#38 ノイジー・ノイジー

登場自体はDやGと並んで多かったノイジーですが、主役回の巡りは意外にも実質一番最後だったのね。サブタイトル前半の「ノイジー」がキャラクターの名前ではなく形容詞のnoisyだということに気付いたとき私は一つ英語に強くなりました。


第38話「ノイジー・ノイジー」

(脚本:シャノン・ミューア/ケビン・ポール・ショー・プロデン、絵コンテ:酉澤安施)


ドッキーに追われる極悪トリオ。セリフから察するに、極悪トリオはドッキー自体はいたずらの標的にはしておらず、ドッキーはいたずらに出くわしたら割としつこく懲らしめようとする、という力関係が分かり大変納得が深いです。ここで34話に引き続きのスローモーション演出。手すりを滑ってきたドッキーは、階段から落ちたチュービーには目もくれず華麗に着地を決め、校庭へ逃げた2人を追いかけていった。

一方カメラを構えたノイジーに追われているOPS、

「ちょっとくらい歌詞を間違えたからっていちいち放送しないでよ!」

「それにオイラをこき使わないでほしいモン。耳が疲れて痛いモン!」

「さっき僕がカエルを怖がってたの、カッコ悪いから放送しないで!」

双方言い方に遠慮というものがありません。ノイジー、ゴシップと言われては心外のようで「だってウソは言ってないもん」と見事な開き直り。それを見てチュービーがなぜか感心しちゃっている。

「ノイジーなんてもう友達じゃないモン!」

「あーそーですか。友達じゃなくて結構! 私はニュースに生きる女なの!」


美術室は今回初登場ですが、天井は3クラスのマークが入ったステンドグラス、壁には例の写生大会の絵、壁の燭台は骸骨がベレー帽をかぶっていて、内装がとびきりかわいいのだ。校庭に飾るオブジェを一人で作っていたマグネロは、バランスを崩して作品を崩壊させてしまった。早速ノイジーが騒ぎに来る。

「マグネロが美術室をガラクタだらけに! 足の踏み場もありませ~ん!」

「そんな……悪いことだけじゃなくてちゃんと伝えてほしいマグ……」

「自分のせいじゃないと言い張っています!」

この「わざと誤解を生む言い方」に「オラのワルなハートに通じるものがあるズラ!」と目を輝かせるチュービー。


ヒッキーとリディーが回す大縄を跳びながら、ちらっとノイジーを気にするピラニンですが、

「ノイジーも誘う?」

「やだモン! また何を言われるか分からないモン」

スピモンは容赦なさすぎるとしても、さっきまでの件がさすがにアレなので、いくら涙ぐんだって自業自得としか思えんのだよな……。チュービーが出てきたので急いで目を拭うノイジー。そして、突然の告白。

「ノイジー、お前は最高ズラ! オラは大好きズラ!」

マジかよ!!

ノイジーも伝え方が悪いが、チュービーも大概伝え方が悪い。ノイジー、完全にスイッチ入ってしまって、大事なところが全く聞こえていません。

「ノイジーのワルでワイルドな放送が大好きズラ。これからも極悪な活動をお互い頑張るズラ」


『深夜の目玉』の目玉の画面、いつも3Dなのにこのときだけ平面なのはなぜなんだ。内容はもはやニュースというかただの自慢である。

「ミッドナイトホラースクールについにカップルが誕生しました! 極悪トリオのチュービーと……お相手はわたくし、ノイジーです!!」

こ、このBGMはスキスキハートシール事件のときの曲!! 驚いて飲み物をそれぞれ顔に吹き出す極悪トリオ。

「本日チュービーから愛の告白があり、交際がスタートいたしました!」

クイッキーは「ヒューヒュー!」とか言ってるし、カフェテリア中からはやし立てられてチュービー焦る。ヤムヤムは子分のスキャンダルすら悪巧みに利用する気満々だ。


ノイジーは思い込んだら一直線、「チュービーといつも一緒にいたいの!」とイエローリザードクラスへの編入まで申し出るが、ペギナンド先生は全く取り合ってくれない。前回のティゲール先生と対応がまるで逆ね。

のんきに口笛なんか吹いて出てきたチュービーを、教室の外で待ち構えているノイジー。ラブラブーってまた冷やかされてるよ。

「ジュースでも飲みながらゆっくり愛を語りましょうね~」

「ええ、オラ親分たちと木登りの約束が……」

「ダメ!! カップルは休み時間一緒にいなくちゃ!」

カップルって言われてぎょっとするチュービーはピュアで良いと思います。ノイジーの早合点でなんだかめんどくさいことになってきたぞ。「もうあたしのこと好きじゃないの!?」と一方的に非難され、置いていかれたチュービーは「あっれー……」と呆気にとられるばかり。


今度は女子4人が大縄跳びをしていると、ほとんど泣きそうな声の放送が流れてきた。縄が止まって飛び損ねて転ぶチャップスは、割とマジで運動神経鈍いみたいだな。

「ニュースです……チュービーはもう私に飽きたそうです……誘っても親分と木登りをするからと……」

いや、「飽きた」は全然事実じゃないからね!? リディーたち、さっきまでは笑う側だったのに急にノイジーを擁護し始めるし、話も聞かずに「彼女を大切にできない人なんてサイテー!!」なんて責めてくるし、ヤムヤムもウソップも笑うばかりだし、チュービーが不憫すぎるんですが。


ヤムヤムはノイジーを利用してドッキーに仕返しするつもりなのだ。窓の外からチュービーに指図して2人を仲直りさせると、

「俺様が図書室の本をぶちまけるのをドッキーのつむじ風の仕業だってニュースにしてもらいたいんだ」

これにはノイジーもいい顔をしない。「誤解されるような言い方をしたことは認めるけど、でも、本当のことしかニュースにしたくないの!」って、認めることには認めるんだ……今までのあれ、意図的に誤解されるような言い方してたんだとしたら極悪すぎるぞ。結局「引き受けてくれたらチュービーのクラスに変われるように頼んでやる」と持ち出され、愛しのチュービーのためにとコロッとなびいてしまうノイジーであったが……。


極悪トリオ、本棚から本を投げ出すだけでこんなに楽しそうなんだから幸せなものです。ノイジーが浮かない顔で見守っていると、タイミング悪くドッキーがやって来る。弾みをつけて階段の手すりに登ろうとするところを呼び止め、事情を話すノイジーですが、

「信じるって!? ノイジーのゴシップを!? 笑っちゃうねえ。フン!」

あからさまに恨みを買うような言い方なんですけど、それでも妥当に思えてしまうほど、ここまでのノイジーはやらかしてるからな……。そうしている間に本棚は空になってしまった。チュービーだけ、ノイジーを見る目がちょっと申し訳なさそうなんだよね……。

「ノイジー、ニュースの方よろしく頼むぜ。俺様はカフェテリアの一等席で見物させてもらうからよ!」


カフェテリアのシーン冒頭、ヤムヤムの両腕がなくなってるミスがあって気付いたときちょっとびっくりしました。「ニュースニュース、大ニュース」というノイジーの声は、いつもと違ってどうもテンションが上がりきらない。

「このように、図書室はめちゃめちゃになっています。まるで中央でつむじ風が発生したかのように」

コーヒーを飲んでいるドッキーにカフェテリア中の視線が集中する。ひどい自作自演で煽る極悪トリオ……だったが、ノイジーはちゃんと証拠のビデオ(ビデオです)を撮ってあったのでした。ラベルに「しんやのめだま スクープえいぞう!!」と書いてあるピンクのVHSです。

「図書室事件の犯人、それは……ヤムヤムたちです!」

真実を伝えるときのノイジーはやっぱり生き生きしてるんだよね。今回は極悪トリオが卑怯すぎたということで、ノイジーがまた誤解を招くような言い方したことはおとがめなし。「つむじ風フォーエバーおしおきバージョン」、どの辺がバージョン違いなのかは分からんが、とにかくつむじ風と共にエレベーターに押し込まれた3人は捨て台詞を残して去っていくのであった。

「ノイジーの裏切りもん!」

「おあいにくさま! 事実しかニュースにしないのが、あたしのポリシーなの!」

みんながノイジーに拍手を送る。ど、ドッキーが謝りに来たぞ!! 何かとノイジーには辛辣なドッキーですが、こういうとき根に持たないのがいいやつなんだよなあ。

「サンキュー、ノイジー。悪かったな、さっきはあんなこと言って」

「ううん、信じてもらえなくて当たり前だもん。みんな、今までごめんね……」

他のみんなとも仲直りして(I「これからも頼むよ」)今回はめでたしめでたしなのでした。


「さっきはごめんなさい。でもあたし、正しいことをしたと思ってるわ」

「そうズラね。ま、仕方ないズラ」

ワルなハートとか言ってた割に、今回はチュービーが一番常識的……というか、まともなの、チュービーくらいしかいなかったような気がする。

「ところで……悪いんだけどあなたと別れるわ」

「はあ!?」

「私やっぱりニュースに生きることにしたの、ごめんね、泣かないで!……あたしって罪な女ね……サヨナラ!」

その直後、速攻で始まる放送。

「たった今わたくしノイジーとチュービーのカップルは友達に戻りました! 早速これから、チュービーさんに今の心境を突撃インタビューしに行こうと思います!」

叫ぶストリングのBGMが怖すぎるよ!! 地面に丸く穴が開いて、中からカメラを構えたノイジーが……チュービー、『ふしぎ絵』ばりの巻き込まれ不運でありました。


真実だけを伝える、というノイジーのポリシーは見上げた根性なんだけど、伝えるべき真実の選び方とその伝え方が悪すぎるし、それとは別に思い込みも激しすぎるし、周りの子たちも流されやすすぎてちょっと極端だよ! しかしどんなイザコザもその回のうちに必ずごめんなさいしてケリつけてくれるからMHSは後腐れなくていいなーといつも思います。


ふしぎコレクション「ノイジーのニュース」

今夜のふしぎはノイジーじゃ!

「わたくしノイジー、ついに校長先生の真実の姿をVTRに収めることに成功しました!!」

ここは校長の方が一枚上手、画面は砂嵐。

「甘いぞノイジー。今夜はこれでおしまいじゃ!」

「絶対いつか放送してやるわー!!」


次回予告

「ペギナンドです。我が校の優秀トリオ、ジーニー、ヒッキー、フォントンの様子がちょっとおかしいの。一体どうしちゃったのかしら」


<まえつぎ>