#20 男の子?女の子?
個人的にエックスは男とも女とも明言されないままでいてくれたのが好きです。謎は謎のままであってほしいというのもありますが、やっぱり男でも女でもどっちでもない子が一人くらいいていいじゃん?
第20話「男の子?女の子?」
(脚本:大竹康師、絵コンテ:奥山潔)
ノリノリで例の曲を歌いながらトイレ掃除しているリディー。
「うるっさいなーリディーのやつ、発表会が近いからって掃除のときぐらい歌わないでほしいなー」
男子トイレから出てくるヒッキーたちに、うなずくデッキブラシ。広いから声が響くとかいうレベルじゃない、無限に続くトイレ!! オンプーいわく「なかなか練習できないから掃除する時間も惜しんで練習してる」のだそうです。女子トイレから出てきたデッキブラシの水しぶき攻撃で、あっさり折れるヒッキーたち。
改めて音楽室で練習を始めようとした瞬間、ブザーが鳴って明かりが消えて、深夜の小学校の時間はおしまいになってしまった。夜の終わりシーンはここだけなので貴重です。この後みんなロッカーの中とか物置の奥に帰って、元の姿に戻って昼間を過ごすのかな……。
男子にも女子トイレの掃除に回ってほしいと教壇から訴えるリディーに、渋い顔をするカボ、首を横に振るゾビー、仏頂面で目をそらすボロッカ、そしてドッキーは机に足を掛けて「フン、俺は嫌だぜ」とわざとらしく言う。リディーが特にドッキーに突っかかるのもお約束。
トイレ掃除はクラス持ち回りなのだろうか、だとしたらそりゃリディーだけ負担が大きすぎるよね。いくら人数関係ないほど広いトイレとはいえ、このクラス男女比8:1だよ!?
「女の子はあたしでしょ、オンプーでしょ(in音楽室)、ジュノでしょ(人喰い花をなでなで)、チャップスでしょ(inカフェテリア)、あとノイジー(いい笑顔)、それとミスターエックス。6人しかいないのよ!」
「ちょ、ちょっと待って、エックスって女の子なの!?」
ここ多分テレビの前のみんなもヒッキーと一緒に驚くとこ。この場面、一瞬カボの前髪がないミスがある。
ジュノの証言によると、エックスは女子トイレを使っているらしい。トイレの後はきちんとハンカチで手を拭くエックス。「だから言ったでしょ!」と胸を張るリディー。
「ミスターなんだから、当然男でしょ」
「最初は男かと思ってアタイがそう呼んだだけさ。それがみんなに広がっちゃったってわけ」
つまりエックスの名前は「エックス」なのだ! にしても、男と思ったからって「ミスターエックス」はかなりイカしたネーミングよな。
が、目撃証言は男子トイレでもある。視線を向けるとき耳がピコンと動くスピモンかわいい。結局どっちなんだと、ヒッキーが本人に直接尋ねようとすると……
『×!』
「いっつもあの調子なんだよねえ」
ジュノは2話からエックスのこと追い回してるし、ジュノの呼び方がそのまま通称になってるあたりからも、どうも「エックスに詳しい人」ポジションっぽい。
ならば実際にとトイレの前でエックスを待ち伏せしてみたが、全力で逃げられてしまった。エックス、おちおちトイレにも行けなくてかわいそう……。エレベーターの手すりにぶら下がってがっかりするLHS。と思ったらQWANORMPも湧いて出てきて、もう学校総出の勢いです。
「突然ですが、今日予定していたコンサートは延期しまーす!」
「代わりに私たちと男女混声合唱を楽しみましょーう!」
コンサート衣装もすっかり着慣れたリディーとオンプーですが、「オンプーまで一緒になってやってるモン」とスピモンの遠回しなリディーdisも手慣れたもの。混声合唱でちゃっかりリディーちゃんの隣をゲットしているインキー……はともかく、肝心のエックスは最初から来ていない。だからそーいう子なんだってば!
この流れだと「女の子限定かわいい紙袋/男の子限定かっこいい紙袋」はジュノの発案なんでしょうか。人垣の後ろから跳び上がって見るほど食いついてきたエックス、やはり紙袋には一家言あるのか。ハート柄のかわいい紙袋とかブルーのかっこいい紙袋かぶってるとこ、ちょっと見てみたいぞ。
リディーが横からオンプーにくっつくのがたまらなくかわいい。後ろ手で品定めしていたエックスですが、なんといつもの紙袋をもう一枚取り出した。上から重ねてかぶると、目を細めてフォッフォと立ち去ってしまう。お眼鏡に適わなかったんでしょうか。
「何よあれ! 失礼しちゃうわ」
「アタイの思ってた通りの反応だったね」
極悪トリオもエックスの正体暴きに参戦してきた。ウソップの待つブルースパイダークラスに乗り込んで、紙袋を取り上げようとするヤムヤム。まあ紙袋を取ったところで、素顔を見れば性別が分かるとも限らないと思うんですが。
チュービーの「リディーちゃんも親分にメロメロ」も、親分に踏んだり蹴ったりされるウソップもそろそろ定番ですね。チュービーの「あらよっと」大好き……。外野の「あーあ……」もよそに、紙袋は取っても取っても無限に湧いてくる。
騒ぎが収まると、平然とホコリを払って立ち去る潔癖性のエックス。だけど脱げた紙袋はふつうに踏んでいくのね……。
「敵ながらあっぱれズラ……」
「その程度で解決する問題なら、とっくにアタイがどうにかしてるって」
「「「ごもっとも……」」」
今回は極悪トリオの出番はここだけでしたが、このジュノとの力関係がいいんだよな……。
カフェテリアでなんかゾビーとフォントンがしゃべってるぞ。その反対側で、ヒッキーとスピモンがエックスを引き連れて現れる。
「たまには一緒にジュースでも飲もうよ」
「ごちそうするからジャンジャン飲むモン!」
ベンダーマシンさんまで加わって「お茶やジュースをいっぱい飲ませて、意地でもエックスをトイレに行かせる作戦」である。
「今回は俺たちも手を貸してるのさ。あいつが何者なのかみんな気になってたとこなんだ」
……だからってトイレにこだわることないと思うんだけどね!! まあ、今回はエックスよりもむしろトイレの話という部分もあるので、ね。及び腰ながらも律儀にジュースを飲み干すエックス。もうどっちでもいいじゃん、と言っていたジュノも「次の授業が楽しみになってきたねえ」と結局乗り気。
狙い通り、エックスは紙をぺこぺこ言わせて尿意に耐える羽目になったのであった。机に顔つけてのたうちまわる姿はちょっと見ていて心が痛む……心なしかノートの取り方も中途半端だ。
エックスのノートは×だらけなんですが、ジュノやアンプーのノートには○や△や五角形の図も書かれているので、もしかしてエックスは文字を全部バツで書いている? ちなみに、ジュノのノートは線もまっすぐ引かれてきれいに1ページにまとまっていますが、アンプーは大ざっぱに2ページ使っている。フォントンのノートも丁寧そうですが、インクが黄色いのでちょっと見にくかった。頭で書くときはインキーのインクで、ノートに手で書くときは自分の色のインクって分けてるのかな。
「悩み事があるなら先生いつでも相談に乗るぞ」とちょっと優しさがズレてるティゲール先生ですが、エックスがティゲール先生に悩みを相談している絵面を想像したら笑えてしまって、すみません。チャイムと同時にエックスは駆け出し、「みんな急いで!」とジュノが先陣切って後を追う。
にらみ合うヒッキーとリディーを先頭に、トイレになだれ込む生徒たち。男子トイレではドッキーが走って一部屋ずつ確認し、女子トイレでは3人で声を掛けながら探す。エックスは女子トイレに現れた!と思ったら、入ったのと別の個室から出てきたり、今度は男子トイレに出現したり。
これ、エックスだけじゃなくヒッキーたちも入ったのと別の個室から出てきてるんですよね。つまりトイレの空間自体がワープ現象を起こしているのではないか。エックスだけが自在に男子トイレと女子トイレを行き来できるのは、エックス自身の瞬間移動能力というより、エックスがトイレの機能を使いこなしているということなのでは……?
一瞬エックスの方がヒッキーを追いかけたりして、だんだんわけわかんなくなってきてます。カメラのアングルもどんどん斜めにずり落ちてくる。追いかけるだけ追いかけ回して、結局分かったのはエックスが両方のトイレに出没したということだけ。クイッキーとフォントンも息を切らしてますが、画面に映らなかっただけで一緒に走り回ってたんだよね!
「なんかエックスにも悪いことしちゃったねー、追いかけ回したりして」
いや本当にそれですよ。もう今回はみんなしてプライベートにずかずか踏み込んで、エックスに一度謝りなさい! そもそも他人の性別を詮索するというテーマがもう人権侵害モノで、今時ないなーって感じですが。
「もしかしたらあのトイレ奥の方でつながっているんじゃないの?」
「あり得るかもな」と食い気味で割り込むドッキー。持っているカップは溶岩コーヒー砂糖抜き?
「さっき537番目まで数えたんだ(←めちゃめちゃ得意げ)。でもまだずっと奥まで続いてて壁は見えなかった」
「だとしたらエックスはドッキーよりも走るのが速いってことだモン」
スピモンの挑発に乗るドッキー、絶対前回の反抗期を引きずっている……。エックスの移動が早いのは走る速さの問題じゃないと思うんですが、だからなんでスピード勝負を男子トイレでやるんだよ!!
『×!』
エックスが逃げていったエレベーターをいつまでも恨めしそうに眺めるドッキーなのであった。
エックスはデッキブラシとも意思疎通してそうだよな……その深いため息、たっぷり迷惑かけた上に掃除までやらせてしまって、本当にうちの生徒たちが申し訳ありませんでした(誰目線)。
ふしぎコレクション「無限トイレ」
今夜のふしぎはトイレじゃ!
ドッキー、590番目まで数えてそのまま戻ってこられなくなったりしない? 大丈夫? 叫び声がキャラ壊れてない??
「さあ、わしにもよく分からん!」と相変わらず雑な校長です。
次回予告
「わしゃふくろうじじいじゃ。リディーの演奏した不思議な曲で、学校のみんなが眠ってしまったのじゃ。一体どうなってしまうのかの」
「見逃すでないぞ!」
一体どうなってしまうのか、ってじいさんちょっと楽しんで言ってるよね。そういえば今週・来週とふくろうじじい活躍回続きだ。
エンドカード
目立たないパーティー!!
カメラ目線のロッソとボロッカ、例のアヒルの人形を抱えているゾビー、ドーナツ最後の一個を取ろうとするピラニンとインキー、大口開けてカップケーキを食べようとするエントン、み、みんなかわいい!!