー!」のニュースに、カフェテリアに衝撃が走る。チュービー、なんかヒッキーたちと一緒だとふつうにいい子に見えてくるんだよな……。

「エントンの煙をヤムヤムが気に入ったことが決め手になった模様です」

見るからに気乗りしない表情のエントンとニコニコ握手する親分の姿に、チュービーはたまらなくなって駆け出してしまう。


エントンに命じられた初仕事は、墓場で寝ているゾビーへの煙攻撃。

「ゾビーに怒ってなんかないモク……」

「お前の頭のレンガなんてコレクションにもならないガラクタだって、ゾビーが言いふらしてたぜ……?」

「それはひどいモク……!」

怒った勢いで煙をけしかけるエントンだったが、ゾビーが驚いて逃げ出すやいなや、我に返って空しい顔。そんなエントンを親分が褒めるので、お墓の外から覗いていたチュービーはとぼとぼ立ち去ってしまいました。


次の標的はおしゃべり中のアンプー(W「そしたらね、また切れちゃったの!」)です。が、「新極悪トリオの実力を見せつけてやれ!」と言われても、怒らないことには煙は出ない。

「アンプーはいつも僕に優しいモク……」

「親分が出せと言ったら出すんだ。それが極悪トリオのルールだ!」

エントン、とうとう怒ったは怒ったが、ヤムヤムたちに怒った。噴火して「命令通り煙を出しただけモク!!」と出て行くエントンを「扱いにくいやつだ……」とヤムヤムは横目でにらむ。


屋根の上に逃げてしまったエントンを、2人はエディの上から説得しようとするが

「さっきは悪かった!」

「これからヒッキーをからかいに行くぞう!」

もう疲れたと言って一向に従おうとしないエントンに、ヤムヤムはとうとうクビを言い渡すのであった。


「また2人になっちゃいましたね……」

「そうだな、ああ……。こんなときあいつなら……」

骨山の中、思い出される懐かしい(?)あの顔……親分の後を追うかわいい子分、下手くそな絵を見せるチュービーの頭をポンポンして、「こいつぅ~♡」「まてえ~♡」とじゃれあった楽しい日々……キャッキャウフフ……。

「あいつと一緒にやるイタズラ、楽しかったよなあ……」


相変わらずカフェテリアでヒッキーたちに慰められているチュービーのところへ、今度は「エントンが極悪トリオを脱退!」のニュースが飛び込んできた。しかも、新メンバーの応募資格は「絵の具ヌンチャク、投げ縄が得意で、ズーズー弁のバイリンガルであること。極悪トリオとしての経験があること」。

O「これってきっと……」

I「だよねえ」

みんな普段あれだけ極悪トリオに冷淡なくせに、今回はすっかり見守る体勢なのが微笑ましいよ。トリオのみならず学校中からかわいがられるチュービー……!

ヒッキーも「残念だな、僕は応募資格ないみたい」と気の利いたセリフで背中を押してくれる。「まったく親分たら、素直じゃないズラ!」の嬉しさを隠せてない声がほんと良い。まったくチュービーったら、素直じゃないんだから!


今度のポスターはウソップメインで、そのちょっと困ったような笑顔が、チュービーに対する気持ちそのままなんだよね。ピンクトードクラスに面接会場を用意して、「面接官」なんてむずかしい漢字もちゃんと書いてえらいねえ。志望者がなかなか現れず「もう来ないかも……」と諦めかけたところに、そいつはやって来た。

「オッホン! 我々は優秀なメンバーを探しているのだ」

「レベルが高くて見つけるのが大変なんだ」とウソップは例の条件をつらつら読み上げ、「あっれー! この人ピッタリですぜ!」……この茶番をしっかりやってくれるからこそ、親分の素直な言葉が響くのだ。

「チュービー、やっぱりお前がいなくちゃダメなんだ。戻ってきてくれないか……」

そして、チュービーの方が一枚上手なのが仲直りの仕方として素晴らしい。

「そうズラね。ただし条件があるズラ! 復活の記念に派手なイタズラをするズラ。極悪トリオの実力を見せつけるズラ!」


さっきまであんな歓迎ムードだったのに、「オリジナル極悪トリオが再結成!」となるとノイジーも切迫した口調。派手なイタズラに注意を促すまでもなく、完全復活した極悪トリオが机で突っ込んできて、ニュースは放送ジャックされてしまったのでした。

「極悪トリオのお通りだ~!」

「今日は授業中止ズラ!」


今回はもう、憎めない悪+仲違いからのチーム復活+三バカのかわいいボケ担当、という王道ど真ん中のおいしい要素詰め合わせセットなので特に言うことがありません!! なお余談ですが、「ズーズー弁のバイリンガル」については

・一般的にはズーズー弁とは「し」と「す」の区別がつかないような発音のことで、主に東北方言を指す。語尾の「~ズラ」は甲信越らへんのことば

・そもそも共通語をしゃべるわけじゃないからモノリンガルじゃね?

と、「言ってみたかっただけ」感がすごいなあーと思います。


ふしぎコレクション「極悪トリオ復活」

今夜のふしぎは極悪トリオじゃ!

星とロケットのコマを進む宇宙すごろく?、1位でゴールしたチュービーの「うわーいズラ~!」がかわいい。ミスターショータイム、本編再登場よりも先におまけ映像に出番があるとは。

「フリーおやつコインを5枚プレゼント! ベンダーマシーンに使えるよ」

「もーらい」

「俺様がもらうぜ」

ケンカするほど仲がいい、はともかく、ベンダーマシンの購入費用ってこんなところで手に入るんだったの!?


アイキャッチ:R

ロッソもなかなか初見だと正体分かんないと思うんですよね……


<まえつぎ>