#19 翔べ!ゴールデン・アイ

久しぶりにドッキー活躍、と思ったらこの回はヤバい、この回だけはヤバい、今までは嫌味にしてもできない子を上から煽る立場だったけど、今回は露骨に嫉妬、それも伝説のヒーロー相手に対抗心バリバリ! 急に反抗期すぎてびっくりしちゃった!

そして今回はとうとう極悪トリオが全員お休み。ドッキーとジョニークロウだけで十分すぎるほど問題児だったので出る幕なかったんですね……。


第19話「翔べ!ゴールデン・アイ」

(脚本:荒島晃宏、絵コンテ:頼兼和男)


お墓には明かりの灯った白い草が生えているんですが、これも不思議植物の一種なんでしょうか、後の『インキーとユルマキ草』ではユルマキ草やコリアラの木と一緒に板書されていました。

地べたに打ち捨てられたドアを押し開けて、いかにも死神らしいフードをかぶった骸骨が現れた。扉の後ろに墓標のように立っている板、ヒッキーとかカボとか生徒の椅子の背もたれと同じ形なんだよね……。

「私はここのガードマンだ。大人しくしろ!」

えっ、ふくろうじじいってガードマンだったの……何がかわいいって、他のおじさんキャラは先生もルーアもみんな骨だし体も大きいのに、ふくろうじじいは生徒たちと同じ体型の二頭身ってことだよ。地面から生えてきた「墓場の怨霊」の腕に閉じ込められたふくろうじじいは、あわやというところで首から下げたホイッスルを鳴らす。

「生徒たちを恐怖のどん底に落としてやるー!」

それって夜中の生徒のことなのか昼間の生徒のことなのか、まあどっちにしろ悪いゴーストには違いないですが、鎌を振り下ろす寸前、三日月をバックに黒い怪鳥・ゴールデンアイが現れた! その大きな翼で突風を起こし、悪霊のまとう布を吹き飛ばしてしまう。

「イヤン恥ずかし~い! ンもう!」

こうしてゴールデンアイの活躍によって学校の平和は守られ、ふくろうじじいはそのまま放置されたのでした。めでたしめでたし。


……そんな昔話のヒーローに目を輝かせる今回のメンツはSHPLJMWA。ゴールデンアイかっこいいよお……。

「それにしても助けられたのはこれで10回目だプー」

「わしはゴールデンアイのお得意さんでのう。だから彼を呼ぶ笛、ゴールデンホイッスルをもらえたんじゃ」

「ヘンな自慢だマグ」

とまあここまでは平和なんですが、

「じいさんどうだい? ゴールデンアイのつむじ風よりすげえだろう」

ヤバいのが来ました。このドッキー、みんなに向かってつむじ風を打っておいて、声色は嫌味5割増しくらいだし、「だろう」で巻き舌入ってるし、ふくろうじいさんのこと「じいさん」って呼び捨て(?)にするだけで一気にガラ悪く聞こえるし、登場第一声からヤバい。真っ先にドッキーに文句を言い返すのは、もちろんリディーです。

「みんなのいるところでつむじ風など起こすでない!」

「そうよ、ホコリまみれじゃない!」

「わりいわりい。みんなは俺のつむじ風が避けられないノロマだったっけー」

これにはさすがにヒッキーもカチンとくる。ドッキーお前、自信家なのは知ってたけど、わざわざ自分からちょっかい出しておいてそこまで逆撫でするようなこと言うか!?

「無理すんなって。俺のスピードが速すぎるってことさ」

「ドッキー、人より優れた力を持つものは、その使い方を考えなくてはいかん……!」

「速いんだから仕方ねーだろ! じいさん、説教は嫌われるぞ」

口が回るわりに大したこと言い返せてるわけでもないし、わざと視線をそらして首を横に振る仕草が実にいやらしくて、もうたまりませんね。マグネロにここまで怒った表情させるなんてそうそうできることじゃないよ!

「さっき話したゴールデンアイ、彼のスピードはすごかったが、決してそれを自慢しなかった……」は結末を知ってからだとちょっと違って聞こえるところですね。ドッキーだけでもめんどくさいのに、ジョニークロウが茶々を入れてきてさらにめんどくさい。

「ゴールデンアイホラ話ー! ジジイうそつきー!」

「うそつきはあんたじゃないこのホネガラス!」

ジュノに頭の鉄板を勝手に投げられるマグネロ、そろそろ不憫が板につきつつある。ふくろうじじいの「鳥籠が開かない」は言い訳だと思うんですが(少なくとも校庭が海になったとき開いてたもんね)、ガードマンを引退して今はずっと鳥籠に閉じ込められているということなのだろうか。

憧れのゴールデンアイをバカにされ、みんな黙ってはいられない。話は、ゴールデンアイを呼んでジョニークロウを懲らしめさせよう、という流れに。スピモンはファイティングポーズを取ったり噴水に落ちたり、画面にいるだけで飽きないな。

ホイッスルは「学校も平和になって要らなくなった」って、昔はそんなに危険が多かったのか。なくしたホイッスルを探すため、ヒッキーの一声で輪になる一同。あれ、ドッキーも……?

「俺はゴールデンアイとスピードを競いたい。手を貸すぜ」

ヒッキーめちゃくちゃ力強くうなずいてますけど、ジョニークロウが出てこなかったらドッキーが懲らしめられるところだったんだからな!? そもそもドッキー、最初にあのタイミングで登場したということは、それまで陰でゴールデンアイの話を聞いていたっていうことですよね。自分よりすごいやつの話をされて、悔しくてみんなの邪魔しちゃったのかあ……負けず嫌いだあ……。

まあ特に誰も根に持たずに「作戦開始!」「「了解!」」となるわけですが。ジョニークロウが上空から「ケッ、見つかるもんか」と意味ありげに吐く。


AWMの電極トリオ、音頭を取るのはアンプーです。わざわざ立ち止まってポーズ取って宣言するあたり、ヒーローの名乗りに通じるごっこ遊びの楽しみだよね。

「金属探知フォーメーションだプー!」

「「ラジャー!」」

前傾姿勢のマグネロにアンプーが連結して、その頭の上にワット。アンプーの電気はウソップのスプレーと並んで万能だよな。ワットくんが赤く光って「近い近い! 金属いっぱいー!」と感知したのはゾビーのロッカー。飛んでいったガラクタの中に骨格標本まであったぞ。


女子2人は先生たちに聞き込み調査。職員室のスロット扉の目は各クラスのマークなので、違う目が3つそろうのがちょっと特別感あります。

ゴールデンアイは先生方も来る前の存在なのだそうですが、サラマン先生だってかなりのベテランなはずで、それほどふくろうじじいがガードマンをやっていたのは昔の話なのか。


一人でお墓を捜索していたドッキーですが、ジョニークロウの挑発に耐えられず、ノロマと言われてマジギレ。全身から大きなつむじ風を繰り出すと、標的は外したものの、ジョニークロウの鳥籠に当たって何かきらめくものが落ちてきた。ホイッスルだ!

実物を見ても「分からん」とすげなく返すふくろうじじい。でも分かんないわけないんですよね、本当にホイッスルが見つかるとは思っていなくて、うやむやにしてごまかすつもりだったのだろうか?

ドッキーが全力でホイッスルを吹いても、かすれた音が鳴るだけ。ここも、力みすぎて吹き方が下手=本物のゴールデンアイにはまだ遠く及ばないということなのか、あるいはもともと他人が吹いて鳴るような笛じゃなくて、生徒の危機を知らせるシグナルのようなものだった、とかいろいろ解釈できそうなところだ。ホイッスルがウソならゴールデンアイもウソ、とドッキーはホイッスルを噴水に投げ捨ててしまう。

「ゴールデンアイがいないんなら、俺がスピードナンバーワンだ!」

ああーーーやっぱり嫉妬してたんだなあ、伝説のヒーローに。そういう意味では結局、ドッキーもまたヒーローを信じる子供の一人だったのね……

と思った直後に「みんながっかりするから、今の話は絶対誰にも言うな!」ですよ。あんな態度取ってたくせに、この程度の気遣いはできるんだこいつ。真剣にリディーに詰め寄るドッキーを見て、またジョニークロウが余計なことを言い始めた。

「ドッキーとリディーラブラブー!」

「ばかやろう! 何言いやがる!」

「冗談じゃないわよ!」

いや、リディーもたいがい素直じゃないんだけどさあ!! これでドッキーがここまでムキになるのが謎なんですが、やはり色恋沙汰のデマは気にしちゃうのか。というより聞くに堪えない冷やかしに我慢ならなかっただけかもしれないが、それにしても怒り方が極端すぎません?


『ドッキーとリディの熱愛発覚!』のニュース速報に、わりと楽しそうな観衆GBCFK。ここではカタカナ表記は長音なしの「リディ」でした。

「ジョニークロウは!?」「あっち」と同じポーズで指さすHPS。

\ラブラブー/

ドッキーは手すりを滑れば速いんですが、さすがに鳥には追いつけない。地団駄を踏むドッキーに、こんなときまでカメラを向けるノイジー。あー機材落としちゃって!「邪魔だ!」とまで言われたらさすがにノイジーがかわいそう……と思ったら次の瞬間には全く同じテンションで実況を続けていてニュースに生きる女は強かった。

「じいさん見てな……これがナンバーワンのスピードだ!」

「これはドッキーの新しい技、つむじ風ジャンプだ!」

つむじ風を踏み台にして上空へ跳び上がるドッキー。ジョニークロウの足を捕らえて追い詰めたはいいが、そのままカラスはどんどん高く飛んでいく。自分でつかまっておいて今度は降ろせって、こいつ本当に頭に血が上って後先のことが何も見えていない。

ドッキーの危機に学校中がヒーローの登場を祈っている。意味深に映るふくろうじじいの鳥籠。リディーが「ジョニークロウ、ドッキーを下ろしてあげて」と頼むと、ジョニークロウはドッキーを下ろして……落としてくれちゃいました。

ホイッスルが鳴った!

鋭い黄金の目、鳥籠から飛び出した怪鳥、そして巻き起こる旋風。気が付くとドッキーはゴールデンアイに助けられていた……この風の中でも全く吹き飛ぶ気配のない帽子である!!

「じいさん、あんたが……!」

「ないしょじゃよ」

にっこり笑うゴールデンアイの目は、ふくろうじじいの笑顔そのものでした。冒頭の話の中のゴールデンアイよりも実物はだいぶ小さくてキュートに見えるわけですが、ジョニークロウの方を向くとガラッと声色を変えて一喝、「あんまり調子に乗るんじゃねえ!!」……オトボケ老人が実はかつての伝説のヒーローだったなんて、こんなのみんな大好きに決まってるじゃないですか。能あるゴールデンアイは爪を隠す……。


風が収まり、何事もなかったかのように鳥籠に留まるふくろうじじい。助かったドッキーはコロッと態度を変えてゴールデンアイをベタ褒めし始める。みんな土埃で黄ばんでいるのでドッキーの肌の白さが目立つぞ。

「ゴールデンアイだ。やつに救われたんだ! すごかったぜ、やつのスピードは。くっそー、俺なんかまだまだだぜ!」

「ゴールデンアイって、さっきは……ドッキー?」

「うんうんうん!」

リディーに対して生返事すぎて笑う。ノイジーがカメラを拾うと、そこには紛れもなくゴールデンアイが! ちゃんとカメラ目掛けてどアップで映ってあげたんですね、というか、あれだけ荒っぽい扱いをされてもちゃんと録画できているカメラが最強かもしれない。

ヒッキーたちが出てきたときひとりだけぴょこぴょこ喜んでいるマグネロ。ドッキーは一人離れたところで、「じいさん、借りができたな……」とキザに立ち去るのであった。


いや今回、本当にドッキー、お前……。もともと子供っぽさと大人びたところの落差が激しい人ですけど、特に今回は格好つけて嫉妬バリバリだし、妙なところでムキになるし、めんどくさい方のドッキーの極北って感じ。最終的に、ヒーローの力の使い方に触れてちょっとは大人になれたかな……というところなんですが、いつかどこかでじいさんに借りを返すところも見たかったなー!

ホイッスルは結局、ただのガードマンの警笛か何かだったのか、ゴールデンアイに変身(?)するためのアイテムだったのか? 意図して手放したのかうっかりなくしたのか、ジョニークロウが盗んでずっと隠し持っていたのか? もしかしてジョニークロウ、ゴールデンアイの正体を知っていてあんなことを言ったのでは?……など、まだまだ解釈の余地がある話だなあとも思います。


ふしぎコレクション「ゴールデン・アイ」

今夜のふしぎはふくろうじじいじゃ!

今おばけが出そうって言ったちびっこゴーストは誰だ。なんかよくわかんないけどすごいオーラを放つゴールデンアイことふくろうじじいですが、「すぐに不思議デビューできるが、あんたは我が校に必要なのでデビューしないでね」!

校長の「あんた」呼ばわり! 校長先生と対等にやり取りできるのなんてふくろうじじいくらいのものじゃないだろうか。

「分かっとる、今夜はこれでおしまいじゃ!」

校長のセリフを奪えるのもふくろうじじいくらいのものだ。


アイキャッチ:J

ゴールデンアイも迫力満点だけどジュノのお花もなかなか負けてないよ!


<まえつぎ>