「南アフリカ共和国・プレトリア大学留学体験記」

高山咲希(アフリカ地域、2016年度入学)

【目次】

1. はじめに

2. 南アフリカ共和国プレトリアに住む

3. 留学中の生活

4. プレトリアに留学してよかったこと

5. プレトリアに留学してだめだったこと

6. ビザ取得について

7. 後輩の皆さんへ

8. おわりに

1. はじめに

はじめまして。私はアフリカ地域専攻3年(2016年度入学)の高山咲希と申します。3年の秋学期に派遣留学の制度を利用して南アフリカ共和国のプレトリア大学に留学してきましたので、その体験をここに書かせていただきます。興味がある方はお付き合いいただけると嬉しいです!

2.南アフリカ共和国プレトリアに住む

最初に、南アフリカという国とプレトリア大学について簡単にお話しします。ここからは、正確なデータを使うよりは私の肌感覚でお伝えすることをご了承ください。

まず、南アフリカはサブサハラアフリカの中で一番発展している国(写真1)ということもあり、便利さ(スーパーが近くにある、お湯シャワーが出る)という点で基本的に苦労することはなかったというのが雑感としてあります。しかし、アパルトヘイト影響下から脱却したとは言い切れない状態の南アフリカ社会では、経済格差が大きく、人口の1パーセントが税収の60パーセントを払っているとも言われています。雇用率が低いのもあり、路上での携帯電話を狙った犯行をはじめとする犯罪が多く起こる状況で、一人で歩かないほうがいいと言われるほど治安が悪いのも事実です。私は無事でしたが、友達は半分くらいの確率で携帯電話を盗まれたり、強盗にあって貴重品を奪われたりしていました。ただ、気を付けたほうが良い時間や場所をわきまえて、慣れてきた頃にも油断せずに生活することができればそんなに心配することはないと思います。

写真1: ヨハネスブルグ アフリカで一番高い建物 Carlton Centreから。

3.留学中の生活

まずは1学期の大まかなスケジュールについて説明します。7月中旬に学期(Semester 2)が始まると10月末まで授業、11月から12月初めまでがテスト・追試期間という感じでした。正直外大生からするとすごく長く感じましたね。慰め的に9月末から10月初めまで10日間のミッドタームブレイクがありました!また、National Women’s Day(8月9日)やHeritage Day(9月24日)、大学生だけの祝日 Spring Day(9月26日)などの祝日もあり、当たり前ですが日本と違うので興味深かったです。

授業は1コマ50分で、1コースにつき講義が週2-3コマ、チュートリアルが1コマというのが普遍的な構成でした。何よりも衝撃的だったのは授業が朝の7:30から始まることでした。私がとっていた社会学の授業は、水曜日が朝7:30-8:20という時間だったので、火曜日は10時くらいに寝ていました(笑)。

私は2つのモジュールを受けていました。1つは社会学で、もう1つは都市構造についてでした。2つともセメスターを通して行われるものでしたが、授業によっては1クオーターで終わるものもあったみたいです。(1つのセメスターに2つのクオーターが入っているという構成でした。) 私はせっかく南アフリカまで行くんだから南アフリカっぽい授業を取ろうと思ってこの2つを選びました。社会学は人種、階級、ジェンダーから南アフリカ社会を勉強するような授業でした。中でも印象的だったのはチュートリアルのクラスで、人種、階級、ジェンダーの要素がどのように自分の人生における機会を左右してきたかという作文を書いたことで、日本にいたら考えもしなかった視点(特に人種) から自分の人生を振り返る機会になりました。都市構造の授業では、南アフリカに限らず世界の都市の地理的考察をしました。地理学部という外大にはない学部の講義に心躍りましたし、南アフリカの都市や旧黒人居住区(タウンシップ)についてのリサーチなど、興味深い文献に多く出会うことができて、聴講してよかったと思いました。

留学中は交換留学で来ている留学生と院生が入る寮で生活していました(写真2)。1フロアに8人住めるような大きな2階建ての家に住んでいました。キッチンとシャワーが共有、個室あり、Wi-Fi強いというなかなか良い寮で、ハウスメイトと一緒にご飯を作ったり、遊びに行ったりと楽しく過ごしていました。

写真2: 寮の敷地内の様子と私の住んでいた家。

4. プレトリアに留学してよかったこと

① 便利 最初にも言いましたが、スーパーの品ぞろえはいいし、なんならコリアンスーパーで日本食も手に入るし、大学のWi-Fiも強いし、何も苦労しませんでした。

② 天気がいい 基本的に毎日からっとした快晴で、洗濯物がすぐに乾きます。10月から雨季になると、激しい雷雨に見舞われますがそれも夕方からで、朝は毎日気持ちよく起きることができました。青空の下でのカフェでのブランチは至高でした(写真3)。

写真3: プレトリアの桜、ジャカランダ:プレトリア大学の学内にて。

③ システムがしっかりしている 大学の手続きも授業もルールがしっかりしていて、派遣留学の手続きも焦ることなくスムーズに進みました。授業も先生は時間通りに来るし、まじめな生徒が多かった印象です。

④ 日本人は少ないがアジア系はいる 日本人学生は外大生以外いなかったので英語を話さなければいけない状況に置かれたのが良かったです。しかし、親の世代で中国や韓国から移住してきた人がいるため、アジア系の学生はいました。TAG (Tuks Asian Group)という数十人規模のサークルがあり、そのイベントに参加するのも楽しみの一つでした(写真4)。

写真4: 1年の終わりのTAG Masquerade Finale

⑤ みんな親切 アフリカ大陸全体にいえることかも知れませんが、みんなめちゃめちゃ親切でフレンドリーです。

⑥ 国内外いろんなところに旅行に行ける ヨハネスブルクの空港はアフリカのハブなので、どこにでも飛んでいけます。私はこの留学中にアフリカ行きつくそうと思って、たくさん旅行しました。国内はヨハネスブルグ、ケープタウン、ダーバンに行って、国外はザンビア、ボツワナ、ジンバブエ、レソト、ルワンダ、エチオピア、エジプト、ケニア(と香港)に旅行することができました(写真5)。

写真5: 南アフリカの中にある国 天空の王国レソト。

5. プレトリアに留学してだめだったこと

① 治安が悪い 悪いところはこれに尽きると思います。日本にいたら気にしなくていいことを気にしなければいけないのがストレスではあったと思います。帰国してから夜の街を歩きまくりました。

6. ビザ取得について

私が留学を通して一番苦労したのはビザの取得だったと思います。行くたびに必要な書類を新たに言われ、計4回大使館に出向き、出国前日に学生ビザを入手しました。2018年7月時点の情報ではありますが、私が用意した書類を載せておきます。全て英訳で準備しました。

  • パスポート
  • 申請料
  • 申請書類(大使館にメールして取り寄せる)
  • 大学からのアドミッションレター
  • 両親からの費用の保証の手紙と直筆サイン(子どもの留学生活に関する費用を全て払う旨を書く)
  • 両親の運転免許証のコピー(英訳は不要)
  • 日本の大学の在学証明書
  • 留学中の保険証明書
  • 健康診断証明書(所定の様式)
  • 肺レントゲン証明書(所定の様式)
  • 戸籍謄本英訳(公証・アポスティーユ含む)
  • 残高証明書(留学期間過ごすのに十分な金額が預金されている口座)
  • 3か月分の口座取引証明書
  • 犯罪経歴証明書
  • 飛行機予約確認書

7. 後輩の皆さんへ

ここまで読んでいただいてありがとうございます。南アフリカのプレトリアで留学してみた経験からお話すると、この大学は勉強好きの人向けの大学かなと思いました。勉強する施設が整っているのもそうなのですが、あまり外を歩き回るような場所じゃないからです。(笑)しかし、私は決して勉強好きというわけではなく、言ってしまえば半年行ける大学がここしかなかったので決めたようなものだったのですが、実際に住んでみて、複雑な南アフリカ社会を見ているのが毎日面白かったですし、他の国にもたくさん行くことができてよかったと思っています。とにかく利便性で困ることは絶対にないので、この大学に関してはアフリカのどこか行ってみたいし行っちゃおうかな?くらいのノリで決めるのもありです!!

8. おわりに

留学中にいろいろな人に会い、人がどこに生まれるかは本当に運次第だということを強く思いました。しかしその運によって人生の大半が決まってしまう人が多いことも感じました。大学に入ってアフリカ!グローバル!という感じでやってきましたが、国籍など関係なく、自分の運によって隣り合わせになった人たちと向き合うのもとても素敵だなあと思うようになりました。あっという間の5か月間でしたが、アフリカの大都市プレトリアで巡り合えた人々や見た景色のひとつひとつを心に留めながらこれからの日々を過ごしていきたいと思います(写真6)。

長い間お付き合いいただきありがとうございました。

写真6: プレトリアにあるUnion Buildingのネルソンマンデラ像。

最終更新: 2019年1月7日