第1話 真夜中の転校生
『小学二年生』2004年4月号掲載。
MHSに転校してきたヒッキー。オルガンの女の子リディーと出会い、自分が何者なのか、この学校はどういう場所なのかを知る。そこへワットの首を奪っていじめているヤムヤムが。ヒッキーは自分で描いた犬の絵を動かして、ワットを助ける。
ヒッキーが絵を動かせるようになる、というあたりはアニメの第1話『ふしぎなラクガキ』そのままな感じでもありますが、最大のポイントはヒッキーが転校生という設定。パラレルワールドなのか、アニメの前日譚と考えるべきか。
「どきどき&ゾクゾクストーリー」というキャッチ、1ページ目の挿絵の薄暗ーい教室の雰囲気(実際「気味の悪い部屋」と書かれている)、「12回の鐘の音」やら「首のない男の子」という要素、ホラーテイスト全面に押し気味な感じです。
本文は全てヒッキーの一人称視点。ヒッキーは自分の意志とは無関係にMHSに転校してきたらしい、「たしか小学校の教室にいたはずなのに」とか、窓ガラスに映った自分の姿を見てびっくりしたりとか。初々しいヒッキーめちゃくちゃかわいい。人間の子供たちがシャーペンやボールペンを使い出したせいでエンピツのヒッキーは忘れられてしまったのだそうです。みんな鉛筆を使おう。
「オルガンが女の子にばけた!」……初登場時から「しつれいしちゃうわ!」なリディーちゃんは初対面のヒッキーをあんた呼ばわりする安定の強気っぷり。リディーは事前に先生から転校生の話を聞いていたそうで、ヒッキーに学校のことを教えてくれたりなんかしました。いじめられているワットを見て「許せないわ!! ヒッキー、ワットを助けてあげて!」と言ったり、さながらゲームのチュートリアルである。
ヤムヤムに対する第一印象は「あのバナナ強そうだし…」。その強そうな腐ったバナナに対して、エンピツにはエンピツのやり方がある!とワット君を救いにいく主人公気質。このヒッキーくんは犬の絵が得意なのだそうです。
オチはおしりを犬に噛みつかれてバナナの中身を持っていかれるといういつものアレ。そしてあの決めゼリフが!「それがわかったら、不思議じゃないでしょ」……どうやって絵を動かしたの、というリディーの質問に対するヒッキーの返事。実に便利な言葉です。
今月のキャラクターたち
末尾に載っているちょっとしたキャラ紹介。今週はメインの3人。
H『エンピツの男の子。赤の方がちょっと少ない。』
L『オルガンの女の子。えんそうはうまくないらしい。』
Y『くさったバナナの男の子。いたずらずきな悪ガキ。』
なんというか、2行しかないこのスペースに選ばれる情報はそこなんだなあって思いました。MHSのそういうとこ、ほんと好き…
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ところで、MHSと隣接するページを見ていると
「映画名探偵コナン 銀翼の奇術師」
「ポケモンエメラルド」
「松井秀喜」
「高見盛」
「ハルウララ」
「ペ・ヨンジュン」
などが出てきて時代を感じます、2004年の小学二年生。