#44 カボのアルバイト
大筋としては、秘密があってそれが明らかになりました、というだけのあまりひねりのない話なのだが、カボが最強にかわいいのでもうそれだけで十分成り立ってしまうのである。
生徒のお金の出所については、35話のおまけ映像でプレイルームの勝利報酬としてフリーおやつコインがもらえる描写がありましたが、アルバイトのお手伝いコインは今回が特殊なケースだろうし、後はみんなプレイルームで全部賄ってんのか……?
44話「カボのアルバイト」
(脚本:ミシェル・マナカ、絵コンテ:頼兼和男)
先週からプランクトンジュースが流行ってるのか、ジュースのベンダーマシンには行列ができている(A「わーい」)。面倒くさそうにおかわりを諦めたヒッキーの机に、突然誰かが新しいドリンクを置いていく。白いエプロンをしたカボは、食後の皿を下げ机をピカピカに磨き上げ、一礼して去って行った。
「オーロラスープ一丁あがり! 3番テーブルね!」
ベンダーマシンのオーダーを受け、オーロラの立ち上るきれいなスープを運ぶカボ。スープなのだがなぜかナイフとフォークを取り出すインキー。
「はいご苦労さん。ひい、ふう、みいと、お手伝いコイン3枚ね」
ベンダーマシンの吐き出したコインを受け取ってカボは上がっていった。エレベーターのドアに手を置く仕草がチビッ子らしくてかわいい。
カボは今度はネジマキツムリを背負ってエレベーター釣り台まで運び、またお駄賃をもらっている。ルーアがいないと思ったらエレベーターの上げ下げも手伝ってるらしい。
「ほんじゃ後頼んだぞい。ほーい、お手伝いコイン2まーい」
コインを集めまくるカボの謎の行動にみんな興味津々です。ヒッキーたちも骨山の中で会議中。
「たくさんお菓子を買いたいとか?」
「誰かにプレゼントしたいのかもしれないモン!」
「……ピンと来ないわね」
スピモンはいい線いってるんだけどな! ここにもカボがやってきてエディの目元を拭き掃除、エディからもコインをもらっていった。
バイトの理由は雇い主の方も聞かされていないらしい。
「突然バイトさせてほしいって頼まれたんで。別にバイトなんて必要ねえんだけど、あんまり必死に頼むんでホロッときちゃってねえ」
貯め込んだコインを持ってカボはいそいそとお墓に向かい、一人で地面を掘り始める。ついてきた極悪トリオには構いもせず、土の中に何かの種をポトリ、と思ったら貯金箱(ハロウィン風でかわいい)を逆さにしてコインを全部まいてしまった。ミスターショータイムをあしらった柄のコインには「BONUS COIN FREE SNACK」って書いてあるのかな。「コインをまいたって芽は出ないズラよ…?」と思ったら、これが出るのである。
その後もカボは黒板を消したり図書室ではたきをかけたり、なおもコインを集めてはまき続け、芽は成長し続け、とうとう光るカボチャの実がなった。
謎を探っていたノイジーに、カボチャスープのベンダーマシンさんが貴重な証言をくれました。ここで1カ所ミスを見つけてしまったのだが、ヤムヤムの前の席がジーニーになってるシーンがある。
「いやー俺さ、カボんちの親父からカボチャ仕入れてるだろ、でチラッと耳に挟んだんだよね」
「カボのお父さん、つまりカボチャ大王ですね。なんて言ってました?」
「なんでもさ、カボは新しいふしぎに挑戦しているらしいんだ。先週ふしぎテストだっただろ、カボの成績が悪くて親父さん怒ったらしいんだよな(Y「ッハー!俺様なんて0点だったぜ」T「オラもズラ!ハッハッハー」この顔である)。お前には野菜としてのプライド、カボチャ一族の誇りがないのかー!!って。そりゃあ厳し~く怒られたらしいよ」
これを聞いたヤムヤム、なぜか急に真剣な顔になって椅子から飛び降りる。
「く~分かるなあー。俺様だってフルーツとしてのプライドってもんがある!」
「フルーツとしてのプライド」
ウソップ、ネットスラングの構文みたいなリピートしてんな。
『カボチャが食えるのは当たり前。想像を超えたふしぎを作れ』カボチャ大王、良いこと言いますね。ヤムヤムはカボに勝手にシンパシー感じているらしい。
「カボの気持ちが分かるのは俺様しかいねえ! なかなか気に入ったぜ、あいつの野菜としての意地を知った以上放っておけねえ。おいお前ら、手伝いに行くぞ!」
結局カボチャ大王って何者なんだという話ですが。文字通りカボは「カボチャ大王の息子」であって、「人に忘れられたカボチャ」などではないんじゃないかと思っている。つまり、他の生徒たちは自分自身が忘れられてMHSに入った1代目だけど、カボだけは既に確立したフシギから生まれたエリート2世。もともと忘れられた物だったカボチャの生徒が卒業して「カボチャ大王」というふしぎになり、その存在が確実になったから子供をもうけることができるようになった……とか、勝手に妄想してるだけですが、どうっすかね。
カボは今度はふくろうじじい(寝てるけど)のお手伝いで、噴水周りの掃き掃除。まあ落ち葉がつくような木のない校庭ですけど、「オワッタ!」と声を上げたところにジョニークロウが飛んできて、集めた葉っぱが全部散らかされてしまった。
今にも泣きそうな顔で震えるカボは、全身土埃で汚れてみすぼらしい頭巾に箒、とまるで舞踏会に行く前のシンデレラ。そこへ極悪トリオが駆けつけて、絵の具とハエでジョニークロウを懲らしめ始める。この辺りからウソップずっとニコニコ目で微笑ましいんだよな。協力を申し出る3人に、カボは「…アリガト」と控えめにお礼を言うのだった。
水の代わりにコインが栄養になると聞いて、極悪トリオも図書室の整頓などアルバイトを始めることに。しかし、どんなフシギができるのかと聞いてもカボは「ナイショ」と顔を背けるばかり。
ヤムヤムの貯金箱、バナナ色の豚がいかにもヤムヤムっぽいセンスで最高です。「俺様たちもおやつを我慢して貯めたんだぜ」と差し出したコインをまくと、カボチャはさらに大きくなって光りを放ち始め……
「フシギ! フシギ! フシギ!」
話を聞きつけたヒッキーたちが見に行ってみると、カボチャは人が乗れるほどの大きさになり、ツタは丸まって車輪になり、四角く窓が開き、白馬もどこから湧いて出たのか……そうです、カボチャの馬車の出来上がりです。シンデレラは自分でカボチャの馬車を作り上げたのだ! ヤムヤムは親みたいな顔して後ろでカボの成長を喜んでいる。
「カボチャの馬車とはなかなかやるズラねえー」
「ちょっと思いつきませんでしたねえ……」
いつの間にかカボは正装して前髪を七三分けに整えている。そう、このシンデレラ、自分で王子様にまでなってしまったのだ!! 金色のカボチャをリディーに手渡すと、フタが開いてリディーはたちまち豪華なピンクのドレス姿に。これ、一瞬しか見えないけどちゃんと靴までかわいいんだよー!
カボはこなれた振る舞いでリディーをエスコート。みんなも「お似合いだよ!」とか祝福ムードで、2人を乗せたカボチャの馬車は夜空へと駆け出してゆく。校舎の周りを高く高く、遠くの山々が見えるまで……。
「こんなロマンチックなふしぎ初めて! ありがとう!」
夜空に響くカボの笑い声を聞いて地団駄を踏むヤムヤム、今回何も悪いことしてないし、置いてきぼりにされて普通にかわいそうなんですが……。
「キイー知らなかった! あいつリディーちゃんの隠れファンだったのか、協力するんじゃなかったぜチキショー!! おいこら、降りてこーい!!」
今回と『ヤムヤムのふしぎ』でヤムヤムが無限ループを始めないか心配です。なお『小学二年生』のカボのエピソードが似たような話でまたちょっと違っていい感じなので、こちらも合わせてどうぞ。
ふしぎコレクション「カボチャの馬車」
今夜のふしぎはカボじゃ!
乗り物酔いは無理しないでね……
次回予告:ルーア
「ほーいルーアだぞい! みんな料理は得意かな? チャップスがベンダーマシンと料理対決するらしいぞ。どんな料理が出てくるかのー」
今回はルーアからネジマキツムリから、久々のサブキャラおじさん大集合でした。
「じゃまったねー!」
エンドカード
カボとヤムヤムの貯金箱、グッズ化できそうだししてほしい劇中アイテム絶賛上位争い中だよ。リディーはオルゴールのときみたいなお人形さん。