B級天使

さよなら天国の巻

岩田直己すなわちイワタナオミの最初の絵本。角川書店、1991年刊。

共著になってますが、それぞれ「原案、ストーリー、アートディレクションと、その全般をクリエイト」&「企画、構成、プロデュース担当」ということだそうです。

絵本というかマンガなんですけど、フルカラー100ページ超でかなり読み応えがある。ほのぼの癒やし…とか思ってたらボリュームに圧倒されたわ。そして内容も熱い。

天国でもコンピューターでカップルを決める時代、学校のやり方についていけない2人の落ちこぼれ天使がなんやかんやで天国を追われ、愛し合う画家のタマゴと若い娘に巡り合ったのだが…みたいなお話。

何が良いかって主人公の天使2人の関係です。短気でガサツでぐいぐい引っ張るタイプのウーピー(青い方)と、いつもチョコレートのことしか考えてないマイペースなチップルー(赤い方)という鉄板のデコボココンビなのだ。2人は落ちこぼれ同士いつも一緒にいるんだけど、お互いに迷惑させられてばっかりでなんとなく薄情で、だけどそういう2人がこそ、2人で一緒にいるというのが尊いわけですよ……。

そしてまた輝いているのがおじさんキャラたちです。具体的にどうなのかというと……それは実際に読んでほしいとこなんですけど……、考えてみたらイワタ作品、何かこだわりがあるんじゃないかと思うくらいおじさんの充実度が高い気がしてきた。MHSも生徒以外はおじさんだらけだし、グレゴリーもうさんくさいおじさんだし、ペコラも出てくる人の半分くらいおじさんだしパピピピプピなんかほぼおじさんしかいないしな……。

サイトを作るに当たって調べ物をしていて初めてこの本の存在を知ったんですが、知名度のおかげかGHS関連書籍の品薄高騰っぷりに比べたら古本でも全然入手できるようで……おすすめするなら、愚直でひたむきな愛に飢えている人、80年代末~90年代頭くらいのあのふんわりもったりしたポップな絵柄が好きな人、現実社会に疲れた大人たち、あーもう、このページ見た人みんなだよ!!